トルコ南部の地震発生から2週間がたち、現地では救助活動から“被災者の支援”へと大きな転換期を迎えている。

発災直後から現地で支援活動を続けているNGO「ピースウィンズ・ジャパン」の町浩一郎さんに、今トルコで最も必要な物は何か、そして日本にいる私たちに何ができるかを聞いた。

レスキュー・医療・物資の3チームで支援

ーーまず、地震直後の現場はどんな状況だった?
地震直後は、倒壊した多くの建物から煙が出ていたり、寒い中、避難所がままならない時期で、街中には座りながらキャンプファイヤーで暖を取る人がたくさんいました。被災地は山に近いので夜はマイナス気温になります。

また、救急車の音が聞こえない時間の方が短いくらい、おびただしい数の救急車が街中を走っていて渋滞が起きていました。

NGO「ピースウィンズ・ジャパン」町浩一郎さん
NGO「ピースウィンズ・ジャパン」町浩一郎さん
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町さんは、地震発生2日目からトルコ中南部アダナを拠点に支援活動を続けてきた。

厳しい環境の中、およそ2週間にわたり、「レスキュー活動」「医療支援」「物資支援」という3つのチームで支援を行ってきたという。

ーー医療支援はどのようなことをした?
病院が使えなくなった街がたくさんあって、そこに仮設診療所を出して、1日約30~40人の患者を診ました。

私たちのチームは、感染症や慢性疾患など、通常病院に行かなければいけない人たちを診察していました。

提供:ピースウィンズ・ジャパン
提供:ピースウィンズ・ジャパン

ーーこれまで経験した被災現場と違うところは?
建物が脆弱で、「これほど簡単に家が潰れてしまうのか」と感じました。

一軒二軒ではなくて、通り全部、街全部の建物が完全に倒壊していて、電気も通じない光景を目にして、これは今までと違うと思いました。

トルコの人も「建物のマテリアルが重要だ」と言っていて、南東部は比較的移民の方も多く、貧困層が多い地域なので、建物の質が悪いと崩れやすいという印象は非常にあります。

必要なのは「シェルター」と「トイレ」

被災地の状況が日々変化する中、必要となる物資も日々めまぐるしく変化していると町さんは話す。

ーー物資はどんな物が届けられる?
最初は人が生きるための物資が重要で、水や食料、衛生用品、寒さをしのぐ毛布などが中心でした。

そこから2週間がたち、避難所にいる多くの人はシェルター、日本でいう仮設住宅に移っていくフェーズに変わってくるので、この2~3日で一番必要とされるのは「シェルター」です。

提供:ピースウィンズ・ジャパン
提供:ピースウィンズ・ジャパン

避難用のシェルターはもちろんのこと、患者や病院の医療スタッフが通常使うようなシェルターも必要で、元の生活にどれだけ近づけるかが今後大切になってきます。

あと、避難所の中が衛生的にかなり悪化しているので、「トイレ」や「シャワー」などの衛生面の物資も必要になってくると思います。大きな避難所でも仮設トイレが数個しかないところがたくさんあります。

とにかく避難所の衛生が確実に悪化していて、感染症の心配、治安の悪化が懸念されますので、やはり早く仮設住宅に移って、個人のプライバシーや安全性を確保できるようになればいいなと思っています。

「義援金」と「応援メッセージ」が励みに

現在、日本からは民間のNGO4〜5団体などが支援に参加しているとのことだが、義援金や寄付金はもちろん、応援のメッセージが大きな励みになっていると町さんは話す。

ーー日本にいる我々が今できることは?
地震に限りませんが、物資のニーズは毎日変わっていくので、例えば昨日水が必要だったところに翌々日に水を持って行っても、すでにたくさんあるということはざらにあるので、物資というのは常にニーズが変わっていきます。

そんな中、「義援金・寄付金」は大変ありがたく、それがあれば色々な支援ができます。
それと同時に、興味を持ち続けていただくこと、応援していただくことは凄く励みになっています。

トルコの方々は日本に非常に親近感を持っていて、街を歩いているとしょっちゅう話し掛けられたり、写真撮ってくれとか、ご飯を食べていると代わりに払ってくれようとしたり、「ジャパンから来てくれて本当にありがとう」と言ってくれるのが、私たちの励みになりますし、非常に印象的です。