自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
お正月をおじいちゃん・おばあちゃんの家で過ごす予定の、小木(こぎ)さん一家のココロちゃんとマナブくんきょうだい。
今回注目したのは、お泊まりに関するこんなお話。
「ひとりでおばあちゃんの家に泊まりたい!と言う娘。これはいい経験になるかも?と思いひとりで泊まらせたけれど、夜になって寂しくなったのか、泣きながら電話がかかってきた…」
子どもだけのお泊まりは、ちょっとした旅行気分!でも、夜になると突然「おうちに帰りたい」「パパママとお話したい!」涙目に……
昼間は「ひとりでお泊まりできるよ!」「ひとりで大丈夫だよ!」と張り切っていたのに、夜になると突然弱気になってしまうのは、もしかして“ホームシック”?
パパママは行けないのに、もしかしたら「ひとりで泊まってみたい!」と年末年始の帰省を言い出すかも知れない子どもたち。どうすれば最後まで楽しくお泊まりできるのか、育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
夜には「お家のことを思い出す“間”」ができちゃう
――「親と離れてひとりでお泊まりできる」のは、何歳くらい?
これは年齢差がかなりある印象です。ごく小さい頃(2~3歳)からおじいちゃんおばあちゃん宅に泊まれる子もいれば、小学校のキャンプや修学旅行でもホームシックになってしまう子もいます。
ただこの差は、その子の性格だけでなく、親がいつそのきっかけを作ったかということも大いに関係しているように思われます。「3歳では無理だ」と思い込んでいたら試すことはないですが、実際にやってみたらできたかもしれません。ですので、たまたま試す機会がないままま、ある年齢まで来てしまったという子もかなり多いのではないでしょうか。
――「夜になると寂しくなる・不安になる」というのは、どんな理由がある?
いわゆるホームシックですが、夜に起こりやすいのはお家のことを思い出す“間”のようなものができるからが大きいと思います。日中の遊びタイムのように没頭することもなく、ただお布団の中で寝るばかりという状況は、パパやママを思い出させる隙を作ってしまうのでしょう。あとは静けさや暗さなどもそれを助長してしまうのだと思います。
ただ振り返って見てみると、寝る前の時間帯は、子どもたちにとってはあまり楽しくない時間であることが多いもの。お家にいるときも、夕方以降にもめごとが集中するご家庭は多いのではないでしょうか。夕食が終わったらテレビやゲームはダメと言われ、歯磨き、お風呂などやりたくないことばかり。しかも、寝るのは嫌だと毎晩バトルしてしまう……。
このように、もともとお家でも昼間と比べて“いい気分”で過ごしていない確率は高いと思われるので、そもそも夜に対し、いいイメージがないのかもしれません。
――「夜になると弱気になる」のを和らげるためには、どんなことができる?
お泊りの夜、寂しくなってしまったときに、「ママに電話をしてみようか」となるかもしれませんが、話してスッキリ解消となることはあまりないと思います。いざというときに迎えに行くことが可能なのであれば、電話作戦を試してみるのは価値があると思いますが、離れていたりして現実的ではないのであれば、声を聞かせてしまうのはむしろ可愛そうかもしれません。
傾向として、すでになじみのある場所の方が子どもは受け入れやすいものです。よって、はじめてのお泊りがはじめての場所というのは問題が起こりやすいので、お泊りをさせたいなという場合には、あらかじめそこに慣れておくことは大事なポイントだと思います。
また、心理学でいう“移行対象”を持たせるのも有効です。移行対象とは、大好きなお気に入りアイテムのことを言います。一般的には、ぬいぐるみや毛布、ガーゼなどのフワフワした愛着用品を指しますが、フワフワ系なら何でもいいかというとそうではなく、その子にとっての心の安定剤になっていることがポイントです。たとえば、ぬいぐるみはたくさん持っているけれど、寝るときはいつもプーさんと一緒、こういう関係のもののことです。
移行対象はぬいぐるみ以上の意味を持つ存在であるため、不安や恐怖、寂しさを和らげる心理効果をもたらすことがあります。すでにその存在があるのなら、お泊りに持って行くことをおすすめします。
子どもたちにとって、夜という時間帯はそもそも“苦手意識”がありがちなもの。
さらに、昼間はおじいちゃん・おばあちゃんと一緒にごはんを食べたり遊んだりと賑やかに過ごしていても、静かで暗い夜にはついついパパママを思い出してしまう“間”が生まれてしまい、結果、不安な気持ちになってしまう…というのが、「夜に突然弱気になる」ことの理由のようだ。
そんな時はパパママの声を聞かせて安心させてあげたいというのもわかるが、声を聞いて「やっぱり今すぐ会いたい!」となってしまうなど、逆効果なことも。
そんな時は事前に普段使っているなじみのものを持たせて、家にいるような“安心空間”を作ってあげることが、ホームシックを防ぐひとつの手段になるそうだ。
お正月はお出かけにお泊りにと、子どもたちにとってちょっとした“非日常”の体験が盛りだくさん。もし、子どもひとりで初めてのお泊まりを計画中!というパパママは、荷物の中にそっとお気に入りのぬいぐるみや毛布などを入れておいてあげてほしい。
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・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?
※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。
(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)