東日本大震災から12年が経ち、今、防災について「フェーズフリー」という考え方が広がっている。これは「日常」と「非常時」とを切り分けず、普段使っているものを備えに生かそうという考え方だ。東海地方にも広がるフェーズフリーを取材した。
避難所となるカフェや4つの機能持つクッションも
三重県東員町の公園にある「マメマチCAFE」。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/8/700mw/img_a8490ae23883bc1a6fdd5c09c5f46b35283884.jpg)
町の特産・大豆から作ったきな粉を使ったスイーツが人気のカフェで、2022年9月にオープンしたばかりだ。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/700mw/img_018c31e889a26e9e9a7cff3dfa3e9b24240861.jpg)
店の中に、ある特徴が…。
東員町の担当者:
こちらのカフェはこの柱で仕切られていまして、ここでひとつのコンテナになっています。これが5つ連結している感じになります
5つのコンテナが組み合わさってできた「コンテナカフェ」。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/700mw/img_1330a82642d80cd393674df2da8fb80e323724.jpg)
災害が起きた時には分解され、被災地で救援物資の保管などに。またコンテナごとにエアコンが設置されていて、簡易の避難所としても利用できる。
東員町の担当者:
調理器具もありますし、屋根には90枚の太陽光パネルが乗っていますので、停電したときでも電気も使えますし、食料の調理もできるかと思います
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/e/700mw/img_1eab97e2ff31a77979789447de884036217724.jpg)
このように、日常に活用できるものが実は防災にも役立つという考え方を「フェーズフリー」といい、今、様々な場面で増えている。
客A:
コンテナって思いませんね、言われなきゃ分かりません
客B:
家からほど近くて山が見えるので、景色が好きで。(Q.実はコンテナでできている)頭いいですね、安心ですね
フェーズフリーの取り組みは自治体だけではない。三重県いなべ市にあるコンテナホテル。コンテナの下にはタイヤがついている。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/1/700mw/img_813d4e554a1059e070290b3d6b4e0b5a203294.jpg)
災害時にはトレーラーでけん引して移動ができるレスキューホテルだ。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/700mw/img_f022d1ad1ed2c4a3a55730643fb8210d162960.jpg)
中には、ベッドやバス・トイレなどのビジネスホテルの設備に加え、テレビや冷蔵庫、電子レンジまで。そのまま被災地に持っていくことができる。
平時はホテル、災害時には避難所などとして活用できる、まさにフェーズフリーなホテルだ。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/700mw/img_ed5d77059f839f2d38fb6f3e8d826f9d159180.jpg)
デベロップの広報:
コンテナ1台が1客室であれば、安心安全なプライベート空間を迅速に提供できる。災害というものはいつ起こるかわからないものでございますので、災害時には避難所となるホテルを全国展開することで、より災害に強い街づくりに寄与できればと思っております
日用品にフェーズフリーを取り入れて驚異的に売り上げた商品もある。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/f/700mw/img_6f16954b4196bfafcce941daa91f65f1182496.jpg)
普段はクッションとして使えるが、非常時には一瞬で寝袋に変身する。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/700mw/img_4a5601ca6169724a19b28bad3f9937f2151195.jpg)
綿の入った枕や顔をすっぽり隠せるフードもついていて、避難所でも安心して眠ることができる。
広げるとひざ掛けに、首元の紐を絞れば体を隠すポンチョにもなり、避難所などでのプライベートが守られない状況でも、着替えや授乳をすることができる。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/4/700mw/img_c4eb7387e52339f5aff047197b189647176452.jpg)
1つで4つの機能があるフェーズフリーアイテム。開発者の石川ももさんは…。
開発した石川ももさん:
きっかけといたしましては、私自身が小学生くらいの頃から、防災が大好きな防災マニアでございまして。大体小学校の低学年くらいの頃から、お年玉をためて防災グッズを買うというくらい
これまでに見てきた防災グッズは1000点を超えるという石川さん。防災アドバイザーと相談しながら、1年以上かけてフェーズフリーのクッションを開発した。「いつでも持ち出せる安心感がある」と通販で話題になり、多い日には1万個、実に1億円を売り上げたという。
開発した石川ももさん:
日常でも使えて、さらに防災時にも役立つ機能があれば、いろんな方が手が出しやすいんじゃないかというところから、フェーズフリーという考え方で、日常からいざという時まで一貫して使えるものが作りたいと。日頃の備えがいつかの安心につながるかなと思います
普段から使っているものが自然と備えに繋がるフェーズフリー。日用品に街中に、少しずつ広がっている。
(東海テレビ)