苦手意識がある病院に来て、絶望を体で表現する猫がTwitterで話題となっている。
それが、ミックス猫の男の子・もちくん(2歳)。タイ在住の飼い主・もたちの(@alo3571)さんの自宅で、普段は自由気ままな生活を送っている。

しかし、10月30日は年に一度の定期健診の日。医師の診察と注射があるため、もたちのさんのリュックに入って動物病院にやってきた。そしていざ、診察に向かおうとしたのだが…。
そこには、リュックから微動だにしない、もちくんの姿が。背中を丸めて顔を伏せていて、もたちのさんが「もち!ほら!」と声をかけて触れても、石のように動かなくなっている。

この姿にTwitterでは「動かざること石の如し」「背中から『自分はここにいません』オーラ出してるの可愛すぎる」などと話題に。投稿は13万6000以上のいいねを集め、動画は240万回以上も再生されている。(11月1日時点)
みんなで協力して診察を進めた
愛猫の健康を思っての動物病院だが、猫にはそれを伝えられないので難しいところ。その後、診察は受けられたのだろうか。もちくんが“石化”するのはよくあるのだろうか。飼い主のもたちのさんに聞いた。
――もちくんはどんな猫ちゃん?
食いしん坊で体が大きいですが、顔は比較的小さいです。性格は人見知りで怖がり。家に来客があった場合は強気に威嚇することもありますが、外に出ると大人しくなってしまいます。
――動物病院で“石”になったときの状況を教えて。
受付を済ませて、もちの入ったリュックをイスに置くと中で固まっていました。病院では過去にも注射を何回か受けていて、嫌な記憶が残っていたんだと思います。隠れたい一心で奥でうずくまっていたようでした。家の外が怖いようですが、特に病院ではいつも固まってしまいます。

――もちくんは無事に診察を受けられたの?
待合室は他には1人だけで、5分もしないで診察に進むことができました。お医者さんが(もちくんの)目が開いてない頃からお世話になってる方で、猫をとてもかわいがってくれる方なので、みんなで声をかけたりなでたりしながら診察を進めました。リュックごと診察台に乗せて2人がかりで注射をしました。最中は大人しく、終わり次第、リュックに逃げ込みました。
――“石”になったもちくんを見てどう思った?
家では我が物顔で歩き回っているので、そのギャップにかわいそうだけど笑っちゃいました。
保護した猫で「家の外が怖い」のかも
――もちくんは普段はどう過ごしている?
普段は気ままに家のあちこちで寝て過ごしてますが、構って欲しくなると僕をつけまわして猫パンチをしたり、テレビ画面を塞いだり、作業中にマウスパッドやiPadの上で寝始めたりします。もともと捨てられているところを保護して飼い始めたので、元気に育ってよかったなあという感じです。

――家の外が怖いと感じているのはなぜ?
雨の中でおそらく産まれて、すぐに水たまりの中で鳴いていたところを保護したので、親兄弟を知らずに育ったせいかなと思っています。最初は「コンドミニアム(日本で言うマンション)の駐車場で子猫が産まれたらしい」と母親から聞きました。夜になり雨が降ってきて、心配になり母親と一緒に探しに行くと、泥だらけになって鳴いている子猫がいたのであわててうちに連れて帰りました。

想像してたよりもずっと小さく、ハツカネズミ程度の大きさしかありませんでした。猫についての知識がなにもありませんでしたから、次の日朝一で病院に連れて行きミルクを飲ませて子猫のお世話についてお医者さんに教えてもらいました。子猫のうちは食事、排泄、温度管理など気を配ることがたくさんあり大変でしたが、なんとか元気に育って今に至る、といった感じです。
――もちくんが“石”のようになる条件は分かる?
今回みたいに、怖いのに逃げ場がないときに石になるんだと思います。病院以外でも公園に連れて行ったときにリュックから出たがらないことがありました。ただ、結構のびのびしてました。石とは違いますが、10日ほど留守にして帰った時は、最初は怖がっていたこともあります。

――Twitterで話題となった受け止めを聞かせて。
単純にかわいいと多くの人に言ってもらえて嬉しかったです。「うちも同じだ」という猫飼いの共感の声もたくさん聞けてよかったです。
病院で石になるネコ pic.twitter.com/yJxO09oZ4a
— もたちの (@alo3571) October 30, 2022
もちくんは診察を無事に乗り切り頑張ったご褒美として、ちゅ~るをもらったという。“石”のようになってしまうのは、飼い主との自宅での日々が何よりも安心できるからかもしれない。
(提供:もたちのさん)