「防犯」への関心が高まっている。海外に指示役がいた「広域強盗事件」を背景に、長野県内でも防犯グッズが売れていて、量販店では防犯カメラ付きドアホンや窓回りの商品が人気で一部は品切れになるほどだ。県警の防犯アドバイスと合わせてお伝えする。

自宅で襲われる強盗事件 高齢者の被害相次ぐ

2023年1月、東京・狛江市で起きた強盗殺人事件。自宅で90歳の女性が殺害され、貴金属類が奪われた。この事件をきっかけに「ルフィ」や「キム」を名乗って、フィリピンから指示していた男たちの存在が浮上。いわゆる「闇バイト」を集めて実行役とし、14都府県で起きた強盗・窃盗事件に関与したとみられている。

長野県伊那市では85歳の女性が自宅で殺害される事件が発生(2022年12月)
長野県伊那市では85歳の女性が自宅で殺害される事件が発生(2022年12月)
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一方、県内では2022年12月、伊那市の85歳の女性が自宅で殺害され、男が女性の通帳を使って金を下ろそうとしていた事件が起きている。

防犯グッズの売り上げ急増

凶悪な事件を背景に長野市にあるホームセンターでは「防犯グッズ」の需要が高まり、特設コーナーも置かれている。

この日は、防犯カメラ付きドアホンやセンサーライトなどを購入目的で訪れた客がいて、口をそろえて、最近、国内で起きている「強盗事件」について、恐怖や不安を口にしていた。

店では2月に入ってから防犯グッズの売り上げが急増しているという。

綿半ホームエイド檀田店・池内淳フロアーマネージャー:
昨年同月比で2倍くらいの売り上げになっています。2月に入ってから急激に動きが良くなりまして、メーカーでも品薄気味ということで入荷が不安定になっています

防犯カメラ付きドアホン、飛散防止フィルムが人気

人気商品の一つが室内にいながら訪問者を確認できる防犯カメラ付きドアホン。売り上げは前年の同じ月のなんと7倍だ。

もっと売れているのが、窓回り関係の商品。

綿半ホームエイド檀田店・池内淳フロアーマネージャー:
窓周り関係で、補助ロックや飛散防止フィルムが動きが良く、前年同月比12倍

「補助錠」や「飛散防止フィルム」など窓周りの商品は、手頃な値段ということもあり、売り上げを伸ばしている。

実際に窓ガラスに張って「フィルム」の効果を試してみると…

飛散防止フィルムを張って試したところ、ガラスにひびは入ったが、穴は開かなかった
飛散防止フィルムを張って試したところ、ガラスにひびは入ったが、穴は開かなかった

(記者リポート)
ガラスにひびは入りましたが、穴は開いていません。これでは外から鍵を開けることは、まだできません

メーカーによるとこのフィルムは一連の報道以降、品切れ状態だという。

空き巣や倉庫荒らしが増加

2022年、県内の刑法犯認知件数は20年ぶりに増加。空き巣や倉庫荒らしなどの「侵入・窃盗」は781件で前年から3割以上増えている。

強盗や窃盗から身を守るにはどうしたらよいのだろう。県警に注意点を聞いた。

ポイント「侵入口」 鍵を閉める、フィルム張る

県警特殊詐欺抑止対策室・水井武文室長:
(侵入窃盗の)侵入経路で一番多いのが、無施錠の玄関や窓から入られる。玄関や窓が開いたままというのは良くない、在宅中もしっかり鍵を閉めていただきたい。窓を割られることもあるので、防犯フィルムを張っていただいて、侵入するのに時間がかかるという形にしていただいた方がいいと思います。泥棒は5分以上かかると7割以上がその家への侵入を諦めるデータもある

ポイント「外構」 見通しをよくする

県警特殊詐欺抑止対策室・水井武文室長:
塀が高くなっていて、なかなか入られなくて防犯性が高いと思われますが、裏を返すと、一度入られると外から人が潜んでいることが見えないことになってしまう。見通しをよくするというのは大事なポイント。夜間、物陰に人が潜んでという時に、動いてライトが光ると、入ろうとしている人間はその光を嫌いますので、センサーライトも有効。今は踏むと大きな音が鳴る防犯砂利があります。その上を歩くだけで通常のものより大きな音が出ますので、音も犯人は嫌がる一つの要因になるので防犯効果が高い

この他、2階からの侵入を防ぐため1階に踏み台になるような物は置かない、防犯カメラを適切な角度で設置するなどの対策が有効だという。

ポイント「訪問対応」 すぐにドアを開けない

広域強盗事件では、宅配業者を装って住宅に押し入る手口が見られた。大事なのはすぐにドアを開けないこと。

防犯カメラ付きドアホン
防犯カメラ付きドアホン

県警特殊詐欺抑止対策室・水井武文室長:
万が一ということもありますので、インターホン越しに確認するとか、扉を開けずに相手を確認してから対応するという、自分の対応の面でも防犯能力を高めることはできる

ポイント「被害最小限に」 多額の現金を置かない

万が一に備えて、被害を最小限に抑える意識も重要だ。

県警特殊詐欺抑止対策室・水井武文室長:
自宅には必要以上な多額な現金は保管しないように。高齢者の方は金融機関にそのたび行くのが面倒だから、(多額の現金を)下ろしておくということはなるべく控えてほしい

貸金庫の利用が増える

現金や貴重品を安全に保管する手段として「貸金庫」を利用する人も増えている。

けんしんBANK(県信用組合 吉田支店)・宮下成美さん:
特殊詐欺等で、置いておきたくない大事なものを貸金庫で保管しておきたいという方がかなり増えていまして、問い合わせも多い

県信用組合の吉田支店では、貸金庫の新規申し込み数が前年度の2倍に達した。その多くが高齢者だという。

金庫室手前の「前室」で手のひらの「静脈認証」と暗証番号の入力をしないと貸金庫室に入れない。

前室の扉が完全に閉まると、貸金庫を利用することができる。

けんしんBANK(県信用組合 吉田支店)・宮下成美さん:
自宅に大事なものを保管したくないという方、不安な方、こちらで保管していただけたら安心安全ですので、ご利用ください

他人ごとではない

後を絶たない強盗や窃盗。最も重要なのは「防犯」への意識だ。

県警特殊詐欺抑止対策室・水井武文室長:
いつ自分が被害に遭うか分からないという心がけを持っていただいて、他人ごとではないので、防犯対策はしっかりとっていただきたい

(長野放送)

長野放送
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