イギリス北部スコットランドや南部のイングランドで、相次いでオーロラが撮影されている。

本来オーロラは、北極や南極など、緯度の高い場所で観測されるものだが、今回はなぜイギリスで見られたのか。

異例の現象について、国立極地研究所の片岡龍峰准教授に、オーロラ出現の原因と日本での観測予想などについて聞いた。

「磁気嵐」で起きるオーロラ

ーーなぜオーロラが出現した?
「磁気嵐」という現象が起きたことが原因です。

磁気嵐は、世界中で地球の磁場が乱れる現象です。
普段オーロラは緯度の高い地域で見られる現象ですが、磁気嵐という特別な状況になると、普段よりも緯度の低いところまでオーロラが広がってきます。

スコットランドで撮影されたオーロラ
スコットランドで撮影されたオーロラ
この記事の画像(5枚)

ーー磁気嵐が起きる要因は?
太陽の爆発現象で磁気嵐は起きます。

数日前に太陽から地球向きにプラズマの爆風が吹き出ています。
そのプラズマの爆風が何日かかけて地球までやってきて、プラズマの爆風と地球の磁場が相互作用して「磁気嵐」が起きています。

北海道で見られる可能性も

数日前に太陽が爆発し、磁場を持った太陽風が地球まで届いたことで起きた「磁気嵐」。

太陽の動きが活発化する中、北海道でも来年から再来年にかけてオーロラが見られる可能性があると片岡准教授は話す。

イングランドで撮影されたオーロラ
イングランドで撮影されたオーロラ

ーー太陽の爆発現象は定期的に起きている?
現在、太陽活動はだんだんと活発になってきています。
最近で最も静かだった2020年ごろから数年かけて活発になってきている状況です。

太陽の黒点と呼ばれる、黒いシミのような模様が増えていたり、太陽の爆発現象の増加でその様子がわかります。
2025年ぐらいに太陽活動のピークが来るだろうと言われていて、今はその上り坂です。

そのため、度々太陽爆発が磁気嵐を起こす現象が起きていて、イギリスやニューヨークでもオーロラが出現しています。
来年、再来年にはさらに増えると思われます。

(イメージ)
(イメージ)

ーー日本で見られる可能性は?
あります。
2015年3月に起きた大きな磁気嵐では、北海道でもオーロラが撮影されていますが、今回の磁気嵐でも、北海道から北の空に少し淡いピンクのオーロラのようなものを撮影した人が何人かいます。

来年、再来年にはもう少し大きな規模の磁気嵐が度々起きると思うので、その時にはもっとはっきりとしたオーロラを北海道で撮影できるチャンスがあると思います。

1770年に“巨大な磁気嵐”

一方、歴史を遡ると日本全国にオーロラが出現したという記録も残されている。

ーー東京上空では?
歴史的には1770年9月に、数百年に一度という“巨大な磁気嵐”が起きて、その際には、東京や京都、長崎など日本全国でオーロラが出現したという記録が残っています。

しかし、2025年は、そこまで巨大な磁気嵐にはならないだろうという予想です。

太陽活動が活発だから巨大な磁気嵐が起こるということではなくて、運が悪いことが重なってランダムに起きます。
よって、太陽活動が活発じゃない状況でも単発で凄まじい磁気嵐が起こる可能性もあります。

フィンランドのオーロラ
フィンランドのオーロラ

太陽活動は11年周期で、11年に一度活発になりますが、2025年はあまり大きなピークではありません。

江戸時代には京都の真上までオーロラが来たということもありましたが、今回はそこまで大きな磁気嵐を予想している専門家はいません。