ごみを燃やした時に出る「スラグ」と呼ばれる粉状の物質がある。
このスラグが、地球環境に配慮した社会をつくる新時代の肥料として注目されている。

無駄のないエコ栽培

ずらっと一面に並んだ太陽光パネル。岩手・紫波町の太陽光発電施設。
これだけならばよく見かける光景だが、一風変わっているのはこのパネルの下。育てられている植物は畑ワサビ。

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栽培をしている会社、オービットワンの佐藤大実社長。

オービットワン・佐藤大実社長:
根の方を育てるのではなく、茎の方を育てるワサビ。耕作放棄地の農地を再利用しようと

収穫後は加工会社へと出荷され、チューブワサビの原料として使われている。
場所をむだにしないエコな栽培だが、もう1つ工夫が凝らされている。
生育に使う肥料。
これが「スラグ」というその肥料。一見 砂のように見えるが、農作物の生育に効果がある、ケイ酸とアルカリ分を含んでいる。

このスラグを作っているのは、肥料メーカーではなく鉄鋼メーカーのグループ会社。
試験的に使ってもらおうと、2020年 岩手県内の農家などへ配った。

一般ごみから肥料「スラグ」を抽出

スラグは、元々は私たちが生活で出す一般ごみ。
その一般ごみを焼却場で高温で処理することで成分だけが残る。

日鉄エンジニアリング調査役・玉山昭光さん:
私たちの設備は燃やすのでなく、溶かす。1700~1800度まで温度を上げるので無菌状態。雑菌は入っていない

農作物に使う肥料は、国が登録したものでなければならない。
スラグは3年前に仮登録されたが、現在は静岡県の焼却場のものだけが認められている。
県内では滝沢市と釜石市の焼却場で出るスラグも同じ品質だが、国に認められていないため使うことができない。
この会社では本格的に使用が認められれば、地元で活用できると話す。

日鉄エンジニアリング調査役・玉山昭光さん:
この辺は岩手山の噴火で酸性土が多い。土壌改良できないか

実際にすでに肥料として使っているワサビ栽培では、スラグの効果が出ているという。

オービットワン・佐藤大実社長:
本来は2年くらいたったものを出荷しているが、1年で出荷できているものもあるので、成長が早いのでは

雫石町でも2020年、酒米を栽培する水田にスラグをまいた。
稲の生育では静岡大学などとの研究により、株が大きくなり、倒れにくくなる効果を期待できるという。

ごみを応用し環境負荷を減らす取り組み

環境に負担をかけない循環型社会の新時代の肥料へ。
製造元の会社では、さらなる広がりを目指している。

日鉄エンジニアリング調査役・玉山昭光さん:
ごみは減っていかなければならない。減らしたうえで、ごみは出るのでいろんなものに応用できないか

製造元では2020年度中の国の認可を目指している。

(岩手めんこいテレビ)