夏休みが始まり、ワクワクしているお子さんも多いと思うが、一方で心配なのが、子どもを狙った夏休みならではの犯罪。最近も相次いで発生している。

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コロナが5類に移行されてから初めての夏休みというで、各地の行楽地はにぎわっている。思いっきり夏を楽しむ子どもの笑顔が見られるのはうれしいが、夏休みには心配事もある。大阪府警によると、夏休みに通報が増えるのが、子どもが不審者に声を掛けられたり、痴漢に遭ったりする被害だ。

「7月9日午後5時50分頃、女子児童が男に電車内で付きまとわれるなどの事案が発生しました」

大阪府警が、警察署に寄せられた情報を市民への注意喚起のために発信している「安まちメール」には、日々、街で起きているヒヤッとする事案が掲載されている。

中でも夏場に多く寄せられているのが盗撮被害。7月16日の午前中、自宅前の敷地できょうだいがプール遊びをしていたところ、20代から30代の男が突然近づいてきて、スマートフォンで写真を撮ったので、親が男に声を掛けようとしたところ、走って逃げて行った。

子どもを持つ親たちは、どんな心配をしているのか?

街の人からは、「あまり肌を出し過ぎるとちょっと不安なので。変な目でみられたりとか、それが原因で声掛けられたりとかがやっぱり(怖い)」、「(子どもだけで)お祭りとか行くと、夜遅いし、どんな人がいるか分かんないんで、犯罪に巻き込まれたり、車に連れ込まれたら怖いなって思います。帰り道とか」、「トイレって目が届かなくなっちゃうので。中で事件があったりとかあるじゃないですか。そういう意味でちょっと怖いなって」といった声が聞かれた。

防犯のスペシャリストに“具体的防犯テクニック”を聞く

夏休みは楽しみな反面、気を付けなければならないこともある。子どもたちを狙った犯罪から、どう守ればいいのか?防犯対策のスペシャリスト、日本防犯学校・副学長の桜井礼子さんに聞く。

まず子どもを守るための大前提として知っておきたいポイントが2つある。

・小学生は1人で行動させない
・危険に男女の差はない

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
できるだけ小学生のうちは、子どもを1人で行動させていただきたくないと思います。 特に小学校の3年生、4年生の中学年といわれるような学年の子に、注意を払っていただきたいと思います。あと「うちは男の子だから大丈夫」と思う人がいますが、男の子がターゲットにされている事件はすごく増えています。今は男の子も女の子も関係なく狙われているんだということを、知っていただきたいと思います

水着の子どもを狙った盗撮へ対策 「顔を見て声掛け」「綿素材のもの」

この大前提を踏まえて、実際にあった事案をもとに対策を整理する。こちらは大阪府警が提供している犯罪被害情報などを知らせる「安まちメール」で配信された不審者事案だ。

7月16日の日曜日、大阪・寝屋川市で、自宅前の駐車場で、プール遊びをしていた男の子と女の子が、通り掛かった男にスマホで撮影された。

夏は水遊びをする機会も多くなりますが、その際に子どもを守るポイントが2つある。

・不審者がいたら、顔を見て声掛け
・水にぬれたら、綿素材のものを

まず「不審者がいたら、顔を見て声掛け」とはどういうことなのか?

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
不審者、犯罪者は顔を見て声を掛けられることを一番嫌います。ちょっとでもおかしいと思ったら顔を見て声を掛けてください。そうすることで、「ここは大人の目が光っている地域だな」「防犯意識が高いかもしれない」と犯罪者にアピールすることになります。そういったことによって、犯罪者はよそに行きますので、できれば地域全体で大人の目を光らせていただきたいと思います

Q.不審者を見分ける方法はあるのか?

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
ご自身の目と勘を信じていただきたいと思います。私たちが普段街の中を歩いていても、「ちょっとあの人気持ち悪い」とか「あの人変だよね」と感じることがあると思うんです。そういったことを感じる人が不審者だと思っていただけばいいのではないかと私は思います。不審者はやはり顔を見ると目をそらせたりする場合があります

そして「水にぬれたら、綿素材のものを」とのことだ。

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
プールとか海に行って水から上がってきます。そうすると当然水着は濡れています。その濡れたままの状態の水着を、特殊なカメラなどで撮影すると、水着が透けた状態で写真が撮られてしまいます。なので水から上がったら直ちに綿素材のTシャツとか短パンとかを着させてください。手元にそういったものがなければ、持っているバスタオルを巻いてあげてもいいかと思います

トイレの不審者への対策「お母さんここで待っているからね」と声を

もう1つ「安まちメール」で配信された事案がある。6月20日、大阪・堺市で、公衆トイレを利用しようとした小学校低学年の男の子が、後方からきた男に「トイレに一緒に入ろう」と声を掛けられた。夏休みは買い物やレジャーなどで出掛ける機会が増える。外出先のトイレで子どもを守るには、どうしたらいいのか。

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
女の子と母親で出掛ける場合は一緒にお手洗いまで入っていけばいいと思います。でも母親と男の子の場合、母親が中まで一緒に入っていくことはできないですので、トイレの入り口まで一緒に行って、重要なのは、そのトイレの入り口のところで母親が待っていてあげてください。さらに「お母さんここで待っているからね」と、トイレに向かって声を掛けてください。そうすると中に潜んでいる犯罪者が聞いてるかもしれませんので、「この子は1人じゃないんだな。すぐ近くに保護者がいるんだな」ということをアピールすることになりますので、ぜひ声掛けをしていただきたいと思います

「顔見知りでも家族以外にはついて行かない」

最後に、お子さんに意識してもらいたいのが、「顔見知りでも家族以外にはついて行かない」ことだと桜井さんは言う。「知らない人について行くな」と教えられることは多いが、顔見知りでもダメなのか?

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
子どもは小学校に入ると世界がどんどん広がっていきますよね。そうすると親は知らないけれど、子どもは知っている人ができてきます。なので知らない人だけでなく、知ってる人にもついて行ってはいけない。家から一歩外に出たら家族以外にはついて行かないでねということを、ご家庭で教えてあげていただきたいと思います

簡単で効果的な防犯グッズは?

関西テレビ「newsランナー」視聴者からの質問。

Q.一番簡単に使えて有効な防犯グッズは何ですか?

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
これは防犯ブザーです。頑丈なものを選んでいただきたいと思います。子どもが外に出る時には、親が一緒であったとしても、防犯ブザーを携帯させてください。万が一、自分の身に危険が生じた時に、防犯ブザーを鳴らして手に持ったまま逃げるのではなく、鳴らした防犯ブザーを人がいる方、外だったら民家のある方に投げて逃げるように教えてください。犯罪者は子どもを追いかけたい、だけど鳴っている防犯ブザーを止めなきゃいけないということで、そこから犯罪者が逃げることにつながります。手に持ったままですと、防犯ブザーを止めようと、余計についてくる可能性もあります。防犯ブザーを鳴らしたら、できるだけ遠くに投げる事が必要になってくると思います

Q.子どもたちが不審者に狙われやすい時間帯はありますか?

日本防犯学校 桜井礼子副学長:
学校がある時ですと、やはり子どもたちが下校する時間帯からだんだん多くなってきます。今は夏休みですので、時間帯関係なく注意が必要になります

関西テレビ 神崎報道デスク:
不審者情報の時間帯はばらけてくることもあります。午前中だから絶対安全ということはありませんので、いつ何時も注意が要ると肝に銘じてほしいなと思います

常に意識を高め、親と子一緒に防犯について考えてもらいたい。

(関西テレビ「newsランナー」7月21日放送)

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