ダイエットをしなければ…そう思いながら、なかなか動き出せない人も多いのではないだろうか。「生活習慣病」という言葉ができて久しいが、このたび国内で初めて、“肥満改善薬”が承認される運びとなった。

国内初“肥満改善薬”承認へ!効果は? 海外では既に販売

厚生労働省の専門家部会が28日に行われ、大正製薬が申請していた“肥満の改善を助ける”飲み薬の製造・販売が了承された。薬剤師がいる薬局で販売できるようになる。

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その肥満改善の飲み薬の名前は「アライ」。
食事によって摂取した脂肪を吸収しにくくする効果があるとされている。1日3回、食事中から食後1時間以内に服用し、運動や低カロリーな食事と組み合わせて使うという。

海外で行われた臨床試験のデータでは、有効成分が入っていない偽薬と「アライ」を比較すると、偽薬の人は1年後に平均2.3キロ減ったの対し、「アライ」を使った人は、その2倍以上の平均4.8キロ減ったという。

「アライ」は既にアメリカやヨーロッパなど70カ国以上で、医師の処方箋なしで販売されている。

対象になる人をチェック 必ず薬剤師と相談を

しかし、ただ誰でも薬を飲めるわけではない。

【対象】
・18歳以上
・男性:腹囲が85センチ以上 女性:腹囲90センチ以上の人
※高血圧などの基礎疾患がある人や、妊娠している人は使用できない

さらに、購入する際は、薬剤師が対面で情報提供・指導を行うことが義務付けられるため、オンラインで購入することはできない。

なぜ薬剤師の指導が必要なのか?
日本肥満学会理事長の横手幸太郎(よこて・こうたろう)千葉大教授に聞いたところ、薬の使用は、糖尿病・高血圧・心筋梗塞といった健康障害がでる前に、生活習慣改善と併せて補助的に使うのが前提なので、薬剤師の指導がとても重要だという。
また、痩せ形の人が使えば(特に女性の場合)、骨粗しょう症など健康被害のリスクもあり、そのようなことを伝える必要もあるという。

効果的に使うためにも、薬を飲み始める1カ月前からおなか周りや体重などを記録して、薬剤師のチェックを受ける必要がある。
さらに6カ月服用しても効果がなければ、服用中止となる。

この薬は、2023年の3月に正式に承認され、薬局で買えるようになる見込み。

(「イット!」2022年11月29日放送分より)