誕生日やクリスマスなどのお祝いごとの際、フルーツでおいしそうに飾り付けられたケーキを食べるのが楽しみな人も多いことだろう。

そんな甘い物好きな人にはたまらないケーキについて今、あるツイートが話題となっている。

それが、こちら!
 



ピヨノメ@下北沢素今歩北口店(@cray_G_lady)さんが投稿したのは、2枚のデコレーションケーキの画像。右の画像にあるのは、イチゴやブルーベリーのタルト、バナナが添えられたティラミス、ショコラケーキなどが豪華に並び、見るからにおいしそう。

…しかし、このケーキはすべて本物ではなく、ピヨノメさんが粘土で作り出した作品なのだ!

画像に添えられたコメントには、
「12歳ワイ『粘土でケーキ作るの楽し過ぎワロタ』 25歳ワイ『粘土でケーキ作るの楽し過ぎワロタ』」とあり、どうやらこの2枚の画像はピヨノメさんが12歳の時と、25歳の時に手がけた作品のよう。

このツイートには、「紅茶を用意して食べてしまいたいです」「すごい再現性。ホンモノよりみずみずしい」「もはやパティシエになれる説」など、その腕前を称賛するコメントが続出。10月23日時点で、2万9000のリツイートと8万超のいいねを集めている。

ピヨノメさんは、11~12歳の時から作品を作り始め、その後に“フェイクスイーツ”というジャンルに出会ったことを機にスイーツの粘土細工をライフワークに。2018年頃から「ピヨノメ造形舎」の名義で活動を始め、現在は粘土や樹脂を使って「繊細」「忠実」「再現度」などにこだわったオブジェ作品やアクセサリーを制作しているのだという。
 

 
この記事の画像(6枚)
(上)粘土で作ったアイスクリームの作品 (下)粘土で作ったパンケーキの作品

ここまで精巧な作品を作り上げられるようになるまで、大変な苦労があったように思えるが、10年以上もの間続くモチベーションはどこから来ているのだろうか? また、思わず食べてしまいたくなるような作品を作るほどの腕前だと、実際のケーキ作りも上手だったりするのだろうか?

作品を見れば見るほど興味が尽きないことから、ピヨノメさんに話を聞いてみた。
 

「とにかく作ることそのものが楽しかった」

――12歳でTwitterにある作品を作った時の感想は?

自分でも結構気に入っていました。 押したら凹む、転がせば丸くなる、水で溶けば柔らかくなる、そんな素直な素材である粘土その物が楽しくて仕方がなかったのを覚えています。

このケーキは祖母がとても気に入ってくれて祖母の家の玄関にしばらくの間飾ってあったのですが、それを見た近所の子に「おばあちゃん、本物のケーキを玄関に飾っちゃうほどボケちゃったのかと思った!」と言われたことが今でも家族の笑い話になっています。
 

――その後、フェイクスイーツを本格的に作り始めたのは何歳の時?

14歳の時です。
 

――制作のきっかけは?

ある日、とあるホームセンターで偶然フェイクスイーツの本を見つけたのがきっかけです。 パラパラ読んだだけでも目から鱗なテクニックがたくさん書いてあり、元々粘土遊びが好きだった私は一瞬で「やってみたい!」と思い、その本と載っていた材料を一通り購入しました。 その日から今まで、夢中で作り続けています。
 

――12歳の時と現在の作品を比べて、どのあたりの技術が進化したと思う?

表面の質感にこだわるようになりました。
焼き菓子の表面はタワシやブラシやワイヤーなど、目の細かさの違う道具を使い分けて"サクサク感"や"フワフワ感"を出します。 時には粘土に膨らし粉を混ぜて加熱する、なんてこともあります。 フルーツの表面にはニスを塗ってツヤツヤ感を出しますが、その際さまざまな種類のニスをブレンドして、そのフルーツに相応しいツヤを作るようにしています。

また、12歳の時はもっぱら100円ショップで売っている粘土を使っていましたが、近年は手芸用の樹脂粘土を使用しています。
 

――10年以上、粘土のケーキを作り続けられたモチベーションは何?

「とにかく作ることそのものが楽しかった」というのが一番大きかった
です。

物心ついた時から、紙、粘土、毛糸、フェルト生地、ビーズなど、いろいろな素材で黙々と何かを作るのが何よりも楽しい遊びと思っていたので…。 そして、作った物を「すごいね」と褒めてくれる家族や周りの人たちの声にもたくさん力を貰っていました。
 

“いかに本物に忠実であるか”をいつも大事に

――作品を作る際の手順を教えて?

