高知・四万十市で18年近くにわたって多くの人に愛されてきた農家レストランが閉店した。“なじみの味”との別れを惜しむ常連客で賑わった「最後の一日」を取材した。

ピーク時は年間1万人も…コロナ禍で営業日縮小

四万十市西土佐口屋内の農家レストラン「しゃえんじり」。17年8カ月続いたこの店が11月27日、最後の営業日を迎えた。

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「しゃえんじり」とは、四万十市などの幡多地方の方言で“野菜畑”のこと。その名の通り、地元野菜をふんだんに使った料理をバイキング形式で楽しめる店として愛されてきた。

地域の活性化を図ろうと、住民が集会所を改修して2005年にオープン。地元の6人の女性が運営していて、ピーク時には年間1万人が訪れたこともあった。しかし、コロナ禍になってからは、営業を週6日から金・土・日の週3日に縮小。店に立つのは、代表の平塚聖子さんと79歳の和田鈴美さんだけになっていた。

平塚聖子さん:
最初からやっているメンバーが18年たつと18歳、歳をとる。高齢化には勝てませんでした。無念ですけど

2人でも続けようと踏ん張ってきたものの、体力面の負担も大きく、閉店を決意したのだ。

――きょうの出来栄えは?

平塚聖子さん:
いつもと変わらないつもり。バタバタして…いよいよですね

アマゴの甘露煮や鹿の肉みそコロッケなど、12種類の料理が完成したころ、店の前には行列ができていた。

17年間愛された「しゃえんじり」最後の味かみしめる

平塚聖子さん:
すみません、お待たせしました。きょうで最終日です。たくさんの方に並んでいただいて、待っていただいて。本当にありがとうございます。バタバタするのは17年8カ月変わらず。きょうもバタバタとやりました。「ぼちぼちやりたいな」と言っていたけど、バタバタで終わりそう。皆さんはごゆっくり食事を楽しんでいただけたら

客:
17年間頑張った、頑張った

バイキングは、大人1人1,300円。四万十の“いつもの味”を、思い思いに選んでいく。

――きょうで最後ですが

香美市からの常連客:
だから来ました。食べられなくなると思って。寂しい

閉店を惜しむ常連客たちは、お皿いっぱいに盛り付け、おいしそうにほおばっていた。

高知市から来た客:
ものすごいおいしい。味加減が懐かしい。「もったいないな」という感想が率直なところ

香美市からの常連客:
子どもが小さいときから来ていた。おいしいです、相変わらず。同じ味です。ずっと同じ味です

この日、駆けつけたのは58人。中には、兵庫・神戸市から5時間かけて30回以上訪れたという、熱烈なファンもいた。

神戸から来た客:
10月に来た時に、11月いっぱいでお店を閉めると伺った。最後もう1回と思って来た。カヌーのために(四万十川へ)来ている。カヌーした後、ここでのお昼が楽しい。それがなくなるのがとても残念

これには、代表の平塚さんも…。

平塚聖子さん:
一度「元気でね」という話をしていたのに…。またきょう来てくださっていて、ちょっとホロホロとなってしまうような感じで。本当にこんなに皆さんに応援してもらっていたんだなというのを、この3日間でつくづく感じまして。ありがとうございます

17年8カ月にわたり愛された四万十の味。レストランは惜しまれながら幕を閉じたが、「しゃえんじり」の名前は残る。

四万十市中村の「いちじょこさん市場」ではお弁当、四万十市江川崎の「よって西土佐」ではミソなどの加工品の販売を、「しゃえんじり」の名前で続けるという。

(高知さんさんテレビ)