息子や警察などを名乗りお金を騙し取る特殊詐欺事件。静岡県内では2023年に入ってから2月13日までの約1カ月半で、すでに38件発生している。自身の祖父も詐欺被害に遭い、詐欺撲滅へ人一倍 強い思いを胸に奮闘している男性警察官を追った。
特殊詐欺撲滅へ署長直轄チーム発足

静岡県警清水警察署。
この日の朝、署内で開かれていたのは特殊詐欺撲滅プロジェクトチームの会議だ。前日に県内のどこで詐欺電話が確認されたのか。どんな内容だったのか、共有していく。

清水署管内で発生した特殊詐欺事件は2021年が39件(県内ワースト1)、2022年も39件(県内ワースト2)だった。
清水署は2022年12月、死亡事故と特殊詐欺被害を防ぐため、署長直轄の対策プロジェクトチームを発足させた。

清水警察署・八木 瑞生 署長:
直轄チームを作れば、そこが自由に業務を推進してくためにいいのではないかと、プロジェクトチームを編成しました

特殊詐欺撲滅に特化した署長直轄のプロジェクトチームは静岡県内では初めだ。チームは若手や子育て中の警察官など各課から8人で構成されている。
祖父と同じ被害者を生まないために

清水警察署・勝俣 彰仁 巡査長:
立場の弱い人を守り、その人たちの財産を守っていくことがすごく重要なんだと思いながらやっています

詐欺撲滅への強い思いを胸に、パトカーから詐欺防止を呼び掛けていたのは、勝俣彰仁巡査長(34)。普段は警務課の警察官として市民からの電話相談などにあたっている。
勝俣巡査長は、祖父が特殊詐欺の被害に遭っていた。

勝俣 巡査長:
東京に住んでいる祖父が、3年くらい前にキャッシュカード詐欺盗にひっかかってしまい300万円被害が出たんですけど、聞いた時は嘘でしょと。すごくしっかりしている人だったので、そういう人でも引っかかってしまうのかと
被害防止へ地道な活動

プロジェクトチームは毎朝の会議に加え、メンバーが交代で毎日午前と午後に管内のパトロールに出ている。
この日は、高齢者の住宅を一軒一軒回り注意を呼び掛けた。特殊詐欺グループの容疑者から押収した名簿には管内の高齢者の住所も入っていたという。

勝俣 巡査長:
銀行員をかたって「キャッシュカードの交換が必要ですよ」って家に取りにきて、キャッシュカードをすり替えちゃうということもありますよね
住民:
よく新聞に載ってますもんね
勝俣 巡査長:
僕のおじいちゃんもこれに引っかかり、お金を持っていかれているんですよね。清水区内からこういう被害を絶対なくしたいなって思っていますので、呼びかけに来させてもらいました
住民:
テレビや新聞でもいろいろ出ていますので、気をつけていますが、こうやってきてくれてまた認識を新たにしました
活動の成果も徐々に

地道な活動を始めて2カ月。清水警察署には「警察官が回ってきましたが署員ですか」という問い合わせが寄せられるようになった。
八木署長は「危機意識を持ってくれたということ。“おや?”っと感じることがあれば110番通報してほしい」と話している。

現在のプロジェクトチームでの活動は2023年3月まで。
対策チームは被害防止、そして発生してしまった場合の素早い初動捜査で犯人検挙につなげようと、きょうも管内をまわっている。
(テレビ静岡)