スマートフォンを手放さない子どもにイライラして没収!こんな経験はないだろうか。これが原因で親子関係が悪化することがあるという。

勉強中にスマホを触ってしまうケースも

スマホグッズ事業を展開する「Hamee」が、2021年11月に、小学生の子どもにスマホを持たせている親(20~40代の男女550人)に利用実態を聞いた調査では、60.7%の親が子どものスマホを取り上げたことが「ある」と回答。

約6割がスマホの取り上げを経験(提供:Hamee)
約6割がスマホの取り上げを経験(提供:Hamee)
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当てはまる理由を全て選んでもらったところ、最も多かったのは「約束の就寝時間を超えてスマホを利用していた」(52.0%)で、次点で「長時間利用」(47.4%)「勉強しながらスマホを利用していた」(46.5%)だった。

スマホを取り上げた後の子どもの様子(提供:Hamee)
スマホを取り上げた後の子どもの様子(提供:Hamee)

また、スマホを取り上げた後の様子を聞くと「取り上げられたことに納得せず、関係が険悪になった」「いつの間にか取り戻して、隠れて利用している」という反応があった。一方で「もう一度利用したいというので、ルールを決めた上で利用することを許可した」「取り上げられたことに納得して利用しなくなった」と答えた人もいた。

親子で「スマホを手放せない姿」の印象に違いがある

没収することで改善されるケースもあれば、子どもとの関係が悪化することもあるようだが、親はなぜスマホを取り上げてしまうのか。使い方を直してほしい時はどうすればいいのだろう。
ジャーナリストで青少年のインターネット利用も取材する、石川結貴さんに聞いた。

――子どものスマホを取り上げることをどう思う?

スマホを取り上げる行為は、問題の一時的な対処はできても根本的な解決にはなりません。親子関係は悪化して、子どもは「自分を理解してもらえていない」気持ちになります。暴力沙汰や家出につながる可能性もありますので、得策ではありません。

使い方のルールが押し付けであることも多い(画像はイメージ)
使い方のルールが押し付けであることも多い(画像はイメージ)

――親はどんな心理で取り上げてしまう?

注意しても使い方が守られず、強制的な手段に走るのだと思いますが、家庭で決めたルールが親の押し付けになっていることも多いです。そのため、親子の主張が“ボタンの掛け違い”になって話し合いもうまくいかない。結果、取り上げてしまうのではないでしょうか。
 

――親子のボタンの掛け違いはなぜ起きる?

スマホを手放せない子どもの姿は、親からは楽しそうに見えるそうです。ただ、私が取材で子どもにスマホを手放せない時の気持ちを聞くと「本当はやめようと思っているけど、やめられない」「自分が嫌で死んでしまいたくなる」といった、不安や焦りの声もありました。

チャットなどで手放せない可能性も(画像はイメージ)
チャットなどで手放せない可能性も(画像はイメージ)

SNSやグループチャットは反応しないと無視しているように映るため、友人関係のために手放せないこともありますし、自己否定感を覚えているかもしれません。子どもなりの苦悩やつらさもあるので、そこに親がガミガミ言っても気持ちは離れます。

多くの家庭では、親子間での認識が違うこと自体に気づかないかもしれません。

利用状況を調整する体験をさせてみよう

――子どもがスマホを使いすぎで直したいと思ったら、親はどうすればいい?

最初は子どもに手放せない時の気持ちを聞いてみてください。理由だと答えに困るので、気持ちの方がいいでしょう。そして教えてもらってうれしいと、親も気持ちで返してください。そこから、スマホが手放せない状態になっていないかと伝えて、どうすれば改善できそうか、話し合うべきだと思います。

自分で利用時間を調整する体験をさせてみよう(画像はイメージ)
自分で利用時間を調整する体験をさせてみよう(画像はイメージ)

ポイントは子どもに利用状況をコントロールする体験をさせることですね。例えば、利用時間なら「1日何時間」とするよりも大枠(1週間で20時間など)にしたほうが、自分で調整する体験ができます。スマホの利用状況はスクリーンタイムなどで確認できるので、子どもに意見を聞いて、時間設定などをしつつ、自分で調整できる感覚を身に着けさせてはいかがでしょうか。
 

――親にお勧めしない、スマホ関連での対応は?

親の思い込みで叱る、注意すること。親がスマホを手放せないのに、子どもに制限することは良くないと思います。親がスマホについて知識不足の状態で、子どもに買い与えるのも良くないでしょう。親も自分ごととする意識が大切だと思います。
 

――家庭でのルール作りで、注意すべきことは?

ルールは柔軟に変えたほうがいいです。年齢を重ねれば、周囲の環境や自身の考えも変わるので半年に一回は話し合ってください。また、子どもの意見を聞くことは大事ですが、要望を言われるがまま受け入れるのではなく、互いの意見をぶつけることも必要だと思います。

取り上げてしまった場合は、説明と話し合いが大切

――スマホを取り上げてしまった場合、親はどうすればいい?

理由を具体的に説明してください。「ずっと使っている」などの抽象的な表現ではなく、「深夜2時を過ぎても使っていたから」「今週だけで3回注意したけど、改善していない」といったように数字などを出して説明することが大切です。親の不安を伝えてもいいでしょう。

子どもにスマホを再度使わせる際には「利用時間や利用場所のルールを守ってほしい」、「ゲームに課金する前には必ず親に相談する」などと、具体的に話し合ってからにしてください。

子どもがトラブルを打ち明けられる関係を(画像はイメージ)
子どもがトラブルを打ち明けられる関係を(画像はイメージ)

――スマホ関連でトラブルが発生した場合、親はどう対処すべき?

対処として共通するのは「子どもが打ち明けられる関係」を作っておくことです。親に話したところで通じない、説教されると思うと、子どもはトラブルを打ち明けないことも考えられます。スマホ関連の知識がとぼしかったとしても、何かあった時は力になる姿勢を常に見せておくべきだと思います。


子どもはやめたいと思いつつ、スマホを手放せない状況に陥っているケースもあるかもしれない。親は注意して直らないとイライラするかもしれないが、一緒に対策を考えてあげてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。