新型コロナウイルスによる影響を大きく受けているスポーツ界。

6月14日放送の『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)では、新型コロナウイルスに感染した元プロ野球選手の片岡篤史さんが闘病について告白。また、無観客の場所でひっそりと引退を決めた相撲・豊ノ島と側で支えた家族に密着した。

闘病生活で支えになったのは

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元プロ野球選手で、昨年10月からYouTuberとしても活躍している片岡さんは、新型コロナウイルスに感染し、変わり果てた姿をYouTubeに公開したことで日本中がショックを受けた。

この闘病の裏で『ジャンクSPORTS』も大変なことに。

3月19日、感染が判明する20日前に片岡さんはフジテレビで『ジャンクSPORTS』の打ち合わせに出席。“いま話題のSNSで発信するアスリート”というテーマで話す予定で、その収録は4月6日。

収録に向け、番組MCの浜田雅功さんとどんな話をするか、頭の中でシミュレーションを繰り返していたという。

しかしこの頃、国内の感染者は日を追うごとに増加し、緊急事態宣言が出るのも時間の問題だった。そして、番組から収録中止の連絡が片岡さんのところに連絡が入る。

その後、片岡さんは収録予定日の翌日に発熱し、その次の日に陽性が判明した。リモートで出演した片岡さんはこの時のことをこう振り返る。

「4月7日の夕方におかしいなと思って、救急で病院に行って、その時も駐車場で『車から降りないでください』と言われて。看護師さんも完全防備で。熱が38.5、6度あったので、コロナの疑いがあると、すぐに肺のCTを撮って。すぐに肺炎と出て、PCR検査を受けて、すぐに結果は出ないのでその日は入院しました。その翌日に陽性反応が出まして。そこからコロナの対策をしてくれる病院に行きました」

4月8日に新型コロナウイルスに対応する病院に入院し、それから17日間にわたる苦しい闘病生活が始まった。

「私はアビガンを9日から朝8錠、夜8錠飲んで、それによって39度近くあった熱がやっと下がって。YouTubeに出したのは、だいぶ楽になったから出せたんです。みなさん、コロナの一番苦しい時に出していると思われていますが、あれは楽になったから出せました」

回復後、片岡さんが医師に聞くと、片岡さんの症状は10段階で言うところの2から3で軽症の部類。あれだけの苦しみで軽症という事実にショックを受けたという。

そんな片岡さんの闘病生活の一番の支えとなったのは、PL学園の先輩である清原和博さんから毎日送られてくる花の写真。「パワーをくれる花」とメッセージが添えられていたという。

自粛中のアスリートは…

オリンピックにおいて数々の記録を打ち出し、栄光をつかんできた日本の水泳。

特に瀬戸大也選手は、昨年行われた世界水泳において、2種目で優勝し、いち早く、東京オリンピック代表の座を勝ち取り、今年になってからも絶好調で金メダルは確実とも言われていた。

そこでシドニーオリンピック銅メダリストの田中雅美さんが、家族ぐるみの付き合いがある、妻・馬淵優佳さんから聞いた、瀬戸選手の今を明かした。

田中さんは「瀬戸選手は早い段階からアイデアを出して、家の庭にプールを作って感覚を養う水中トレーニングを始めました。(プールは)コストコで購入したようですが、4月5月ってまだ寒いじゃないですか。お湯を入れてもすぐ冷たくなるので、近所の人が協力してくれてお湯を引いて、温かいプールを作ってくれたようです。練習後は娘さんと一緒にプールに入っているみたいです」と話した。

すると浜田さんが「全く泳がないよりは全然違う?」と質問すると、「賛否両論あります。ただ何が大事かというと、本人が納得して良い時間を過ごせたと思えるのなら、瀬戸選手にとってはこの水中で水の感覚を養うのがすごくよかったということだと思います」と明かした。

また、飛び込みの東京オリピック代表・寺内健選手にもリモート取材を敢行。

小学生のころから強化選手として顔を合わせて、1996年のアトランタオリンピックではともに日本代表として世界と戦った2人は今でも大の仲良し。

今の状況を寺内選手は「2ヵ月間ほぼ自宅。週に4日くらい自宅の中で1時間くらい軽いトレーニング。プールにも行けないですし、自宅の中でできるトレーニングをして、その他はゆっくりゴロゴロ過ごしています」と話す。

