カジノを含む統合型リゾート「IR」を大阪に作る計画が国に承認された。全国初のIRが現実味を帯びてきた。実現すると、関西にどんな影響を与えるのか。

東京ディズニーシーとほぼ同じ広さ カジノなどを作る「大阪IR計画」

14日、大きく動いた「IRカジノ計画」。

岸田文雄首相:
国土交通大臣が、大阪の区域整備計画の認定を行うこととなりました。IRは、国内外から多くの観光客を呼び込むものとして、我が国が観光立国を推進する上で、重要な取り組みです

政府は、IR=カジノを含む統合型リゾートについて、大阪府と大阪市が2022年4月に申請した整備計画を正式に認定した。国内でIRが認定されるのは初めてだ。

大阪市 横山英幸市長:
大阪の転換点になると思います。そういう意味では本日、IRエリアが認可されたことは本当に喜ばしく思っています

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記者リポート:
大阪・夢洲にやって来ました。こちらの奥に東京ディズニーシーとほぼ同じ広さとなるIRを、大阪府・市は2029年にも開業させる予定です。今回の正式決定を期に、開業に向け、大きく動き出します

人工島・夢洲で、東京ディズニーシーとほぼ同じ広さの中に、カジノや国際会議場、ホテルなどを作る「大阪IR計画」。

オリックスとアメリカのMGMが運営事業者となり、初期投資は約1兆800億円。その経済効果について、事業者の計画では、来場者は年間2000万人、その内7割は国内からを見込んでいる。

年間売り上げ約5200億円。その8割をカジノで稼ぎ出すと想定している他、約9万3000人の雇用も生まれると算出している

街の人からは賛否両論 外国人観光客からは期待の声多い

日本初のIRが大阪に。街の人はどう受け止めているのか。

大阪駅前 街の人:
楽しみです!できたら行きたいです。経済が明るくなったらいいね

大阪駅前 街の人:
財政面、税収とかそっちのためにはいいんでしょうけど、やっぱり関西人カジノとかバクチ好きそうだし、そういう意味で弊害が出るんじゃないかと

大阪の街の人は賛否が分かれる中、外国人観光客からは期待の声が多く聞かれた。

タイからの観光客:
たぶん行くと思う。USJに行ったついでにカジノにも行くと思う

ベトナムからの観光客:
行ってみたいね!良い経験になると思うし

外国からの観光客:
絶対行くよ!カジノの大ファンだからね。カジノ最高!

カジノ誕生へ前進 ホテルは「ワクワク感でいっぱい」

夢洲に近い大阪・南港エリアのホテルは、「IRをきっかけに、集客につながれば」と期待している。

クインテッサホテル大阪ベイ 田畑雅一営業部長:
関西万博に続いてIRも決定ということで、ベイエリアに関わらず、関西圏全部の経済効果、すごいことになると予想しております。業界的にこの3年間、すごいモヤモヤとしたストレスがありますので、それを払拭できるきっかけになればと。ワクワク感でいっぱいです

一方で、反対の声も根強く残る。「カジノはいらない!」 大阪府庁前では、IRに反対する市民などが集まり、声を上げた。

IRについては、これまで多くの課題が指摘されてきた。

ひとつは夢洲の土壌問題。埋立地の夢洲は、土壌汚染や液状化などのリスクが懸念され、大阪市は約790億円もの対策費を投じることになっている。

そしてギャンブル依存症患者の増加も指摘されている。大阪府と市は、カジノの来場者について、日本人からは6000円の入場料を取ることや、依存症専門の医療機関を新たに設置するなど、対策を講じるとしているが、依存症患者の増加や治安の悪化が懸念されている。

夢洲からほど近い、港区の商店街では、IRに否定的な意見が相次いだ。

洋服店の人:
素通りするだけですもん。海遊館のお客さん商店街関係ないもん。USJのお客さん商店街関係ないですもん。それと一緒ですって
(Q.IRの来場者がここで買い物したりは?)
ありえないでしょ

青果店の人:
やっぱりバクチって、癖になる。依存させられる。絶対やもん

大阪の整備計画では依存症対策について、年間14億円の経費を算出しているが、依存症対策を進める団体は、まだまだ不十分だと訴える。

ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子代表:
これほどギャンブル依存症の問題が噴出してきているのに、今このタイミングで認定するのかということで、すごく驚きを感じました。ギャンブル依存症になってしまう人たちは、ごく普通の人であり、また十分な収入がある人たちなんですよ。そして手を出した時には、まさか自分が依存症になるなんてことは全く思ってない。ですから入場料6000円がそんなにすごい高い金額とは思いませんし、ちょっと試しに遊んでみようと思う人たちにはまったく歯止めにならない

国の評価は1000点中の“657.9点” 大阪府・市にくぎを刺すコメントも

様々な課題がある中で認定に至った理由について14日、国は25項目からなる審査結果の報告書を公表した。1000点中、600点以上が認定の条件としていたが、結果は“657.9点”。「認定し得る計画」と評価された。

その中で、ギャンブル依存症対策については、大阪府や市が条例を制定して、患者の支援拠点を設置することなどを評価するとした上で、「実効性を持って取り組まれることが必要だ」とした。

また、地盤については、「幅広いリスク管理意識の高さが見受けられたかは、高い評価はしがたい」としたほか、「地域住民と双方向の対話の場を設け、懸念の払拭を図る必要がある」とくぎを刺している。

大阪市 横山英幸市長:
 (Q.「地域との良好な関係が」低い評価になっているが)
厳しいご意見かと思う。もっともっと伝えるだけで、多くの誤解が解けると思っていますし、それをお伝えすることで住民理解が進むと期待できる

今後は開業に向けて、大阪府と事業者で実施協定を結ぶなどの手続きが進む見込みだ。IRは、関西にどんな影響を与えるのか。

(関西テレビ「newsランナー」4月14日放送)

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