北朝鮮はけさ、弾道ミサイルとみられる飛翔体1発を発射したが、エンジンの異常で黄海上に「墜落した」と発表した。韓国メディアは、ミサイルなどの発射直後に失敗を認めるのは「異例」としている。
北朝鮮「速やかに2回目の打ち上げを」
北朝鮮による発射を受け、ソウル市内では一時誤って避難を呼び掛ける警報が出されるなど、動揺が広がった。

警報が鳴り響いたソウル市内。

市民は「戦争かと思いました、びっくりしました。出勤するべきか、避難すべきか、心配しました」と話した。

韓国軍によると、北朝鮮は31日午前6時半ごろ、西部の東倉里(トンチャンリ)一帯から南方に「飛翔体」を打ち上げたが、正常でない飛行をして、朝鮮半島西側の黄海上に落下したと発表。

そして、軍は残骸とみられる物体を現場海域で回収し、メディアに公開した。

一方、北朝鮮は軍事偵察衛星の打ち上げについて「ロケットの第一段階分離後、第二段階のエンジンの始動に不具合が発生し、墜落した」とした上で「原因を解明し、できるだけ速やかに2回目の打ち上げを行う」と明らかにした。

北朝鮮は「速やかに再度発射」と強調することで、国際社会の注目を引き続き集めたいものとみられる。しかし過去には、改良型の人工衛星が発射されるまでに8カ月を要したこともあり、2回目の打ち上げには時間がかかる可能性もある。
「北朝鮮の考え読み切れない」見方分かれる政府内 “万全の態勢”継続
一方、日本政府内には「引き続き気を抜かず対応するように」との指示が出ていて、再度の打ち上げを警戒し、北朝鮮が通告した6月11日まで万全の態勢で臨む方針。

浜田防衛相(午前9時半すぎ):
防衛省としては関連情報の収集と分析に努め、緊張感を持って、警戒監視等の対応に引き続き万全を期したい。

政府は、ミサイルが黄海上空で消失し、宇宙空間への物体投入はないと推定している。また、大使館ルートを通じて、北朝鮮に抗議と非難を伝えた。

一方、今後の北朝鮮の出方については見方が分かれている。
政府関係者からは「2度目の失敗は許されず、次は慎重に打つだろう」「原因究明や人工衛星の準備などには相応の時間が必要で、11日までに打つことは難しい」との分析もあるが、「短期間にもう一度打ってくる可能性は捨てきれない。北朝鮮の考えは読み切れない」との声もある。

政府は、自衛隊の迎撃態勢を維持しつつ、北朝鮮の動向を注視する方針。
朝から各地で防災無線…交通機関に影響も 沖縄県民「やっぱりこわい」
北朝鮮のミサイル発射の情報を受け、沖縄県内にはJアラートが発令され、緊張が走った。交通機関への影響も出た。

「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます」。Jアラートが出された沖縄県では、朝から各地で防災無線が鳴り響いた。

沖縄都市モノレールが一時運行を見合わせたほか、那覇空港では地上作業の中断を余儀なくされ、8便に出発の遅れが出た。

午前7時4分には再びJアラートで避難の呼びかけが解除され、県民は胸をなでおろした。

与那国町の住民:
(解除が)出ましたね、その時にはほっとしました。

宮古島市民:
北朝鮮、ミサイル、ロケット…どういう事って。やっぱりこわいよね。
那覇市民:
結果飛んでこなかったというのがありますので、ちょっとお騒がせですが、安全でしたので良かったんじゃないかと。

また、玉城知事は危機管理対策本部会議で、「国連決議に違反し、台風が接近している状況での発射は大変遺憾としか言いようがありません」と述べた。

午前11時半時点で、事故や落下物などは確認されていない。県は被害がないかなど、情報収集を続けている。
(「Live News days」5月31日放送より)