5月21日(日)に行われるGⅠレース「オークス」(東京競馬場・芝2400m)。

3歳牝馬クラシックの第2戦(第1戦・GⅠ桜花賞、第3戦・GⅠ秋華賞)として定着しているオークスは、3レースある牝馬クラシックの中でも最も距離が長い2400mのレース(桜花賞1600m、秋華賞2000m)。スピードだけでなく、長い距離を走りきるスタミナとタフさも必要となる。

またオークスは、のちに活躍する名馬たちが数多く誕生するレースとしても知られている。

今年で84回目を迎えるオークスから、一体どんな名馬が誕生するのだろうか。

今回のオークスの注目ポイントを紹介する。

リバティアイランド×川田将雅騎手

牝馬クラシックの第1戦・GⅠ桜花賞を制したリバティアイランドが、今回のオークスでも断然の主役だ。

デビュー戦で競馬界に衝撃を与えたリバティアイランド。2022年7月30日、新潟競馬場で行われた2歳新馬戦(1600m)で、JRA最速タイとなる“上がり31.4秒”という驚異的な数字を記録した。

(※「上がり」は、ゴールから逆算して残り600メートルで記録したタイム)

GⅠ桜花賞で優勝したリバティアイランド
GⅠ桜花賞で優勝したリバティアイランド
この記事の画像(7枚)

リバティアイランドは、2歳女王として挑んだGⅠ桜花賞でも、再び衝撃を与えた。

逆転を狙うライバルたちと初対戦の強豪馬たちを相手に迎えた桜花賞、断然の1番人気を背負うリバティアイランドは、後方でレースを進める。最後の直線で馬場の外に出ると、前にいた馬を驚異的な脚で差し切り、勝利。この時の上がりは(このレースで?)最速の32.9秒であった(上がり2位は33.6秒)。

リバティアイランドは「同世代に敵なし」と言わんばかりの衝撃の走りをここでも見せ、女王の座を譲ることなく、牝馬クラシック1冠目を獲得した。

そして、リバティアイランドとすべてのレースでコンビを組んでいるのは、川田将雅騎手。

川田騎手は今年度60勝(5月19日時点)を挙げており、勝利数でランキング付けするJRA全国リーディングのトップに立っている。

また、今年の3月には世界第2位の賞金額(1着賞金は約9億円)を誇るドバイワールドカップでも、日本人初の勝利を挙げている。

リバティアイランドに騎乗する川田将雅騎手
リバティアイランドに騎乗する川田将雅騎手

5月17日、リバティアイランドの最終追い切りに騎乗した川田騎手は、次のように語った。

――最終追い切りは?
最後を伸ばすように、身体を伸ばしてくるという追い切りで、とても雰囲気良く追われたと思います。

――桜花賞での学びは?
結果として後方からの競馬になりましたが、桜花賞に向かっている時もその先のオークスを見据えていましたので、桜花賞そのものがオークスにつながってくるレースでした。

――牝馬三冠が期待されていることについては?
そういう楽しみをみなさんが持っていただける馬だと思います。
ただ我々としては目の前の一戦一戦を大事に歩んでいくだけですので、まずはオークスを無事に走り切ることが第一です。

最終追い切りを行ったリバティアイランド
最終追い切りを行ったリバティアイランド

衝撃を与え続けるリバティアイランドは、トップジョッキー・川田騎手を背に、牝馬クラシック2冠を達成することができるだろうか。

キタサンブラック産駒の注目3頭

国内外のGⅠで活躍し、『ロンジンワールドベストレースホースランキング』で世界ランキング1位(5月19日時点)に輝くイクイノックスや、今年4月のGⅠ皐月賞で勝利を挙げたソールオリエンスなど、昨今の競馬界で著しい活躍を続けているのがキタサンブラック産駒である。

そんな勢いのあるキタサンブラック産駒からは3頭の娘、コナコースト、ラヴェル、ヒップホップソウルがオークスに出走。

GⅠ桜花賞で2着となったコナコースト
GⅠ桜花賞で2着となったコナコースト

GⅠ桜花賞に出走したコナコーストは、前目の位置でレースを進めると、ゴールから残り200mのところで先頭に立った。そのままゴールするかと思われたが、猛追するリバティアイランドにゴール直前で交わされ、惜しくも2着に敗れた。

