住民側「そういうことすべて、丁寧に説明してからじゃないですか?」
神社側「大変申し訳ありません…」

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これは「めざまし8」が入手した、“とある住民説明会”の音声です。

約1000年もの歴史を持つ、東京・品川区の「小山八幡神社」。
“しながわ百景”に選ばれた美しい眺め、地域から愛される憩いの場だといいますが、今この神社の立て替え計画を巡って騒動が起きているといいます。

その計画とは、「境内の社殿などを移動させてスペースを作り、そこに3階建てマンションを建てる」というもの。これに対して地域住民らが反発、有志団体が今週月曜日から署名活動を始め、マンション建設の見直しを訴えているのです。

マンション建設に反対する地元住民:
マンションを建てる、それはないでしょうっていう思いが強くて。千年の神社でしょ?だから本当、鎮守の森だから。子供たちの遊び場、憩いの場だし、保育園の子たちも、いつも天気さえ良ければ行っているし。

計画では、樹齢200年の貴重な大木も伐採が予定されているといいます。

なぜ神社側は、境内にマンションを建てようとしているのか? 宮司に話しを聞くと、返ってきたのは“切実な事情”でした。

小山八幡神社 宮司:
数年前に台風の強風と雨で、屋根の一部が落ちてしまいまして、本当に屋根はもう老朽化している。雨が入って、雨漏りをするわけです。

落ちてしまった屋根の一部
落ちてしまった屋根の一部

鎌倉時代に創建されたという、小山八幡神社。
現在の社殿は築85年と老朽化が進み、台風による強風と雨で、屋根の一部が落ちたこともあったといいます。

こうした社殿などの修繕にかかる費用は、約2億3000万円。

巨額の費用をまかなうために、マンションを建てる土地を不動産会社に貸し出すというのです。

小山八幡神社 宮司:
多額の費用になると。それを氏子さんにすべてお願いするっていうのは、非常に心苦しいということで。

神社側としても苦しい決断。

しかし、一方で地域住民らは納得がいかない点があるといいます。2019年ごろから計画されていたマンション建設。5月中旬に着工予定だったといいますが、4月中に地域に配られたビラには「マンションが建つ」という記述はありません。

また5月中旬から、境内の2カ所に工事開始のお知らせが設置されたといいますが、そこにも「境内の整備工事を行うこととしました」とあるだけ。

神社側は、2022年12月にマンションの建設計画があることを示した書面を境内に貼り出していましたが、多くの地域住民に認知されていませんでした。

そして、5月9日に初めて行われた住民説明会では、住民らから「敷地の整理だけ説明したって絶対にだめ」「すべて丁寧に説明してから」と話し合いの場を設けてこなかったことに対する批判の声が上がったのです。

地元住民:
我々氏子としても寄付するなりなんなりして、神社を支えたい気持ちはあるんですけれども、そうした話し合いの場すら持たれませんでした。

こうした住民の声について、宮司は…。

小山八幡神社 宮司:
神社にとっては、慎重に慎重を重ねてきたっていうことはあります。そういうことで、報告が遅れたということに、氏子さんは思ったんだと思います。この現状維持して再建するっていうのが一番いいんですよ。いろいろと考えましたけれども、非常に難しい問題だったので、今回に関しては、本当に苦渋の決断だったんです。

5月中旬に着工が予定されていた工事は、現在は延期され、住民との話し合いが続けられることになっているということです。

(めざまし8 6月2日放送)