ダウン症の子どもと友達の交流、心の成長を描いた漫画がある。この漫画を制作した新潟県長岡市に暮らすお母さんの思いを取材した。
「考えが大きく変わった」 友達やママ友との出会い
長岡市で2人の子どもを育てる金内美幸さん。長男の天良(たから)くん(10)は、染色体の疾患により、成長がゆっくりなダウン症だ。
この記事の画像(22枚)金内美幸さん:
息子がダウン症だと知ったとき、すごくショックを受けた
それでも金内さんの夫をはじめとした家族や、なによりも天良くんの存在自体が金内さんの心を前向きにした。
そして、天良くんが保育園に通い始めるとすてきな出会いが…
金内美幸さん:
保育園に息子が入園して3年間、友達・保護者の方・先生と関わって、天良も変わったけれど、私の考えが大きく変わった
成長がゆっくりな天良くんを保育園の友達がいつの間にか支えてくれていたのだ。現在、天良くんは保育園時代の友達と別れ、支援学校に通っているが、保育園を卒園して5年が過ぎても、その交流は続いている。
保育園からの友達:
天良くんは大切な友達
保育園からのママ友:
娘が靴を履く天良くんを手伝ったり、家ではそんなことしないのに、天良くんにはしてくれているんだなとか。天良くんがいなかったら、こうはならなかったかもしれないなと思う
金内さんが2021年に書き始めたのは、そんな天良くんと友達が保育園で出会い成長した物語。
金内美幸さん:
息子が友達の役に立って、息子が生まれてきたことを誇らしく思えるようになった
天良くんと友達の友情を描いた漫画制作へ
金内さんの思いに協力したのは、長岡市で地域活動の支援をする「ながおか市民協働センター」。絵本の制作を考えていた金子さんに、本の編集経験を持つ唐澤頼充さんが提案したのは、漫画にすること。
唐澤頼充さん:
関心がない人も漫画を読むと、当事者になったような感情移入ができる
作画は漫画家の高木香さんが協力。キャラクターの打ち合わせの際、金内さんは天良くんの描写に関してあるお願いをした。
金内美幸さん:
高木さんは私に気を遣って、天良を美形に描いてくれているけど、もうちょっとダウン症の特徴があってもいいよと
成長がゆっくりで、ふっくらしたダウン症の特徴を描くことで、読み手の理解を深めたい。金内さんは天良くんのお母さんだからこそ、ありのままを伝えたいと考えた。
成長の違いは、保育園時代からの友達と並ぶと鮮明に。金内さんがお母さんとしての思いを話してくれた。
金内美幸さん:
障害があるので、差がどんどん開いてくる。どうしても比べてしまうところはある。ただ、お互い成長したなと思って、感動している。天良なりの成長をかみしめながら育てていきたい
構想から一年半。10月、ついに漫画「トモトモ」が完成した。
保育園でダウン症の同級生に戸惑い、理解し、友情が育まれる過程を天良くんと出会った友達側から描くことで多くの読み手に共感してもらう構成となっている。
保育園からのママ友:
天良くんがいたから、周りを思いやる子たちに育ったと思うし、どうやったら楽しく過ごせるかということを子どもながらに考えて、保育園生活を送っていたのかなと思う
金内美幸さん:
違った部分を持っているお友達は絶対いると思う。そういった友達も認めてあげようという気持ちを持ってもらえれば、もっといい社会になる
お母さんの心に明かりを灯した宝物のような出来事を詰め込んだ漫画。本は完成しても続きがある。理解し、手を差し伸べる天良くんと友達の優しい物語はこれからも…
(NST新潟総合テレビ)