宮城県は4月26日、感染症法上、5類に移行される新型コロナの対応について協議・決定した。基本的には国の方針に沿ったものとなっているが、一部、県独自の対応もある。実際何が変わったのか、改めて整理する。
この記事の画像(15枚)外出自粛求めず 個人の判断に
感染が疑われる場合について
これまでは指定された診療・検査医療機関で診察を受けていたが、5月8日以降は、季節性インフルエンザと同様、かかりつけ医など、近くの外来対応医療機関にて診察を受けることになる。
感染が確認された場合について
自宅もしくは入院での療養は継続となる。自宅療養の場合、これまでは、発症から7日間かつ症状が軽くなってから24時間経過で外出自粛解除となっていたが、5月8日以降は外出自粛は求められず、個人の判断に委ねられる。また、濃厚接触者の特定は終了する。
一方で、国の方針と同様に、発症から5日間かつ、症状が軽くなってから24時間が経過するまでは外出自粛を推奨している。また、症状が快方した後も発症から10日目までは、他者へ感染させる恐れがあるとし、マスクの着用するなど配慮が必要、としている。
全ての病院で患者受け入れ可能な体制構築へ
医療提供体制について
(外来)現在、県内では約700の医療機関が、新型コロナの診察を受け入れている。今後、さらに多くの医療機関で受け入れが進むよう調整を進めていく。
(入院)現在入院の受け入れを行っているのは42病院622床。5月8日以降は、この受け入れ可能な病院を、116病院1010床に拡大。今後、県内にある132のすべての病院で受け入れができるよう調整を進める。
入院の調整について【県独自の対応あり】
これまでは行政が担っていたが、移行後は医療機関が調整。一方で、調整が困難な場合に備え、移行期の9月末までは「移行期医療調整本部」を設け、緊急時の調整にあたる。
※国は入院調整を、原則、医療機関で行う仕組みに段階的に移行する方針を示している。
治療費は 原則「自己負担」に
治療費について
これまでは陽性確認前の初診料を除き、検査・入院費などは公費により賄われ、自己負担はなかった。5月8日以降は原則、すべて自己負担となる。一方、治療薬については全額が、入院費については月に最大2万円まで公費で負担される。
宿泊療養施設について【県独自の対応あり】
要介護高齢者の隔離目的を除き廃止。要介護高齢者のケア付き宿泊療養施設は最長で9月末まで継続。(自己負担あり)
相談窓口について【県独自の対応あり】
県の「受診・相談センター」「体調悪化時の相談窓口」を統一し、「受診情報センター」として継続。電話番号0120-056-203(24時間年中無休)
支援物資について
自宅療養者に送られていたパルスオキシメーター・食品・日用品などの支援物資は終了。有症状者向けの検査キットの配布も終了。
一般向けの無料検査場について
5月7日をもって無料対応は終了。5月8日以降は有料にて実施。
ワクチンについて
2024年3月31日まで自己負担なし
毎日の感染者数公表はなし
感染者数の公表について
これまでは毎日、感染者の総数が発表されていたが、5月8日以降は、県内で指定された医療機関の平均感染者数を、翌週の木曜日に発表する。初回の公表日は5月18日(木)。5月8日(月)から14日(日)までの1週間の数字を出す。クラスターについての発表は終了となる。
飲食店の認証店制度について【県独自の対応あり】
廃止とする一方、既存の仕組み「みやぎ食の安全安心取組宣言」を活用し、自主的に感染対策に取り組む飲食店に対し、感染対策取組店シールを交付。
その他
「県の対策本部」や陽性が確認された際に報告していた「陽性者サポートセンター」も廃止。「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による行動制限」「県民などへの要請」も出来なくなり、県は感染者数が増加した場合は記者発表などで県民に情報提供・注意喚起を行うとしている。
一方で…新規感染者数は増加傾向
県内では、新型コロナへの新規感染者数は増加傾向にある。4月で、前の週の同じ曜日を上回った日は30日中21日だ。
最大で9連休となる今年の大型連休。東北新幹線の予約済み指定席はおよそ33万席。コロナ禍前の9割にまで回復した。被災地にも県外の観光客が多く訪れている。
感染症法上の分類が5類に移行されるからといって、新型コロナの病原体が無くなったわけではない。今後、感染対策は個人の判断に委ねられるが、流行状況に応じて、自主的な感染を防ぐための行動が求められる。
(仙台放送)