2022年に富山市の女子中学生が自ら命を絶ったことを受け、ひとりで悩まず、孤立をなくすことの大切さが、あらためて叫ばれている。こうした中、月に一度、「自殺」について考える会が開かれている場所がある。
富山・高岡市の「古本なるや」は、「話せる“古本屋”」として悩みを抱えた人たちが、話をしに訪れる場所だ。会には、「つらい、死にたい」と思いを打ち明けられる場所として、さまざまな人たちが集まっていた。

孤立なくしたい…悩み抱える人たちが集う場に

勝興寺の国宝指定で盛り上がりを見せる高岡市伏木古国府。観光客でにぎわう町の一角にある「古本なるや」では、きょうも静かな時間が流れている。

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5年前に店を開いた堀田晶さん(48)は、悩みを抱える人たちが気軽に立ち寄れる場にと、ここで様々な相談を受けている。

堀田晶さん:
いろんな人たちと、つながれるきっかけになれたら

午後、月に一度開かれている「自殺について考える会」に参加するため、なるやに人が集まってきた。

参加者の1人、高岡市の出口龍雅さん。小学生の時、発達障がいと診断された出口さんは、1人暮らしを始めた大学生活で無理がたたり、対人恐怖症を発症。2021年秋から「なるや」に通い、今は障がい者施設で働きながら、障がい者アーティストとして絵を描いている。

ーーなるやはどんな場所?

出口龍雅さん:
人と接したい気持ちをかなえてくれて、支えてくれた場所

出口龍雅さん
出口龍雅さん

家族を自殺で失った人も…サインに気づき適切に対応を

この日は、電話で悩み相談を受けるNPO法人や自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応をするゲートキーパーの女性など5人が集まった。

男性:
最近自殺する夢とか見たりとか…

滑川市から初めて訪れたという休職中の男性は、SNSでたまたま見つけた、なるやのウェブサイトから参加を申し込んだ。

堀田晶さん:
つらい、死にたいを、当たり前に言えるような場所があったらいい

男性:
なかなかそういう場所がない。相談できる人もいない

会には、これまでに自殺を考えたことがある人、家族を自殺で失った人など、さまざまな人が訪れている。

堀田晶さん:
ボロボロ泣かれる方もおられるし、色々。簡単に死にたいって言われたら腹立ってくるみたいな、色んな意見があっていい

まずは話すこと、会はそこから始まる。

ゲートキーパーネットとやま・五十嵐いさ子会長:
ネガティブな部分は、なるべく覆い隠したところで日常生活を送って。でも本当は違うよっていうのは持ってる

男性:
ネガティブなことを言うと、こいつやる気ないんじゃないかとか、こいつダメやなとかって、それで無理して本音を言えずに

堀田晶さん:
休めている感じですか?

男性:
罪悪感みたいな…。休んでしまっているみたいな

堀田晶さん:
「休んでしまっている」になるんだ

男性:
このまま何もせずに終わっていくという焦り

参加した男性
参加した男性

出口龍雅さん:
何もしてない自分に罪悪感。不安で仕方ない

堀田晶さん:
どういうところで、安心感を感じてもらえるか

約2時間、じっくり意見を交わし、今やってみたいことを話しているうちに、参加者の表情が変わっていった。

堀田晶さん:
話の場が作れたことは、僕の喜びにもつながってる。どんどん広がってって、つながっていけたらいい。きょうは、ありがとうございました

ーー参加してどうでしたか?

男性:
自殺…自分もしてしまうんじゃないかなと考えること多くて。もやもやとしたものが、ちょっとすっきりしたかな

4年続く“考える会”「人とのやりとり、心の栄養に」

1月12日、富山駅で開かれた古本市に堀田さんの姿があった。長かった髪をバッサリ。なるやで聞いた多くの人の悩みを自分に置きかえて考えるうち、反省や後悔が頭をよぎり、新たな気持ちで人と向き合いたいと思ったからだった。
定期的に参加するこの古本市では、駅という場所柄、若い世代と出会い、本をきっかけに相談を受けることもある。「人とつながることが心の栄養になる」と、堀田さんは言う。

堀田晶さん:
人とやりとりすることが心の栄養、潤いにつながる

多くの人の声に耳を傾け、人と人をつなぐ古本なるや。誰かと話がしたい、誰かに悩みを聞いてほしい。思いを打ち明けられる場所として、きょうも明かりを灯し続けている。

自殺について考える会は、4年続いている。堀田さんは、身近な問題でありながら、周りが気づけなかったり、気づいたとしても接し方や相談を続けていくことの難しさがあるという。その人にとって、安心感を得られる環境をどのように増やしていくか、課題は多いと話していた。

(富山テレビ)

富山テレビ
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