石川県金沢市のとある町。この町の住民が子育てに関する困りごとを抱えているという。どんな問題なのか取材した。

子供たちが外で安全に遊べる場所がない!…住民の切実な声

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この町で、小学校低学年の子供を育てる3人に聞いた。

城﨑円花さん:
周辺に子供たちが安全に遊べるスペースがなくてすごく困っているんです。公園は一応あるんですけど「公園行ってくるね」「行ってらっしゃい」というわけにはいかなくて…。

周辺には3つの公園 実際に歩いて見えた問題点

どんな地域なのか探るべく周辺を歩くことに。町内に公園はないがこの地域には周辺に3つの公園がある。この3つの公園では駄目なのだろうか?

玉邑大さん:
車が分かりづらいんですよ。向こう側が見えないので非常に危ない。子供はワーって勢いで行っちゃうんで出会い頭の衝突とかを心配しています。
秋末械人アナウンサー:
たしかにここは結構いびつな形なので親御さんが一緒じゃないと怖いですね。

1つ目の公園は歩いて5分ほどの距離。しかし最大のネックが…

秋末アナ:
決して広くはないですね。
城﨑さん:
そうですね。ボール遊びは危険でできない。遊具があるのはいいけど、やっぱり子供が活発になってくると狭いです。

子供たちにも話を聞いてみた。 

記者: 
ここの公園でできないことは?
子供たち:
ボール遊び!もうちょっと広い公園がいい!

やはり城﨑さんたちが求める子供たちが安全で思いっきり遊べる公園ではない。さらに2つ目の公園に向かってみると。

記者:
ここでもう歩道がなくなっちゃうんですね。
城﨑さん:
そうです。もちろん横に広がって歩かせられないので。

歩道が無いだけでなく途中で踏切を渡る必要がある。10分ほど歩いて2つ目の公園に到着した。

記者:
広いですね。
城﨑さん:
遊具もあって理想的なんですけど、ここまで子どもを連れてくるっていうのは負担ですね。

十分な広さがあるものの公園に行くまでの道のりが心配だ。つまりここも安心はできない。残る最後の公園に至っては交通量の多い大通りを渡らなければいけない。低学年の子供を持つ親にとって安心して送り出せる場所ではない。

そこで城﨑さんたちが考えたのは…

城﨑さん:
直接市長さんに要望書を提出することができました。

金沢市の返答は“新たな公園は設置しない”

2022年5月に村山市長に提出された要望書。子どもが事故に遭う危険性があることや、ここ数年で町内の子供が増加していることなど、地域の事情を踏まえ新たな公園が必要な理由が8ページに渡って書きこまれている。しかし…

城﨑さん:
今のところ金沢市の姿勢としては金沢市全体の人口に対して緑地は足りているということで、今から新しく公園を作るつもりはないというのが基盤になっている。

金沢市が根拠とするのは市民1人あたりの公園面積。金沢市はおよそ13平方メートルとなっている。実はこの数字、新潟や静岡など中部地方の政令指定都市と比べても高い数字となっている。改めて泉本町4丁目に公園を作らない理由を石川テレビが市に聞いてみると。

金沢市のコメント:
1人当たりの都市公園面積は全国の中核都市平均より高い整備水準にある。市内800カ所以上ある公園の維持管理費の増加を踏まえ新規の公園は設置しない。

地域の事情に関わらず、金沢市は新たな公園の設置はしないというのだ。まちづくりに詳しい金沢大学の藤生慎准教授に聞いてみると…。

藤生教授:
金沢市は数字しか見ていない。人口に対してこれだけの緑地面積だって言っているだけで、そこに住んでいる人たちにとってアクセスしやすい、それから子どもたちにとって安全で安心な公園が整備されているのかっていう観点で見ていない。面積に対して人口の分布や建物の分布、子どもの分布というものがあるので、その分布に合わせて公園整備を柔軟に変えていかないといけない。

異次元の少子化対策が叫ばれる中、市民の切実な声に対し、自治体の柔軟な対応が望まれる。

(石川テレビ)

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