世論調査は「歪められている」?

米国のマスコミの世論調査は「歪められている」らしい。
市場調査などで定評あるマクラフリン&アソシエイツ社が、そう結論付けた分析報告書をトランプ大統領に提出した。

マクラフリン&アソシエイツ社がトランプ大統領に提出した分析報告書(mclaughlinonlineより)

同社は、CNNが8日発表した大統領選に向けての世論調査でトランプ大統領に投票すると回答した人が41%、民主党のバイデン氏に投票すると答えた人が55%と大差がついていたことを不満としたトランプ大統領の依頼で調査分析を行い即日報告したもので、その標題は「歪められた(skewed)マスコミの世論調査に関して」となっていた。

共和党・トランプ大統領(左)と民主党・バイデン氏(右)

報告書は本文で25行ほどの簡潔なものだが、まず「最近のマスコミの歪められた世論調査は意図的なものと考えられる」として「NBCやABCそれにCNNなど民主党支持者がキャスターをしている番組では、常に共和党への支持が低い世論調査が報告され、それに従って偏向した報道がなされている」と断じている。

サンプルの選び方と質問のあり方

報告書が指摘するのは先ずサンプルで、単に「成人」或いは「有権者登録済みの者」を対象にして「投票する」と表明した者ではないことだ。その結果(民主党支持者に多い選挙に行かない者が含まれるので)サンプル中の共和党支持者の割合が低くなる。

2016年の大統領選の場合なら共和党支持者は全投票者の33%を占めていたが、マスコミの世論調査の場合に共和党支持者の占める割合は26%か25%、時として24%しかないことがある。その分、現実の選挙で共和党へ投票する者の予想が低めに出ることになる。

CNNの場合1259人のサンプルの対象は「成人」で「有権者登録済みの者」でもなければ「投票する」としたものでもなかった。その結果「共和党支持者」は回答者の25%に過ぎなかった。

またCNNが調査をしたのは6月2日から5日の間で、5日に失業率が大幅に改善されたことは反映されなかった。それだけでなく質問表で「大統領の職務執行能力」と「誰に投票するか?」の間に「人種問題」が挿入されて、否定的な回答を誘導する意図を感じさせる。

全米に拡大した人種差別への抗議デモ

「CNNの世論調査はサンプルの取り方と質問表の両面で偏向しており、トランプ大統領に不利な結果を出すことを狙ったものとしか思えない」

マクラフリン&アソシエイツ社の報告はこう結論づけている。

この報告を受けてトランプ大統領はCNNに対してこの世論調査の撤回と謝罪を求めたのだが、当然CNN側は拒否し逆に大統領の不当なマスコミへの介入だと批判した。

トランプ大統領のツイッターより

トランプ大統領のツイッター:
「世論調査で定評あるマクラフリン&アソシエイツに依頼した今日のCNNの世論調査について分析結果の報告を受けた。我々が実感している国民の圧倒的な支持と相反するフェイクだと思ったからだ。報告は一目瞭然だ。彼らと他の連中も我々が負かすたびに同じことを繰り返している」

「隠れトランプ支持者」だけではなかった

「アメリカを再び偉大に」と訴えるトランプ大統領

いずれの主張が正しいかはともかくとして、米国のマスコミの世論調査でトランプ大統領の支持が低めに出ることは確かだ。前回2016年の大統領選でも、投票日直前にABCニュースが伝えた最新の世論調査は、クリントン50%対トランプ38%で大差がついており、名の通った米国のマスコミの中でトランプ候補の優勢を伝えたのは投資家向けの専門サイトIBDだけだった。

この問題は選挙後様々に分析され「隠れトランプ支持者」が居たのではないかとされているが、それだけでなく米国のマスコミの世論調査は恣意的なものかと疑ってかかることも必要なのかもしれない。

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】