自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。

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プレゼントがびっくりの量になっちゃう前に…続きをチェック!
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「お友達に『これちょうだい!』と言われると、なんでも『いいよ!』とあげてしまう我が子。ひとつひとつは小さなものでも、気付いたら結構な量になってしまっていて困る…」

「これちょうだい!」「いいよ、はい!」のやりとりは子どもたちが仲良くなるための第一歩。でも、注意して見てみると、うちの子だけやたらとものを“プレゼント”しているような…

お友達にあげちゃうのは小さなシールやおもちゃのアクセサリー、髪留めなどささやかなものばかり。パパママの大事なものをあげちゃうというわけではないから、見守っているだけで大丈夫なのか。一方で、子どもたちがお友達にあれこれプレゼントすれば仲良くなれる!と思いこんでいるとしたら、それも心配になってしまう…

お友達に「あれこれモノをあげちゃう」のはどうして?どうしたら子どもたちにストップをかけられる?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

シンプルに「自分の物はあげちゃだめ」と説明して

――子どもが「あれこれモノをあげちゃう」のにはどんな理由がある?

たしかにお友だちにすぐに物をあげてしまう子はいますね。こういう場合、何かをあげることで、その子自身も何らかの報酬を得ていると考えるのが自然です。ただ、物とは違い、形のない報酬なので気づきにくいかもしれません。

たとえば、○○をあげたら、

・ 友だちが喜んでくれた
・ 自分が優位に立った気分になった
・ 友だちとつながれた
・ 自分はすごいと思えた

などがよくあるものと考えられます。ここから見えてくるのは、その子にとっての人とのつながり方のツールになっているということです。
「手元に物があふれているから、どんどんあげてもっといい気分になっちゃおう!」という子も多いと思いますが、もし物をあげることで「相手と対等になれた」「受け入れてもらえた」のように感じている場合は心配です。ちょっと自信がない自分に品物を添える感覚、これを小さい頃に学んでしまっていたらその後の人間関係に影響を及ぼしかねません。


――では、親はどうやって子どもがモノをあげるのを止めるのがいい?

声かけとしては「自分の物をお友だちにあげないよ」とシンプルに教えるのが一番です。「優しい気持ちはわかるけど…」とか「どんどんもらっちゃったらお友だちはどう思う?」などと迂回した言い方をしてしまうと、うまく伝わりにくくなります。子どもに教えていきたいのは、物をあげることなしに良好な関係を築けるものなのだということです。

物をあげてしまうことと、貸してあげることは違います。自分のおもちゃを貸してあげるのは優しさですが、あげてしまうのはそうではありません。小さいうちは物の価値もわかっていませんので、深く考えての判断ではないのは事実ですが、ただもっと大きくなって、お友だちから「この子はすぐに物をくれる子」と思われてしまっては、対人関係を崩してしまいかねません。先延ばしにせず、気になりだした時点で対策を考えることをおすすめします。


――一方的にではなく、子どもたちの間で「プレゼント」の贈り合いが大流行している…もしかしたらエスカレートしちゃうかも?そんなときはどうしたらいい?

物の贈り合いが起こりやすいパターンとしては、子ども同士で私物を交換してしまうのが多いと思います。シールを平等に1枚ずつ交換しているのなら、お互いハッピーで済みますが、もし他のクラスの子が「私も私も!」とやってきて、断れなかったということになればイヤな思い出になってしまいます。大勢がいる学校のような場に持ち込むとトラブルも増えがちですし、張り合うことにもなりかねません。「交換は個人的に遊ぶときにする」というルールを友だち間で作れると、いつでもどこでもとならない分、抑制につながるのではと思います。

また、子どもが小さいうちは、物の贈り合いが親の方に起こることもあります。たとえば、あげるのが大好きな子の親御さんに「気にしないで!もらってあげて」などと親子でプッシュされてしまった場合。引き下がれずに受け取ってしまうことも多いと思います。しかしそれが度重なると、見かねてお返しをする、これが結果として物の贈り合いにつながることもあるでしょう。物の贈り合いはエスカレートすると家庭を巻き込んでの悩みになり、面倒だなと思われてしまうこともあるので注意が必要です。

その子の持ち物があふれていると、1つ1つの価値は下がりがちですから、充足し過ぎないことも制御になると思います。新品の消しゴムをあげてしまったからとすぐに買い足してしまったら「物はなくなってもすぐ手に入る」と思ってしまいます。この点は、物があふれる今の時代だからこそ、親が意識していきたい部分です。

自分の子どもがどんどん物をあげてしまうのも悩みになりがちですが、受け取る側も悩んでいることが多いので、なおさら気をつけていきたいところですね。

子どもたちにとって、ふとモノをあげたときにお友達にとても喜ばれた、仲間にいれてもらえた…そんな経験はとても魅力的。身の回りのものをあれこれあげてしまう子どもたちは、そんな嬉しさを「モノをあげる」ことで得られるのがくせになってしまっているのかも。

だからといってそれを続けてしまうのは危険!きっぱりと「自分のものはお友達にあげちゃだめだよ」と言い切ってあげることで子どもたちも混乱せずに受け入れられるはず。

そしてパパママができることのひとつに「すぐに買い足さない」ことも。お友達に何かあげてしまっても、すぐにまた買ってもらえる…だからどんどんあげちゃおう!というループに子どもたちがはまってしまわない環境を作るのも大切なことだ。

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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。