「日本のメディア取材は、初めてです。我々は50年にわたって気候変動を何とかしようとしてきました。それなのに、毎年状況は悪くなっています」

「めざまし8」の取材に、環境問題を訴える男性。
男性は、10月14日展示されているゴッホの代表作、「ひまわり」に突然トマトスープをかけ、世界に衝撃を走らせたイギリスの環境団体「Just Stop Oil」の広報担当者です。
初めて日本のメディアの取材に応じました。

この記事の画像(9枚)

ーーなぜ、こんなに過激な抗議をしているのですか?
「Just Stop Oil」デ・コーニング氏:
パキスタンでは、3300万人が洪水で住むところがなくなりました。
それなのに、気候変動は恐ろしいことだと、全く扱っていません。
でも2人が、ガラスに守られている絵にスープをかけると、多くの人が気候変動やパキスタンで家を失っている話をすることになるのです。

「エコテロリズム」過激な抗議活動の実態

過激な抗議活動を繰り返す「Just Stop Oil」。
「エコテロリズム」と呼ばれる行為は、環境問題に目を向けさせるために行われています。

しかし、団体の行動は、芸術作品だけにとどまらず、市民生活をも脅かすようなものもあります。

イギリス政府に、すべての石油とガスプロジェクトの新規事業停止を求める抗議活動では、ガソリンスタンドの給油機を金槌のようなもので破壊。

さらに、建物のガラスにオレンジ色の塗料を吹きかけるという抗議活動では、ロンドンの中心にある老舗高級デパート「ハロッズ」や高級車・フェラーリの販売店、ベントレーやアストンマーティンなど高級車の販売店も、同様の被害を受けました。

過激な行動はこれだけにとどまりません。
男性が突然、警察車両の屋根に上がり「Just Stop Oil」の横断幕を掲げ、何台もの警察車両が集まり、交通をストップさせたり…

サッカー・プレミアリーグの試合に乱入したオレンジのシャツを着た男性が、ゴールポストに自身の首をケーブルでくくりつけ抗議し、試合が一時中断になる一幕も。

現地メディアによると、こうした行為の数々で、この3週間だけでも500人以上の逮捕者が出ているといいます。

「変化のため」団体広報が語る過激な活動の理由

なぜ逮捕者を出してまで、抗議活動を続けるのでしょうか? 

「Just Stop Oil」デ・コーニング氏:
こういったことに、人々がイラついているのは分かっています。
しかし変化のために、われわれはできる限りのことをやらなければなりません。逮捕者が出ても、われわれは自分たちの命のために闘っているのですから。

ーー抗議活動が行き過ぎとの意見もありますが?
「Just Stop Oil」デ・コーニング氏:
そんなことはない。われわれはまだまだ全然行き過ぎていないと思う。わが政府は大量虐殺的な政策を行っている。

ーー活動をいつまで続けるのでしょうか?
「Just Stop Oil」デ・コーニング氏:
政府が化石燃料の新規許可、承認を出さないまで毎日続けるつもりです。毎年状況が悪くなり、最近では自然災害が増えています。だから、さらにエスカレートしないといけない。過激な抗議をしなければならないんです。

世界に広がりを見せる過激な抗議活動

環境団体による過激な行動。
それは今イギリスだけではなく、フランスやドイツなどでも行われ、世界中に広がっています。

こういった抗議活動に対して、環境問題を巡る抗議活動に詳しい明星大学の浜野喬士准教授は、「環境保護を目的にした活動への評価を下げることにもなりかねないので、活動の在り方を考えるべきだ」と指摘します。

浜野准教授によると、抗議活動は11月から始まるエジプトで始まる「COP27」に向けて過激化していく可能性があると言うことです。

(めざまし8 10月27日放送)