おいしそうな料理が話題...その理由とは?
寒さが厳しい時期に体が求めるものと言えば、温かな食べ物。
そんな中、話題となっているTwitterの投稿があるので、まずはそちらの画像をご覧いただきたい!
かにすき、卵焼き、エビフライ...どれもこれもおいしそうで、食欲をそそるものだ。
しかし、このような料理写真はSNSだとよく見かけるものでもある。2万2000以上の“いいね”が寄せられているのには理由がある。(2月12日現在)
投稿者である、メガネのおじいちゃん(@meganenooo)さんのつぶやきを見てみると...
「70歳を過ぎてから暇つぶしで始めたおじいちゃんの工作です。」
そう、実はこの料理は全て作り物。世間ではフェイクフードと呼ばれているもので、ほぼ紙で作られているという。
その完成度と、70歳を過ぎたおじいちゃんの暇つぶしだということに、Twitterユーザーからは「このクオリティ!すごすぎる!」「画像開くまで何が工作なのか分からんかった」などと、絶賛の声が続々。実は筆者もリプライ欄を見るまで、卵焼きのフライパンが作品の一部と気付かなかった。
このような作品たちは、どのように作られたのだろう。
メガネのおじいちゃんさんのプロフィールを見ると、「父の作品を紹介するアカウントです」と書かれていて、どうやら息子さんが作品の魅力を伝えようとTwitterに投稿しているようだ。
メガネのおじいちゃんさんに父親の創作活動についてお話を伺ってみた。
暇つぶしの趣味として始めた
――お父様はなぜ、紙でフェイクフードを作っている?
父は1945年生まれ、74歳(2020年2月現在)になります。制作は70歳を過ぎた頃、3~4年前から続けていて、「暇つぶしの趣味として始めた」そうです。
――制作しているのは食べ物だけ?理由はある?
食べ物がほとんどですね。モチーフが身近にあるからだそうです。
――これまでの制作数はどれくらい?
2020年2月現在で、約200点になります。
――完成度の高さが話題だが、以前に何かやられていた?
これも暇つぶしの趣味としてですが、パステル画を描いていました。ただ、フェイクフードについてはお手本などがないので、自己流で作っているそうです。
ちなみに、息子さんは画家として活動していて、その腕前は日本最大の総合美術展覧会「日本美術展覧会」に出展するほど。生まれ持った美的センスはお父さん譲りといったところか。
「一瞬リアル、見ると紙」がポリシー
――作品はどのように制作する?材料や流れを教えて。
初期は厚紙でベースを作り、上から和紙を貼り付けていましたが、壊れやすいという問題がありました。そこで今は、紙粘土をベースにして同じく和紙を貼り付けたり、ティッシュペーパーや折り紙と組み合わせて作ることもあります。全て和紙という作品もありますね。
制作の過程は作品によりますが、まずはモチーフを決めてその実物を用意する。それを見ながら和紙を選別して作ることが多いです。絵の具などで着色せず、紙だけで色彩を表現するのがマイルールみたいで、「いろんな質感・色の紙のストックが必要」とよく言います。
――制作期間はどのくらい?
作品によって異なり、1時間でできるものもあれば、3日くらいかかるものもあるそうです。
――制作過程でのこだわりは?
父の作品作りでのポリシーは「一瞬リアル、見ると紙」。リアル感では食品サンプルにかなわないので、紙らしさを残しつつ、質感をうまく見立てて作るのがポイントだそうです。和紙を使う理由もそこです。
制作のヒントは、和紙を見て「あれに使えるのでは」と発想したり、逆に実際の食品などを見て「あの和紙でこれが表現できるのでは」と、思いつくこともあるそうです。
――お父様のお気に入りの作品などはある?
父は「おもち」や「すまし汁」がお気に入りのようです。おもちは焼いた餅の熱を感じさせることができたらしく、餅の膨らみは半透明の紙、焦げは薄い和紙を重ねることで表現しています。
すまし汁は紙での表現が難しい“液体”に挑戦した作品です。豆腐にピンを刺して葉を浮かせ、細く切った紙をお椀の内側、葉と同じ高さに貼ることで、汁があるかのように見えます。
どちらの作品もなかなかのアイデアと思いました。
「今のまま、好きなことをしていてほしい」
――なぜ、Twitterでの作品投稿を始めた?
作品は今は保管していますが、初期の頃は紙素材のために壊れたり、処分したりすることもありました。そのことをもったいなく感じて、写真に残して投稿するようになりました。
――作品を作り始めてから、お父様に変化はあった?
父がタブレットとInstagramデビューしました。SNSの反応などを見るようになりましたね。
インスタでも、私がサポートしながら作品を投稿しています。
――お父さんの作品が注目を集めたことについて、思うことはある?
父の作品を多くの人に見ていただきたいと思っていたので、うれしく思います。父には今のまま、好きなことを楽しんで生きてほしいですね。
70歳を過ぎて暇つぶしで始めた趣味が人々を感動させる作品となったフェイクフード。新しいことを始めるのに、年齢は関係ないことを教えてくれる良い例と言えるだろう。
リアルで紙の温かみを感じられる作品を、これからも作り続けてほしい。
(画像:メガネのおじいちゃんさんより)
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