飲食店の入り口に並ぶ食品サンプルや、粘土や樹脂で作られたフェイクスイーツ…。
世の中には、食べ物そっくりの製品を多く見かけるが、そんな中、どう見ても本物のフルーツとしか思えない“ある作品”が話題となっている。
それがこちらだ。
粘土でマスカットを制作してみました🙌
— アリア-食べられない洋菓子店- (@AriaClay) June 10, 2020
初めて挑戦するフルーツなので、めちゃくちゃ試行錯誤しました…! pic.twitter.com/sJf1JsSVm7
粘土でマスカットを制作してみました
初めて挑戦するフルーツなので、めちゃくちゃ試行錯誤しました…!
このコメントとともに、断面がみずみずしい“マスカット”の画像を投稿したのはアリア-食べられない洋菓子店-(@AriaClay)さんだ。樹脂粘土やレジンなど、様々な素材を使用したフェイクスイーツのアクセサリーや雑貨を制作し、ハンドメイド作家兼講師として活動しているという。
投稿には6月17日現在で1万1000いいねがついて話題となり、さらには「え?えっ?え〜っ?どちらかが粘土の写真ですか?」「これ本当に粘土なんですか!?」と困惑の声もあがっている。
やはり、どう見ても本物のマスカットにしか見えないが、実際のところを確認したい。 投稿したアリア-食べられない洋菓子店-さんに話を聞いた。

そろそろマスカットが旬かな…というノリで制作
ーー粘土でマスカットを作ったきっかけを教えて
粘土造形を始めて8年ほどになりますが、突発的に「今まで一度も作ったことがないフルーツにチャレンジしてみよう!」思い立ったのがきっかけです。そろそろマスカットが旬かな…よし、決定!という軽いノリでした。
ーーどうやって作ったの?
文章でお伝えするのが難しいのですが、着色した粘土を竹串に刺して乾燥させ、塗料で断面や軸付近を細かく描きこみました。皮部分はマットな質感にしたくて、水に溶いた粘土を筆塗りしています。
・ご参考までに、マスカット制作に使用した材料を記載させていただきます。
透明粘土(商品名:すけるくん)/メディウム(画材)/模型用塗料/UVレジン(紫外線硬化型樹脂)
ああでもない、こうでもないと様々な素材や工程を試しながら上記にたどり着きました
ーー制作時間はどのくらいかかった?
乾燥時間を含めて1週間~10日程度でしょうか。作業に費やした時間よりも、乾燥のために放置していた時間の方が長いです。

ちょうどよい透け感を出すのが難しかった
ーーマスカット制作でのテーマはある?
リアルさを追求したいな、と常々意識しています。
ーーみずみずしさはどうやって表現した?
切りたてのみずみずしさを表現するために、切り口の表面にはメディウム(画材)やUVレジン(樹脂)を塗っています。光を細かく反射できるよう、ベタ塗りではなく細かな質感を付けながら塗り重ねてみました
ーー制作で最も難しかった点はどこ?
透明過ぎず不透明すぎず、ちょうどよい透け感を出すのが難しかったです。

ーーこだわった部分はどこ?
軸付近の茶色っぽい描き込みです。自然な色味を出したくて頑張りました。
みずみずしさに注目してしまうが軸付近もとても細かく表現されている。なお、アリアさんのTwitterやHPでは、これまでの作品も見ることができる。
どの作品もみずみずしさ、艶感、色味などが本物そっくりに表現されていた。そして、作品の制作工程も紹介している。
粘土に窪みをつける作業 pic.twitter.com/JM3xStvrbh
— アリア-食べられない洋菓子店- (@AriaClay) March 12, 2020

モットーは「美味しそうなまま、いつまでも」
ーー作品を制作する際に心がけていることはある?
全作品を通して、『美味しそうなまま、いつまでも』をモットーに制作しています。できる限りリアルな見た目に近づけるよう、ひたすら試行錯誤や改良を繰り返していますが、納得いかず心が折れそうになることもしばしばです。

ーーネットで話題になっているけど、どう思う?
嬉しさと驚き、といった心境です。正直軽い気持ちでなんとなく画像を投稿したので、「あれ?普段頑張って撮影してる写真よりこっちが話題になっちゃうの?」とびっくりしてしまいました。話題にしていただけるとは全然思っていなかったので。
主観だけでは分からないことがいっぱいで、改めて創作って面白いな…と気づけた出来事でした。
ーー反響はあった?
ありました。
Yahoo!ニュースに載ってたよ、と教えられてびっくりしたり。あとは単純にSNSのフォロワーさんが増えました。粘土や作品に関心を持っていただけてとても光栄です。
ーー今後どのような作品を作っていきたい?
変わらずリアルさを求めつつ、今後はニセモノでしか表現できないような要素も少しずつ取り入れていきたいです

話を聞けば聞くほど分かった、アリアさんの作品へのこだわり。引き続き、意欲的に作品を作っていくとのことなので、今後の制作にも期待したい。
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