スマホなどで発熱や息苦しさを入力

新型コロナウイルスの感染者が自らスマートフォンなどで症状を入力し、それを国が一元管理するシステムの運用が始まった。

「HER-SYS」
「HER-SYS」
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新しいシステム「HER-SYS」では、感染者が自らスマホなどで発熱や息苦しさなどの症状を入力する。この情報は国が一元管理し、医療機関や保健所でも患者の状態を迅速に把握できるという。

厚労省健康局・神ノ田昌博 健康課長:
これまでは情報共有するにあたり、医療機関からファクスで発生届がされていました。今回の「HER-SYS」はクラウド上にデータベースを構築するので、入力した時点で関係機関・保健所・都道府県・国まで閲覧可能になるので、これまでの「伝言ゲーム」のような非常に非効率な作業からは解放されます。

厚生労働省は、6月中旬の導入が見込まれている感染者との接触確認アプリと連携させて、保健所などの業務軽減に繋げたいとしている。

医療に限らず公共的分野はデジタル化を

三田友梨佳キャスター:
テクノロジーの活用に詳しいIoTNEWS代表の小泉耕二さんに伺います。医療に関する情報をデジタルで管理する試みですが、どのようにご覧になりますか?

IoT・AIの専門メディア IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
医療従事者の負担を減らすということにとどまらず、この恩恵は広く国民にも及ぶのではないかと思います。これまで手書きで医師の方が書いていた紙をファクスで送ってたわけですが、これだと集計も手間取ってしまいます。オンラインでやることによって感染者の数の把握がスピードアップされ、その結果、感染の傾向などがわかり、早め早めの打ち手が取れるようになると思います。この機会に、医療分野に限らず公共性のある対応はデジタル化を進めるべきだと思っています。

IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
例えば、個人への「10万円給付」はマイナンバーカードと金融機関の口座がひも付いていれば、もう少しスピーディーに国民に届けられたのではないか、企業への「持続化給付金」に関してもオンライン申請をやっているにもかかわらず、なかなか振り込まれないという話がありました。また、感染情報の共有も海外では共有するアプリも組み込まれているが、そういった対応も少し遅かったと感じています。

三田友梨佳キャスター:
一方で、個人情報の扱いや国による監視などへの懸念の声も指摘されていますが、そのあたりはいかがですか?

IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
国民が議論しやすいように、まずは政府がガイドラインを作っていくべきだと思います。そして、そのガイドラインについて特に個人情報のところが問題になると思うので、国民がきちんと議論する。そして、どこまでのところをオンラインシステムとして行政が取り組むべきか決めていく、これを最終的に国民が判断すればいいという流れになるのではないかと思います。

三田友梨佳キャスター:
データ活用においては明確なルール作りが求められますが、企業や個人の関心を変えていくためにも、行政機関から率先して効率化できる仕事は徹底的にデジタル化を進めることが必要だと思いますし、高齢者や障害を持っている方を含め誰もが利用しやすい環境の整備も期待したいと思います。

(「Live News α」6月3日放送分)