コナコーストは、桜花賞を含め、これまで4レースに出走している。デビュー戦は1着で勝ち上がったが、その後のエルフィンステークス、GⅡチューリップ賞、そしてGⅠ桜花賞ではすべて2着に敗れており、「あと一歩…」という惜敗が続いている。

コナコーストは、短期免許で来日中のオーストラリアの若き名手ダミアン・レーン騎手との新コンビ。オークスを制することはできるだろうか。

ラヴェルは、ここ2戦では結果を出せていないが、昨年10月、東京競馬場で行われたGⅢアルテミスステークスでは、現・女王リバティアイランドに唯一の黒星をつけた。東京競馬場という舞台で、再び女王を撃破することはできるだろうか。

ヒップホップソウルは今回GⅠに初出走。女王リバティアイランドとは今回が初対戦となる。底を見せていないヒップホップソウルは、“産駒”の勢いそのままに番狂わせを起こすことができるだろうか。

キタサンブラック産駒の3頭の走りに注目だ。

ディープインパクト産駒の”最終世代”

ディープインパクト。競馬に詳しくない人でも、その名前を一度は耳にしたことがあるだろう。

無敗の三冠馬となり、GI7勝を挙げたディープインパクトは、2019年にこの世を旅立った。その2019年に生を授かったディープインパクトの“最終世代”と呼ばれるのが、現在の3歳馬たちだ。

そして、その“最終世代”は国内にはわずか6頭しかいない。

父・ディープインパクトを彷彿とさせるライトクオンタムの走り
父・ディープインパクトを彷彿とさせるライトクオンタムの走り

そんな数少ないディープインパクト産駒からこのクラシックの舞台に出走するのが、ライトクオンタムである。

ディープインパクト産駒は、初年度から現在まで12世代連続でクラシックの舞台で勝利を挙げており、クラシックの勝利数は産駒としては最多の24勝である。また、オークスでは歴代最多タイとなる4勝を挙げている。

ライトクオンタムは今年のオークスで勝利を挙げ、亡き父ディープインパクトに初年度から最終までの13世代連続となるクラシック勝利と、オークス5勝目をプレゼントすることはできるだろうか。

偉大な兄を追いかけるペリファーニア

ペリファーニアとは、ギリシャ語で「誇り」という意味である。また、馬名の由来は、兄の名前からの連想だという。

その兄というのは、エフフォーリアだ。

エフフォーリアは2020年にデビューすると、翌年の牡馬クラシック第1戦・GⅠ皐月賞を4戦4勝で制した。無敗で挑んだGⅠ日本ダービーでは、わずかな差で2着に敗れるも、10月のGⅠ天皇賞・秋、12月のGⅠ有馬記念では、強豪馬をねじ伏せ、その年に最も活躍した馬に贈られるJRA賞年度代表馬に選出された。

ペリファーニア
ペリファーニア

ペリファーニアは、新馬戦1着→GⅡチューリップ賞3着→GⅠ桜花賞3着と、一戦一戦、着実にステップアップ。

また、すべてのレースでコンビを組んでいるのは横山武史騎手である。横山騎手は、初のGⅠタイトルをエフフォーリアで獲得。

ペリファーニアは、偉大な兄=エフフォーリアの背中を知る横山騎手に導かれ、兄同様クラシックの舞台で勝利を挙げることはできるだろうか。

オークス最多勝利の現役騎手

現役の騎手でオークス最多勝利数を挙げているのは、武豊騎手とクリストフ・ルメール騎手の2名で、ともにオークス3勝を挙げている。

武騎手はソーダズリング(トライアルレースのGⅡフローラステークス2着)との再コンビ、ルメール騎手はハーパー(GⅠ桜花賞4着)とのコンビで、オークス4勝目を狙う。

なおルメール騎手は、昨年のオークスをスターズオンアースで勝利。

オークスという大舞台を知り尽くす武騎手とルメール騎手がどんな騎乗を見せるか注目だ。
 

絶対女王の二冠か?他馬の逆襲か?

今年もオークスから目が離せない!

みんなのKEIBA オークス・GI
5月21日(日)15時から生中継
https://www.fujitv.co.jp/sports/keiba/index.html

 
みんなのKEIBA
みんなのKEIBA

フジテレビスポーツ局が制作する競馬情報番組。毎週・日曜日午後3時より放送中。番組MC:DAIGO/佐野瑞樹/竹俣紅 解説者:井崎脩五郎/細江純子 ※放送時間は変更される場合があります