関東などで相次ぐ強盗事件で、窓ガラスを割って侵入するケースがあることから、防犯グッズの需要が増している。
一軒家、マンションの両方ですぐに実行できる防犯の工夫について、セコムIS研究所の濱田宏彰氏に聞いた。
侵入までの時間がかかると諦める
ーー侵入を防ぐにはどんな工夫ができる?
泥棒に直接アンケートをとって調査したところ、侵入までに5分以上手間取ると7割が犯行を諦めるといったデータがあります。
5分守れば良いというのは極論ではありますが、時間がかかると泥棒は諦めるということです。
しかし単純に時間を稼いでもダメで、基本的には誰かに見つかる可能性が増えてくるから泥棒が諦めるわけで、例えば広野の一軒家で5分持ってもどうしようもないです。
街の中であれば通行人に見つかる可能性があるので、泥棒はそれを避けたいわけです。

その5分を稼ぐために、一体どうすれば良いのだろうか。
今すぐできる工夫として濱田氏は、窓の“上の部分”に補助錠を付けることを勧める。
ーー補助錠を付ける場合、位置はどこ?
多くの住宅の窓には真ん中に『クレセント錠』というクルッと回るカギが付いていますが、それに加えてもう1つ補助錠を付ける場合は上がよいでしょう。
上の方に付けると泥棒は背を伸ばして、周りから見つかるようなシチュエーションで頑張らなくてはいけないので、抑止効果が高いです。

泥棒はまず窓の下を割って、開かないとなると、今度は背を伸ばして上を割って突破しないといけなくなるので、さらに時間がかかるわけで、上に付けたほうが見つかるリスクが高くなります。
最近オープンな外構が増えていますが、ブロック塀の家は塀の中に入ってしまえば補助錠が上に付いていても見つかるリスクはあまりなく、その場合はさらに頑丈な仕組みが必要になります。
例えばカメラを付けるとか、ホームセキュリティーシステムという“機械の目”を準備するなどしないと防犯は成り立たないと考えています。

ーーポスト、窓の汚れ、荒れた庭などは狙われる?
郵便受けがあふれていると留守であることがわかってしまうので、旅行など長期不在の際は、新聞配達所や郵便局に何日まで配達を止めるお願いをすることが重要です。
また、泥棒は住宅の周りの空間が管理されているかを見ているので、雑然としていると「ここなら自分が働いても誰も気付かない」と思って行動します。狙われないために周辺を管理することも必要です。
在宅時の“無施錠”も要注意
では、どういった家が狙われやすいのか。
濱田氏は、留守中だけ注意していれば良いというのは間違いで、在宅中も窓を開けっ放しにしていたり、就寝中の忍び込みも用心が必要だと話す。

ーー狙われやすい家は?
最近の傾向として、無施錠のところから入られることが多く、外出時はもちろんのこと、在宅時も戸締りをしっかりしておくことが重要です。
一昔前の手口は“ガラス破り”がほとんどでしたが、今は“無施錠”のところから入るのが過半数になっているので、まず戸締りをするこが重要になってきます。
外出時に無施錠で入ってくることもありますが、在宅時も注意が必要です。
泥棒には、「空き巣・忍び込み・居空き」があります。
「空き巣」は、留守の時に入る。
「忍び込み」は、夜寝ているような時に入る。
「居空き」は、日中活動している間にどこかから入る。
最近の統計では、「忍び込み」と「居空き」といった在宅時に入られる状況が増えています。そのため在宅時もしっかりと戸締りをして、必要な時だけ鍵を開けるようにしていただきたいです。
今だとコロナ禍で換気が必要ですが、目の届く範囲なら大丈夫ですが、台所で料理している時に2階の寝室を開けっ放しにすると、2階によじ登って入られたケースもあるので、目の届かないところはしっかり戸締りをしていただきたいです。
以前からお風呂場を開けっ放しにする人が多く、面格子がついているから大丈夫と思われますが、面格子もドライバー1本で取れちゃうので、見直しが必要です。

ーー最後に、日ごろから必要な心掛けは?
帰宅時に玄関に押し込まれることがないように、周りを気にしながら歩く。
イヤホンを付けたまま歩いていると、後ろからつけられていてもわからないとか、車が来ても気付かないこともあり、そういうことがないようにする。
また、マンションのエントランスから一緒に入られてしまうようなケースが無いように、帰宅時は1人で入れるタイミングにする。全く知らない人と入るのは気を付けていただきたいです。