街をはいかいしていた犬のその後。2023年2月、長野県箕輪町で首輪をしていない犬がさまよい、保護された。逃げ出したのか、遺棄されたのかは不明で飼い主も現れないが、新たな家族と出会い、静かに暮らしている。

はいかいしていた犬 野沢さん家族で暮らす

野沢めぐみさん、柊さん親子と保護された犬「モナ」
野沢めぐみさん、柊さん親子と保護された犬「モナ」
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公園を散歩する親子と一匹の犬。犬の名前は「モナ」、メスの雑種だ。

野沢柊さん(11):
尻尾が長いところと、耳が大きいところとか、かわいいなみたいな

「長い尻尾と大きい耳がかわいい」
「長い尻尾と大きい耳がかわいい」

「モナ」は2月、箕輪町の住宅街をはいかいしているところを保護された。今は辰野町の野沢さん家族のもとで暮らしている。

さまよう犬を見つけ 「かわいそう」

2月25日、箕輪町上古田区周辺で犬がはいかいしていると役場に通報があった。首輪やリードをつけておらず町は住民に注意を呼びかけ、警戒にあたる。

野沢さん一家はその翌日、偶然、道路をさまよう犬を見つけた。

野沢さん一家は偶然、道路をさまよう犬を見つけた(2月26日撮影、提供 野沢めぐみさん)
野沢さん一家は偶然、道路をさまよう犬を見つけた(2月26日撮影、提供 野沢めぐみさん)

その時、長男の柊さんはー。

野沢柊さん(11):
おばあちゃん家の近くでこの子を見つけて、その日寒かったので、モナ寒いかなって思って、1時間くらい走って捜しました

犬をかわいそうに思い保護しようと捜したが、見つからなかった。

牧場の犬と仲良く 警戒心を解いて捕まえる

その2日後ー。

提供:箕輪町
提供:箕輪町

(記者リポート)
犬は牧場の一角で保護されました。保護される1週間ほど前から毎日のように現れていて、この牧場で飼われている犬と、毎日のように遊んでいたということです

牧場の管理人:
(捕獲の1週間前に)うちで飼っている犬がワンワンほえて、(扉を)開けた瞬間にダッと行ってしまった

牧場周辺に現れるようになった犬。牧場の犬とじゃれあう様子も見られたという。

モナは、牧場で飼育されている犬と仲良く遊んでいたという
モナは、牧場で飼育されている犬と仲良く遊んでいたという

牧場の管理人:
首輪もしていなかったし、ご飯食べているかわからなかったので、保護してあげなきゃなという気持ちでした

28日の夜、住民は餌をやりながら少しずつ警戒心を解き、3時間ほどかけて捕まえた。

牧場の管理人:
うちの犬とすごく仲良くなって遊ぶ時間も長くなっていたので、その中で(餌を)手に持って少しずつ近づいていったという感じ。(どんなふうに過ごしてほしい?)元気よく健やかに(過ごしてほしい)

野沢さんの家に譲渡

翌朝、犬は保健所へ。保健所は飼い主を捜したが結局、現れず、2週間後、譲渡することにした。

2022年度、県内で保護または引き取られた犬は481匹に上る。そのうち「返還」は332匹、「譲渡」は146匹。凶暴で人になれることができなかった犬など3匹が「殺処分」となった。

県は2008年に動物愛護の計画を策定し、処分をできるだけ減らすべく譲渡に力を入れている。

保健所には、保護される少し前から引き取りの希望があった。申し出たのは犬を目撃していた野沢さん一家。柊さんはあの後、是非、引き取りたいと家族に伝えていた。

野沢柊さん(11):
前に愛犬を飼っていたんだけど(2021年)14歳で亡くなっちゃったので、引き取ってあげたいなみたいな感じです

母・めぐみさん:
一生懸命、かわいそうだからと走って、保護してあげようって姿を見ていたので、それから「飼いたい」って言って、父親に「飼ってあげたいんだけど」って一生懸命説得してて、父親も「ちゃんと飼えるんだったらいいよ」と

食いしん坊でのんびり屋

リラックスするモナ
リラックスするモナ

野沢柊さん(11):
(家に来て)初日の散歩は畑道で興味津々です。止まったり歩いたり、畑に行こうとしたりと

健康状態は問題なく、3月16日に野沢家へ。保健所の見立てを参考に、年齢は2歳と決めた。

名前は、かつての愛犬の名が「シナモン」だったことからー。

野沢柊さん(11):
「シナモン」を逆さまにしたら「モナ」ってあったので、それにしました。保護した日(家に来た日)を誕生日に決めました

柊さんの母・めぐみさん
柊さんの母・めぐみさん

母・めぐみさん:
(2021年)「シナモン」が亡くなってから元気がなかったんですよね。毎日学校から帰ってくるのとか、毎日起きて散歩連れていくのをすごく楽しみにしているので。ご飯とかも自分で作ってくれたりとか、見ててすごくよかったなって思います

地域住民によって救われた命。

モナは人懐っこく誰かに飼われていたのかもしれないが、逃げ出したのか遺棄されたのかは、わかっていない。

今は野沢さん一家のもとで落ち着いた暮らしをしている。

野沢柊さん(11):
食いしん坊でのんびり屋ですけど、一緒に過ごしていけたらなと思います。「シナモン」みたいに愛情を注いでいきたいなと思っています

(長野放送)

長野放送
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