不要になった物を出品するフリマアプリ「メルカリ」を自治体も活用している。新潟県加茂市では、市民から回収した粗大ゴミのうち、まだ価値のある物を選び出し「メルカリ」に出品。愛知県蒲郡市と並び、全国のトップを切って行う取り組みの裏には、自治体の課題と新たな挑戦があった。
「メルカリ」活用でゴミ減量へ!
眼光鋭いトンビの剥製や地球儀・ゴルフクラブのセット…。事業用のメルカリ「メルカリShops」のページに並ぶのは、加茂市と田上町が共同で運営するゴミ処理施設「加茂市・田上町清掃センター」に持ち込まれた品々だ。
この記事の画像(14枚)粗大ゴミを出品する理由は、使用開始から42年目となるこの施設の老朽化にある。
加茂市 環境課 石附敏春 課長:
清掃センターは、建設から相当の年月が経ち、著しく老朽化している。今後もこの施設を利用し続けなくてはいけない中で、焼却炉を維持していくためには、どうしてもゴミの減量化に取り組まなくてはならない
市民には、清掃センターに粗大ゴミを持ち込む際に、メルカリShopsに出品する可能性があることについて承諾を得ている。
職員が多くの粗大ゴミの中から、価値のありそうな物、まだ使えそうな物を選び出し出品。これから出品予定の物を見せてもらうと、和装のかつらや門松・ギターなど、様々なジャンルの粗大ゴミが“商品”となるのを待っていた。
粗大ゴミから商品を掘り起こす際のポイントを担当者に聞いた。
加茂市・田上町消防衛生保育組合 相田祥平さん:
「皆さんが買ってくれそうな物」というのが大前提。当初は未使用の食器などが売れると思い、ピックアップしていたが、それら以上に、動物モチーフの置物やギターなど、趣味に特化した商品の方が売れ行きが良いと見ている
2022年5月にサイトを開設後、28点を出品し、19点に買い手がついた。販売額の合計は5万3000円ほどで、手数料と送料を差し引いた金額が清掃センターの維持費に充てられる。
金額としては大きくないが、この取り組みは新たな動きを生んでいる。
メルカリShopsへの出品を支えているのは、障がい者福祉事業所に通う人たちだ。商品状態を確認したり、商品の写真を撮ったりと、重要な業務を担っている。
障がい福祉事業所IWORKS 日高嘉信 代表理事:
事業所に通う皆さんは、出品の仕事を「面白い」と言っている。やりがいや工賃につながればいい
清掃センターで出品を待つ商品の中には、壊れた石油ストーブもあった。
加茂市・田上町消防衛生保育組合 相田祥平さん:
「アラジンストーブ」という人気の高いストーブ。もう動かないが、パーツが欲しい人もいるので、すぐ売れると思う
これまで見過ごされていた粗大ゴミに埋もれた「価値」。
加茂市 環境課 石附敏春 課長:
「メルカリ」と行政が手を組むことによって、「リユース」という新たな意識を市民に伝えられていると感じている
ゴミ処理施設の老朽化という自治体の大きな課題は、リユースというポジティブなメッセージを生み出していた。
(NST新潟総合テレビ)