徳島県藍住町の町議会副議長と元町職員が、大麻の密売グループに警察の捜査情報を流し、賄賂を受け取った疑いで逮捕された。前代未聞の汚職が疑われる事件を、時系列で振り返る。
民泊施設で大麻を営利目的で所持した疑い
大阪市浪速区の民泊施設で大麻を営利目的で所持した疑いなどで、密売グループの男女15人が逮捕されていたことが分かった。
大麻取締法違反の疑いで逮捕されたのは、住居不定・無職の金太士容疑者(52)。2022年4月、大阪市浪速区の民泊施設の一室で、乾燥大麻約3350gを所持した疑いが持たれている。

4月に施設の管理者から「薬物使用の可能性のある客が泊まっている」と通報があり、警察が捜査を進めていた。
警察によると、複数の密売人が民泊の一室を出入りして大麻を持ち出していたという。鍵のやり取りには、部屋の郵便受けが使われていた。
密売人らは部屋に置かれたノートに「どの種類の大麻をどれだけ持ち出したか」などを記入し、SNSなどを通じて大麻を転売。売上金は金容疑者に渡されていた。

警察はグループの密売人ら20~70代の男女14人を逮捕して関係先を捜索し、合計5500gあまりの乾燥大麻などを押収した。末端価格は約3400万円に上る。
情報漏洩の見返りは現金5万円
加重収賄などの疑いで、徳島県藍住町議会で副議長を務める平石賢治容疑者(45)と、元藍住町職員の阿部さやか容疑者(39)が逮捕された。

平石容疑者らは2021年9月、大麻の密売グループの男に、同グループの男性について捜査機関から藍住町に照会があったことを漏えいし、見返りに現金5万円を受け取った疑いが持たれている。

この大麻の密売グループの男が、大阪の民泊施設で乾燥大麻を所持した疑いで逮捕されている金容疑者だった。金容疑者は贈賄の疑いで再逮捕された。
警察によると、平石容疑者と金容疑者は数年前からの知人で、金容疑者は「密売グループに関する捜査情報を教えてほしい」と平石容疑者に依頼。平石容疑者は阿部容疑者に、捜査機関から役場に問い合わせがあれば情報を教えるよう頼んでいたという。

警察によると、情報漏えいの後、金容疑者は大麻の栽培拠点を移動していたということだ。
藍住町の町長は、「事実であれば断じて許されるべきものではなく、極めて遺憾。不祥事の発生防止を図り、信頼回復に取り組む」とコメントした。

平石容疑者が金容疑者への情報漏えいが、2021年12月にも行われていた疑いがあることが分かった。警察は午後、藍住町役場の副議長室や住民課などの捜索を行った。

密売グループ 本籍を藍住町に
大麻密売グループの数人が、平石容疑者が議員を務める藍住町に、2021年に本籍を移していたことが分かった。警察は、密売グループが警察の動きを把握する目的で本籍地を移したとみている。

警察は、3人が容疑を認めているか否かについて明らかにしていない。大麻密売グループと地方議員のどす黒いつながりが、どのように始まり、どこまで深まっていたのか。今後の捜査の進展が待たれている。
(関西テレビ「報道ランナー」12月6日)