「中古家電」使用中の発火による火災が増えている。その数は5年間で200件以上。実際の発火ケースやそれを防ぐためもポイントについて聞いた――。

「冬の方が中古品の火災事故は多い」

この時期に気になる冷たく乾燥した空気。

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20代:
風冷たくて、もうマフラー必須だなって感じです。(肌は)カサカサです。

東京地方では2022年12月23日から1月12日まで毎日乾燥注意報が出ている。

空気が乾くと注意が必要なのが火災だ。

資材置き場の事務所が燃える火災(1月6日千葉県千葉市)
資材置き場の事務所が燃える火災(1月6日千葉県千葉市)

1月6日には千葉県千葉市の資材置き場の事務所が燃え、真っ黒な煙を上げながら炎が広がった。

折れ曲がった仮設トイレが火の勢いを物語る
折れ曲がった仮設トイレが火の勢いを物語る

保管されていた仮設トイレは折れ曲がり火の勢いを物語っている。

警察などによると、けが人や逃げ遅れた人はいなかった。

団地火災(1月6日)
団地火災(1月6日)

同じ日には、東京都板橋区でも高島平にある団地の1室で火災が発生。

火災で内部に充満した黒い煙が共用廊下の窓から噴き出す
火災で内部に充満した黒い煙が共用廊下の窓から噴き出す

内部に充満した黒い煙が共用廊下の窓から噴き出している。

火は出火から1時間後にほぼ消し止められ、団地の12階部分、約30㎡が焼けた。

この部屋に住む高齢の男性が喉の痛みを訴え、病院に搬送されている。

連日続く乾燥の中、相次ぐ火災。

今専門家が原因の一つとして警鐘を鳴らすのが、“中古の電化製品”による火災事故。

NITE 製品安全広報課 安元隆博主任:
冬の期間の方が中古品の火災事故は多く発生しています。
製品自体も暖房器具とか電気をより使う頻度の高い製品が増えていますので、それに伴って火災事故も増えているのかなと思います。

中古品事故は5年間で279件。その約8割が火災に。

NITE(製品評価技術基盤機構)によると、中古品による事故は2021年度までの5年間で279件と多発。

その約8割が火災を伴っている。

一体なぜ、中古家電が原因の発火事故が起こってしまうのか。

そこには中古品だからこそ、つい見落としてしまうポイントがあった。

中古品のモバイルバッテリーを使った実験映像では、充電中に突然発火した後、さらに大きな爆発音とともに炎が広がる様子が見られた。

このバッテリーはリコールの対象品。

使い続けると発火の危険性があり、中古品として出回れば買った人が気付かず使用を続けてしまう恐れがある。

他にも、純正ではないバッテリーの仕様も悪化の原因になることがある。

非純正品のバッテリーを使用したPCから煙が…
非純正品のバッテリーを使用したPCから煙が…
大きな音をたてて発火するPC
大きな音をたてて発火するPC

実験映像では、パソコンに非純正バッテリーを取り付けて20~30分間使用すると、徐々に白い煙が出てきて、大きな音をたててあっという間に燃え上がった。

経年劣化した洗濯機が使用中に発火
経年劣化した洗濯機が使用中に発火

さらに洗濯機の実験映像では、外見に大きな異常は見られないが、使用していると煙が出てくる。その煙は徐々に大きくなり、洗濯機が発火する様子が見られた。

発火の原因は中の部品の経年劣化
発火の原因は中の部品の経年劣化

発火の理由は「中の部品の経年劣化」。

設計上の使用期限を過ぎても使用していたことが原因だった。

背景にインターネット売買の気軽さ

こうした事故の背景の1つが、インターネットで中古家電を気軽に売買できるようになったこと。

NITE 製品安全広報課 安元隆博主任:
売買のやりとりをする際に、提供側と受け取る側とで安全に関わるリコール情報とか、改造に関する情報をきちんとやりとりしていないがために安全じゃなくなってしまい発火にいたる。

中古家電に潜む危険性。

実際に中古家電を買う人たちはどう思っているのか。

リサイクルショップのハードオフグループで話を聞いた。

オフハウス千葉マリンピア専門館店 鹿田 譲店長:
半導体が不足して、より中古家電は(売れ行きが)加速したかなという実感はある。
「中古だと(商品が)あるね」と言って買っていただくこともあるので、そういう面で今、中古家電はすごく需要があるかなと。

需要が高いという中古家電、店を訪れた人に“選ぶワケ”を聞いた。

30代:
ものによっては(値段が)10分の1とかもあるので、そういうのはすごくこっちとしては助かるし、子供も2人いるからあんまりお金をそういうところにかけたくないなというのはあります。

30代:
中古でとりあえず買ってみて、試しに使ってみるというのはあるかな。
ある程度使って壊れてきたなと思ったら買い替えるみたいな感じです。

値段の安さや手の出しやすさが決め手となっていた。

しかし、中古ゆえのリスクを意識しているのだろうか。

20代:
結構外見とかに傷が多かったりすると、あんまりなのかなと思うんですけど、
基本的には使える物であれば何でもいいかなって感じです。

50代:
チェックはしていないです。これがリコールかどうかというのは、そんなに気にしないですかね。

“あまり気にしていない”という人が多い中、「どれだけの期間を使っているかというのも気になる。使っていた環境がどうだったのかも本当は知りたい」という50代も人もいた。

発火事故を防ぐ4つのチェックポイント

それでは、私たちが“中古家電を選ぶとき”どんな注意が必要なのか?

オフハウス千葉マリンピア専門館店 鹿田 譲店長:
当店は、家電品をお客様に安心・安全でご利用いただくために買い取りの段階からできる限りしっかりチェックさせていただいております。

この店では、発火事故を防ぐため4つのチェックを行っている。

ポイント1つ目は、スイッチを入れての動作確認。

オフハウス千葉マリンピア専門館店 鹿田 譲店長:
実際に店頭でも動作確認をお客さまと一緒にすることもできますので、その目で確かめて安心した状態で購入できるというのも一つの利点かなと思います。

ポイント2つ目は、電化製品の安全規格「PSEマーク」が付いているかの確認。

「PSEマーク」がない製品は販売ができず、使用すると事故につながる可能性もある。

ポイント3つ目は、型番と製品名を確認し、「リコール対象」になっていないかのチェック。

オフハウス千葉マリンピア専門館店 鹿田 譲店長:
会社で共有している情報をもとに、リコール対象商品でないか確認をさせていただいております。

消費者庁のリコール情報サイトなどでも簡単に確認が可能となっている。

そしてポイント4つ目は、年式の確認。

オフハウス千葉マリンピア専門館店 鹿田 譲店長:
家電は全て年式を一通り確認させていただいております。

この店では経年劣化の可能性があるため、家電は製造から5年以内を買取可能な目安と定めている。

オフハウス千葉マリンピア専門館店 鹿田 譲店長:
お客さまにも家電品、中古家電というのを理解していただいた上で、しっかりと向き合って安心・安全にご利用いただいてほしいと思っております。

中古家電を買う時には、まさかの火災を引き起こさないよう安全なものかチェックすることが重要だ。

(「イット!」 1月12日放送)