基本的には自分の体重を使ってできるトレーニングを行い、飛び込み競技で重要な“水に入るときの入水”の姿勢を普段の生活の中ですることがないため、逆立ちをして感覚を養っているという。

しかし、「ジャンプをすると下の階の人に迷惑を掛けてしまうので、配慮しています」とマンションでのトレーニングは限界があることも明かした。

来年のオリンピック期間中に41歳を迎える寺内選手に対して、田中さんは「彼は一時期、現役を離れていて、一度引退しているんです。2年くらい飛び込まなかった経験があるので、復帰するためのノウハウを持っていますし、6度目の挑戦なので、良いパフォーマンスをしてくれると思います」と期待を込めた。

元バドミントン選手の潮田玲子さんは、今、自宅でできる簡単トレーニングとして、“バドミントンヨーヨー”にハマっていることを明かした。

バドミントンのラケットとシャトルとひもだけで簡単にできる“バドミントンヨーヨー”。しかし、潮田さんは「自分のラケットに(ひともシャトルが)付いているので、打って戻したら戻ってくる。なので、(ラケットを)戻すコントロールができない。意外と難しい」と話した。

そこでスタジオでは、プロランナーの神野大地選手や浜田さんが挑戦した。

家族が見守った豊ノ島の引退

身長168センチと小柄ながら、持ち前の相撲センスと多彩な技で関取として活躍した豊ノ島。

今年1月の初場所、十両で大きく負け越し36歳で幕下陥落。度重なるケガもあり、引退がささやかれた。

しかし、この時の豊ノ島を支えたのは家族の言葉。幕下に落ちると無給生活になることを理解していた長女・希歩ちゃんは「私がお金を貸してあげる」と言ったという。

その言葉を聞き、家族のため、もう一度だけ関取復帰を目指した。だが、負け越した場合は引退。背水の覚悟で臨んだ大阪場所は史上初めて無観客で行われた。

迎えた初日。大阪にいた、豊ノ島の妻・沙帆さんと希歩ちゃんは「応援に行けないのは寂しいけれど、少しでも近くにいよう」と必勝祈願に。

「7回勝つため」にお賽銭は70円。幕下以下は、1場所7番。幕下とはいえ、その上位にいる豊ノ島は4勝以上の勝ち越しで十両復帰が濃厚となる。

しかし初日は相手に寄り切られ敗戦。その後、一進一退の相撲が続くも、10日目まで5番取り終えて2勝3敗。次の一番に負けると負け越しがきまってしまう。

そして11日目、希歩ちゃんは「大丈夫、だって、とうとう(お父さん)と約束したもん。勝ち越したらおすし、食べに行こうねって」と話した。相撲が大好きな希歩ちゃんにとって、強いお父さんは世界一のヒーロー。いつまでも力士のままでいてほしい、と希歩ちゃんは強く思っている。

しかし、この日の一番を落せば引退。もう一敗もできない大一番だった。

車の中から応援をする沙帆さんと希歩ちゃん。

行事の軍配は相手にあがったが、土俵から出たのはほとんど同時だったため、微妙な判定に物言いがつき、協議へ。しかし、行事の軍配通りとなり黒星を喫した。

その瞬間、希歩ちゃんは「嫌だ、やめて欲しくない!」と、お父さんの引退という現実を受け止めきれずにいた。見守ってきた沙帆さんも「それは辞めて欲しくない。やっぱり、お客さんの前でやってほしいから、こんな無観客が最後なんて嫌です」と涙を流した。

土俵生活18年、ファンに愛された人気力士は、無観客の場所で土俵に別れを告げた。

スタジオでは潮田さんが「言葉が出ないです。決めるのは本人だと思うのですが、私の主人も現役で、同じ35、6歳。このまま終われないという気持ちもありつつ、モチベーションを持っていく難しさも感じているようで、こうやって決断するアスリートは今の時期多いと思います」と目をうるませた。

そんな豊ノ島から浜田さん宛に「落ち着いたらスタジオへ行きたいと思っていますが、1つ問題があります。もう現役ではないので、スーツで行きたいのですが、この“わがままボディ”でなかなか合うスーツがありません。なので、浜田さんにオーダーでスーツを作って頂けたらうれしいなと思います」とメッセージが届く。

娘と一緒にお願いされたことで、浜田さんは「娘を横に置いて…。わかった!“わがままボディ”に合うように作りましょう!現役お疲れ様でした」と快諾した。

(『ジャンクSPORTS』毎週日曜日夜7:00~8:00放送)