家族にとって憩いの場でもある温浴施設。イット!が取材すると、子どもを持つ親からひとつの悩みが聞かれた。それは、銭湯や温泉施設などの公衆浴場で、ある年齢からは親子であっても混浴ができない問題だ。

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銭湯の利用客は複雑な思いを抱えていた。

3歳の娘を持つ親:
(子どもが)一人だと何か不安というか、「大丈夫?パパとママは?」って聞いちゃうと思います。

「恥ずかしい」子どもの思いを尊重

現在東京では、親子であっても混浴は6歳までとなっている。この混浴年齢が条例で定められたのは、ある調査がきっかけだった。

厚生労働省が2021年に発表した調査で、6歳と7歳の多くが、異性の浴場に水着を着ないで入ることを「恥ずかしい」と回答したのだ。

この結果から、公衆浴場での混浴利用できる年齢制限を6歳までに引き下げる動きが拡大。2年前にはわずか2つだった自治体が101に増えた。

札幌市では2023年4月、市の条例改正に伴い、銭湯や温泉の混浴できる年齢が9歳から6歳に引き下げられた。市内で66年続く銭湯では、対応の難しさを実感していた。

「さつき湯」村田瑠美子さん:
若いお母さんと小学1年生になったばかりの男の子が入りに来た時に、うちとしては「主人に一緒に入ってもらうよう電話するね」と言ったら「いいです、いいです」と言って帰ってしまったので。もどかしい。何か方法がなかったかなと思いました。

さらに利用客からはこんな声があがった。

7歳、5歳の親:
長男は背が高いので、他のお風呂で「あれっ」と見られることはあった。(年齢引き下げは)しょうがないかなって。そうだよなと思った。

性被害から守る効果も

混浴年齢の引き下げは、子どもの思いを尊重するのと同時に、盗撮など性被害から子どもを守る効果も期待されている。

条例が施行されて1年以上がたった東京都内の温浴施設では変化はあるのか。

「ロテン・ガーデン」大木美幸さん:
お客さんはそんなに認知ないと思います。小学1、2年生ぐらいだと、一緒に入るつもりで来て、(親と一緒に)入れないと言うと残念がって帰る方もいます。

2歳の息子を持つ親:
何かあったら、他の人たちに迷惑をかけちゃったらと考えると不安なところはありますね。(来る頻度は)減っちゃうかな……。

各家庭ごとの考え方を尊重しながら、子どもと親がそれぞれ安心して利用できる取り組みが求められている。

(「イット!」5月30日放送より)