まず、フルーツのパーツを大量に作ります。 結構根気のいる作業なので、まとまった時間のある時に一気にやります。

パーツがたくさん出来たら、次にケーキやタルトの土台を作り、粘土が乾いたらアクリル絵具で焼き色を付けます。 そして着色したクリームの材料を使って、フルーツをデコレーションします。

最後にツヤ出しニスやレジン(樹脂)製のソース、絵具や地塗り材を使った粉砂糖風のペイントなどで仕上げをして完成です。 かなりざっくりですが、こんな感じです。
 

 

――作品作りの時、一番工夫している点と心がけている点を教えて?

先ほども触れましたが、「表面の質感をよく観察して再現すること」にこだわっています。私は小さい時から「かわいい物」よりも「精度の高い偽物」に魅力を感じていたので、“いかに本物に忠実であるか”をいつも大事にしています。 精度の高い偽物は、サイズを小さくしただけで自然と「かわいい」物体になれてしまう優れものだと思っています。
 

――反対に、毎回苦労したり難しく感じる点は?

同じ物を大量に作る時は、どうしても飽きが来て集中力が切れがちになってしまうことがよくあります。
 

――例えば、タルト一皿分を制作する場合、どのくらいの時間がかかる?

フルーツまで一から作ろうとすれば、短くても1ヶ月くらいはかかると思います。 いつもはまとめて作り置きをしたフルーツを使って何個かまとめて作ることが多いので、1つあたりどれくらいかかっているかはあまりハッキリしていません…(笑)。
 

 

台風19号で避難中の家族からもらった言葉で涙が出そうに

――作品を購入したい場合、どうやったら購入できるの?

現在のところはminne(ハンドメイド通販サイト)からメッセージで直接ご注文いただくか、今後出展を考えているイベントなどでも直接ご購入いただけます。 価格は小型の物で数千円、大型の物で数万円を考えております。 今回の反響で既に複数の受注をいただいておりますので、今からですと納期は年が明けてからになりそうです…!
 

――どんな用途で購入する人が多い?

ケーキの作品は基本的にオブジェなので、お家に飾りたいという方が多いです。芸術作品の一種としてコレクションしている方もいらっしゃいます。また、大切な方やお子さまへのプレゼント用にお願いされることもありました。
 

――これまでのお客さんからはどんな声があった?

ケーキなどの食べ物系の作品をご購入いただいた方からは、「とにかく本物そっくり!」と言っていただけることが多いです。

またレジンを使ったアクセサリーも販売しているのですが、そちらのご購入者様からは「とても繊細で美しい」というご感想を多数いただいています。 一つ一つのご感想は、制作者にとって本当にありがたいものです。
 

――作品がSNS上で反響を呼んだが、その感想を聞かせて。

自分でも何が起こっているのかわかりませんでした。minneの通知が突然大量に鳴ったので、何かと思ったらTwitterからたくさんの方にアクセスをいただいていました。

反響があったのが、台風19号がちょうど首都圏を襲っていた日だったので、情報を集める為にSNSを見ていた方が多かったのだと思います。「こんな時に呑気なつぶやきでごめんなさい…」なんて気持ちにもなりましたが、「避難先で不安な思いをしていましたが、家族でこの作品を見て気が紛れました」というお言葉をいただいた時は涙が出そうになりました。
 

――反響後、何か変わったことはあった?

その日から1週間ほど経ちましたが、100件を超えるご注文やお問い合わせをいただいており、嬉しいばかりです。 今は作家活動を私1人でやっているので対応に少しお時間をいただいてしまっておりますが、一人一人の方に良い物をお届けできるように、心を込めて取り組ませていただいております。
 

実際のケーキ作りは…「ご覧になって判断して(笑)」

――ところで、実際のケーキ作りにも作品作りの手腕を発揮しているの?

本物のケーキを作ることは滅多にないのですが、たまに作る時はそれなりに張り切ってデコレーションをします。 手腕が発揮されているかどうかは…画像をお付けしますのでご覧になって判断して下さい(笑)。
 

ピヨノメさんが作った本物のケーキ

――最後に、次に手がけてみたいスイーツ作品など教えて。

こうしたスイーツオブジェをもっと飾りやすくする為のアイディアを練っています。 テーブルや棚に置くだけではどうしても飾れるシーンが限られてしまうので、壁にかけられるような形のオブジェを作ってみたら面白いかな…とか。そんな事を考えています。

またメモスタンドやマグネット、アクセサリーなど、日常的に使っていただけるスイーツの作品も今後増やしていきたいと思っています!


 

12歳の段階で、すでに完成度の高い作品を作り上げていたにもかかわらず、さらにこだわり続けたピヨノメさん。今では、「本物以上」と言われるほどの作品を完成させる腕前には驚きを隠せない。

いつまでも「作るのが楽しい!」という思いで、これからも新しい作品作りにどんどんチャレンジしていってほしい。
 

(画像提供:ピヨノメ@下北沢素今歩北口店さん)