東京・狛江市で高齢女性が殺害されるなど、関東などで強盗事件が相次いでいる。

私たちの家が狙われないためにはどうしたら良いのか。

強盗事件は「全国的に広がっていく」可能性もあると注意を呼びかける防犯アドバイザー・京師美佳さんに、不審人物・不審車両を見分けるポイントや、今からできる対策などついて聞いた。

“カモリスト”の存在を犯行に活用?

ーー各地で強盗事件が相次いでいるが、どう見ている?
上層部が闇サイトで実行犯を募集して犯行を行っています。

その場合、実行犯は全国どこでも集めることができるため、今後、上層部・指示役が捕まらない限りは全国的に広がっていくと考えています。

防犯アドバイザー・京師美佳さん
防犯アドバイザー・京師美佳さん
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ーーどんな人が強盗などに狙われやすい?
アポ電強盗や振り込め詐欺はあらかじめ下見をし、中には“カモリスト”と呼ばれるような、狙われやすい人の情報を得て犯行に及んでいる場合があります。

例えば、過去に詐欺被害にあったことがある人、または悪徳な高額訪問販売を購入してしまったことがある人は、「すぐにお金を出す」「大金を持っている」という形で、カモリストに載っています。

あとは、高学歴な学校を卒業した人の卒業アルバムも売買されていて、その後に「良い職に就いて大金を持っているだろう」、また、「そういった学校に行かせることができる実家は裕福に違いない」というふうに思われ、その住所が狙われるので注意が必要です。

住宅街よりも“街中の物件”が要注意

卒業アルバムなどは、以前は「名簿屋」という闇の業者を介していたが、現在はネット上でやり取りが行われていると指摘する京師さん。

狙われやすい物件は意外にも、駅に近く人の往来が多いエリアだという。

ーー立地条件で狙われやすい家というのは?
便利な家、環境のいい家。駅が近い、公園が近い、また24時間営業のお店が近い家は、泥棒にも強盗にも狙われやすくなっています。

まず人混みに紛れ込める、すぐ逃げられる、下見もしやすい、ウロウロしていても怪しまれないというところがあって、実は狙われやすい場所なんです。

住宅街では知らない人がウロウロしていると、ある程度ご近所の方が、「あの人なんか怪しくない?」とか、「誰だろう?」と思って不信がります。

ですから街中など誰がいてもおかしくない状況の方が、犯罪者にとっては紛れ込みやすい環境になります。

ーー戸建てとマンションは、どちらの方が狙われやすい?
やはり戸建てはご自身でセキュリティをしていただかない限り、物騒な状況になります。

古い家だと建具とかも壊しやすいというのがあって、強盗などに狙われやすいと考えた方が良いです。

マンションの場合は1階、2階。また、非常階段などで上がりやすい屋上付近は、ベランダからガラスを割って侵入するだけなので、どんなに高層マンションでセキュリティがしっかりしていても、実は狙われやすいです。

不審な数字、シールは剥がして消す

犯行グループが事前に下見をしている場合、不審人物、不審車両を見分けるポイントにはどういったものがあるのか。

京師さんは、セールスなのにレンタカーを使っている場合などは、怪しいと思った方が良いと話す。

ーーどういう車を見たら怪しいと疑うべき?
同じ地域の中で、グルグルと何度も周回している車はもちろん怪しいです。
また、作業服を着たり、セールスなのに社用車を使わずレンタカーを使っている場合は、少し怪しいと思った方がいいです。

下見は、目立たないように人の多い時間帯にすることが多いです。

家の中の状況、家庭状況、懐具合を確かめるには、確実に人がいる時間帯にまずは訪問して、あらゆることを聞き出して、実行は深夜に行うことがあります。

(イメージ)
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ーー家のマーキングなどは?
昔から数字とか記号、シールを貼って犯罪者たちが情報を共有している場合があり、例えば黒丸だったら男性、赤丸だったら女性、「16時-20時」だったら「16時から20時は不在」といったものがあります。

もし電気メーターや玄関ドアの上、門扉の横に不審な数字やシールが貼られていたらすぐに剥がして消してください。業者さんが書き込むことは絶対に無いです。

「音、光、時間、人の目」の4原則

ーー今からできる対策は?
まず防犯意識が高いと言うことを目でわかるようにアピールしていただくことが大切です。

例えばインターネットやホームセンターで売っている数百円の“防犯ステッカー”などを、玄関・門扉などに貼ると、実際には警備会社と契約していなくても、窓を開けたらアラームが鳴るかもしれないと相手を警戒させることができ、「この家は止めておこう」となります。

また、暗い場所はセンサーライトを付けたり、防犯カメラも効果的です。

最終的に侵入されるかどうかは、開口部・玄関・窓にかかってきますので、そこに100円ショップなどでも売っている補助錠をたくさん付けて、侵入に5分以上時間を稼ぐことが重要です。

“5分かかれば諦める”という警察のデータがあります。

そして、犯罪者が嫌う“4原則”というものがあります。

「音」「光」「時間」「人の目」を意識して対策すると、とても有効です。

「音」は、窓を開けるとアラームが鳴る機器を設置。

「光」は、センサーライトを付けて威嚇、近寄らせない。

「時間」は、犯人の侵入に時間がかかるように、補助錠を玄関や窓にたくさん付ける。窓は防犯ガラスや防犯フィルムを貼って割れにくくする。

「人の目」は、犯行を諦める1番の理由になっています。犯人は近所の人にジロジロ見られることを凄く嫌がります。普段から近所の人の目が集まるような対策をする。

例えば家にイルミネーションを付けたり、庭や玄関、窓、駐車場にきれいな花を飾ると通行人の目が集まるので、そこでガラスを割ろうとか鍵を壊そうとはなりません。

これは「防犯環境設計」というもので、是非実行していただきたいです。

ーーご近所付き合いも大事?
ご近所さんとは頻繁に挨拶をおこない、もし知らない人が家の前を通ったり、すれ違うことがあったら「こんにちは」とか「失礼します」とか声をかける。

犯罪者にとってはちょっと嫌な感じがして犯行を諦めたり、顔を覚えられたのではと心配になってその場を立ち去るので、ぜひ皆さんに街ぐるみの対策として“声かけ”をお願いしたいです。

心配事は警察相談電話『#9110』に

では、不審な人を見かけた時はどう対応するのが良いのか。

110番のハードルが高い場合、京師さんは『#9110』という警察相談窓口へ電話することを勧める。

ーー不審者を見かけた時の対応と日ごろの注意点は?
緊急でない場合の警察相談電話というのがあって、『#9110』を押すと、そこでは泥棒、強盗、ストーカーなど様々な心配事を相談できます。

日ごろの注意点としては、できるだけ玄関での対面をしないこと。宅配などの業者を装った強盗もいます。「無料で点検します」と言って玄関を開けさせている場合もあります。必要でないもの、自分が注文してないものは、絶対にインターホンですべてお断りをする。

戸建て用でも、数千円から宅配ボックスがあるので、置き配してもらうとか、できるだけ知らない人と対面しないようにするのが一番の対策です。