自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家の元に届いたのは、こんなお話。

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「3歳の子どもに『YouTubeが見たい!』とお願いされた。動画を静かに見ていてくれると助かる面もあるのだけれど、色々と心配ごとも…」

面白い動画がいっぱいの動画サイト。大人も子どももついつい夢中になってしまうけれど、小さい子どもに動画を見せるのはちょっと不安なことも。目が悪くなってしまったり、動画に夢中になりすぎて悪い影響があるのでは…と心配だというパパママも多いのでは?
とはいえ、大人たちがスマホを眺めていたら「自分も自分も!」となってしまうのが子どもたち。
まだまだ目が離せない3歳以下の子どもたちに「動画が見たい!」と頼まれたとき、パパママはどうすればいい?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

「2歳まではNG、2歳以降は1時間以下」で

――小さな子どもに動画を見せる、これはそもそもOK?

WHO(世界保健機関)が推奨している幼少期の“スクリーンタイム(画面を見る時間)”についてのガイドラインがあるのですが、それによると、2歳までは画面は見せず、2歳以降は1時間以下で収まるようにとしています。この定義に沿うなら、もし3歳未満の子どもがスマホでの動画視聴をしたいと言ったときに、2歳の子なら1時間まではいいけれど、それより小さい子は見せるのは望ましくないとなります。でも実際はもっと早くにデビューしているお子さんが多い印象があります。

“スマホ育児”というのは、ここ最近の傾向ですので、それまでは何らかの別の方法を取っていたわけですが、これほどまでにスマホ育児が急速に当たり前化した背景には、そのWin-Win状態にあると考えています。子どもは喜び、親も楽になるということですね。スマホを渡すとおとなしくなるため、子育ての切り札として用いられやすいのです。

その子たちが大人になったときに何らかの影響があるのか、それともないのか、このような結果が出るほど月日が経っていませんが、エスカレートしやすく、依存性があることからも「つい便利だから頼ってしまう」という状態は避けたいものです。


――では、子どもに「動画が見たい!」とお願いされたらどうするのが良い?

スマホを渡そうか検討する場面というのは、外出先でおとなしくしてほしいとき(電車の中など)や自分が家事をしたいときなどが代表的なケースかと思います。そういう場合、まずはスクリーン系以外のことで対応できないかを検討することは大切なことです。絵本、パズル、おもちゃなどの従来の対応です。

いったんスマホの魅力を知ってしまえば、絵本よりもスマホと強く求めるようになることが多いので、クセになる前にまずは対応策を考えることはとても大事でしょう。

そして、すでにスマホの楽しさを知っている場合でも、親が管理することはマストと言えます。スマホやタブレットは、その操作法が体感的にわかるものが多いので、仮に渡しっぱなしにしてしまえば、あっという間に「スマホがないと泣く」というような状態になりかねません。あくまで一時的な親からのレンタル品という位置づけであることを浸透させておくことは重要だと思います。


――3歳以下の子どもたちに動画サイトを見せるとき、気をつけなければならないポイントはある?


小さい時期はとくに子どもに手がかかるため、子どもが動画を見てくれていると親は本当に助かってしまいます。ですが、このWin-Win状態により、とてもエスカレートしやすくなっているということはぜひ気に留めておいていただきたい部分です。

スマホ、タブレット、パソコンなどの画面系に関しては、増やすのは簡単で減らすのが難しいという傾向があるので、いったん3歳で1日数時間というのが当たり前になっていれば、4歳以降、さらには小学生、中学生になったときには、それ以下にするのは非常に大変になります。幼少期が基準値になりやすいとも言えるかと思います。

親からすると、幼少時はすごく助かるスマホ育児ですが、数年後には悩みの元凶になっていることも多いもの。なぜかと言えば、小学校に上がると日常生活の中に“勉強”が入りこんでくるからです。
勉強なんてやらなくていいよというスタンスなら悩みにならないのかもしれませんが、義務教育である以上、「スマホより勉強!」となるのはごく自然なことで、でもその時になって、「スマホ禁止!」などと対応しようとするのはとても難しいのです。

よって、小さいうちにスマホ育児に頼り過ぎると、それが後で自分の首を絞めることになりかねないという点は、気に留めておきたいポイントかと思います。


――見せる動画の内容にも注意は必要?

もちろんです。どれだけ見せるかも気にすべきポイントですが、何を見せるかを検討することもとても大事になります。アメリカ小児科学会は、質の良い番組を選び、それを一緒に見ることを推奨しています。

実際には子どもが何かを視聴している間に家事を済ませたりしているという使用法が多いと思うので、一緒に見られないという方も多いでしょう。そうであればなおさら親が了承している番組を見せることが大切です。

連続再生モードになっていたり、子どもが自由にクリックできるようになっている状態は、子どもはずっと静かにしていられるため、親も楽だと感じてしまうものです。でも、中には刺激が強い映像や音響もありますし、マネしてほしくないコンテンツも含まれているかもしれません。助かる部分も多いスマホですが、いずれそれが親子のもめごとになりかねないことも踏まえて、時間の長さとともに、その質についても気を配っていくことが大切です。

小さい子どもに「YouTubeを見たい!」とお願いされたとき、まずするべきは「代わりになるものを提案する」こと。お気に入りの絵本や普段遊んでいるおもちゃなど、スマホを使わなくても楽しめるもので子どもたちの気持ちを惹きつけてあげるのが良いそう。

もしすでに普段から動画を見せている…という人は、ひとつの目安にしたいのが「2歳以降は1時間以下」という時間設定。普段からこれ以上の時間動画を見せているという人は、今後は1時間以内にルールを変更してみると良いだろう。また、2歳以下の子どもにはスマホ自体を与えず、先のようなもので我慢してもらうのが、子どもたちの健康を守ることにも繋がるという。

そして、子どもたちが見る動画の内容にも、注意は必要。YouTubeなどではひとつの動画を見終わると、自動的に次の動画が再生される…という仕組みがあるため、まずは「パパママと一緒に見る」、あるいは「パパママが作ったプレイリスト内の動画だけ見せる」など、時間・内容ともに親の管理下で楽しむのが、子どもたちと動画の安心な付き合い方のようだ。

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・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
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などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。