トルコとシリア、あわせて死者が4万1000人を超えた、トルコ・シリア地震。
一方で、今、生存率が急激に下がるといわれている72時間を大きく過ぎても、生存者の救出が相次いでいます。

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フジテレビの加藤崇記者も、生存者が発見された現場に遭遇しました。
救急車などが到着し、緊張が走る中、救助隊が担架に女性を乗せて「道を開けてください!どいて!どいて!」と集まった多くの人をかき分けて進みます。

運び出されたのは、55歳の女性。発生から実に158時間ぶりの救出でした。
直後の様子について、救助隊員はこう話します。

救助隊員:
点滴をし、口をぬらすために少しだけ水を飲ませ、角砂糖を一つ与えました。
血糖値を安定させるためです。その後、救出しました。

「花を食べ」「尿を…」発生から200時間以上経過しての救出も

地震発生から158時間経過して救助された女性
地震発生から158時間経過して救助された女性

現地メディアによるとこの女性の他にも、198時間後に救助された18歳の男性や、さらには、212時間後に救助された77歳の女性もいたということです。
“72時間”の壁をはるかに超えて救助された人々。彼らはどのようにしてその命をつないだのでしょうか?

約198時間後に救出された17歳と20歳の兄弟は、がれきの隙間から空気を吸って呼吸をし、プロテインパウダーを、自分の“尿”で溶かして飲んでいたと話します。

94時間後に救出された男性は、母親の育てていた「花」を食べて生き延びました。
「がれきの下では寝ないように25分ごとに、携帯のアラームを鳴らして、凍えないように毛布を掛け、服を足に巻いて靴下の代わりにしました」。男性は、手に持った杖を板にたたきつけて音を出し、4日目に発見されました。

「72時間の壁」を超えるためには?

人命救助におけるタイムリミットの目安と言われる「72時間の壁」
東日本大震災でも、72時間を超えたところから急激に救助者数が減少しました。
しかし、今回のトルコ・シリア地震では、地震発生から200時間後に救出された事例も多くあります。

地元メディアによると、トルコ南部・カフラマンマラシュで202時間ぶりに救出された男性は、閉じ込められてから7日目に、床のレンガが湿っていることに気がつきました。
周囲を掘り進めると、水が出てきて、雪水だと分かりました。「神の導きだ」と話していたといいます。

カフラマンマラシュは、この季節、雪が多く降る地域です。男性は、雪解け水で命をつなぐことができましたが、一方で最低気温が氷点下になると、低体温症なども懸念されます。なぜ耐えることができたのでしょうか?
東京曳舟病院の副院長で、東京DMATの三浦邦久医師は、その理由についてこう話します。

東京曳舟病院 副院長・東京DMAT 三浦邦久医師
東京曳舟病院 副院長・東京DMAT 三浦邦久医師

東京曳舟病院 三浦邦久医師:
今回は発生したのが早朝4時ということもあって、寝具を身にまとっていたため、低体温を防ぐことができたのではないかと。
それにより多くの救出者は、大きな外傷はなかった。大きなけがをすると、出血にもして脱水にもなってしまいますから、そのような色々な要素が重なって、助かったのでは無いかと思っています。

さらに、「水」の重要性をこう話します。

東京曳舟病院 三浦邦久医師:
水を飲まないと72時間がギリギリのラインというところなので、救出するのに72時間という形です。ただ、水分を取ったり栄養を取ったりすることで、エネルギーが産生されて、脱水にもならない。そうすることで、救出されるチャンスが増えるということですね。

(めざまし8 2 月16日放送)