将棋の藤井聡太六冠は、5月28日に岩手・宮古市で行われた叡王戦第4局に勝利し、3連覇を果たした。今シーズンのタイトル初防衛を決めた藤井聡太六冠。宮古市での対局前日から本番、叡王戦3連覇を果たし一夜明けた29日までの3日間を振り返る。
震災犠牲者に黙とうささぐ
27日に宮古市を訪れた藤井聡太六冠と菅井竜也八段は、2022年に運航が再開された遊覧船に乗船し、船上からウミネコに餌を与え、対局では見られないような和やかな表情を浮かべていた。

藤井聡太六冠:
投げてみたが、ウミネコには食べてもらえなかったが、おかげで自分がおいしくいただいた

その後、景勝地・浄土ヶ浜に赴いた一行は、東日本大震災で犠牲になった人へ花を手向け黙とうをささげた。
藤井聡太六冠:
威力・被害の大きさを痛感した。しかし復興されている印象も強い。今後も明るい話題が増えればいいと思う

27日夜は前夜祭が開かれ、地元の小学生が二人の棋士に花束と歓迎の言葉を贈った。
宮古小学校6年生:
藤井聡太さんや菅井竜也さんにお会いできること、大変感激しています。僕は将棋をすることが大好きです。あすの対局でも日本中を驚かせる一手を楽しみにしています
藤井聡太六冠:
多くの方に注目いただける対局になるかと思うので、楽しんでいただける将棋にできるよう全力を尽くして戦いたい
異例の展開の末、藤井六冠3連覇果たす
そして迎えた対局。

28日午前9時に菅井竜也八段の先手で始まったが、2時間ほど経過したとき、同じ局面が繰り返される「千日手」となり、藤井六冠の先手で指し直しとなった。

正午の昼食休憩で、藤井六冠は「短角牛のローストビーフ丼とミニ冷麺」などを注文した。
(このメニューを手がけた)浄土ヶ浜パークホテル・久坂正夫総料理長:
食べ物で結果が左右されるような気がしてすごく緊張する。なので安心できるような料理を作りたいなと思って、なおかつ地元の食材をうまくアピールできたらいいかなと思って

会場では大盤解説が行われ、2023年2月に岩手県出身者として初めてプロ棋士になった小山怜央四段が局面を分かりやすく説明した。
訪れたファン:
今、六冠の藤井聡太さんが来られるということで、自分も見たことがなかったので、すごく楽しみにしていたし、小山さんも岩手出身ということで、解説を受けてみたいと思って来た

対局は終盤に再び千日手が成立する異例の展開に。2度目の指し直しの結果、午後9時過ぎに藤井六冠が90手で勝利し3連覇を果たした。
藤井聡太六冠:
全体を通しても結構苦しいシリーズだったと思うので、結果を出せたことをうれしく思う
“最高のご褒美”運転体験に喜び
対局から一夜明けた29日は、大盤解説を務めた釜石市出身の小山怜央四段とともに、三陸鉄道の一日駅長を務め笑顔を見せた。また、三陸鉄道の車両運転を体験した。

実は大の鉄道ファンという藤井六冠は、「三鉄のマスクがほしい」と前の社長に直接連絡していたほどで、今回の訪問は本人の希望もあり実現した。

藤井聡太六冠:
まさかここまで本格的と思ってなかったので大変うれしかった。運転体験もまさか本当に実際の車両でやると思ってなかったので、運転免許持ってないのに、いいのかなと思いながら…

自身にとって最高のご褒美となった藤井六冠は、終始笑顔を見せていた。
(岩手めんこいテレビ)