福島県の駅前に現れた、カラスの大群。ふん害などで悩まされているといいますが、実はこの背景に、温暖化の影響があるというのです。

駅前にカラスの大群 深刻なふん被害

10月20日の午後5時ごろ、福島県・郡山駅で捉えられた映像。
夕暮れの空を埋め尽くさんばかりに飛んでいるのは、カラスの群れ。それぞれが縦横無尽に飛んでいますが、次第に同じ方向へと旋回し始める様子も。

現場では、10月に入ってから大量のカラスが目撃されるようになったといいます。なぜこれほどのカラスが、駅前に集まるようになったのでしょうか?現場を取材しました。

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取材班が郡山駅前に到着すると、響いてきたのは大量のカラスの鳴き声。その音は騒音レベルです。
さらに、近隣住民は「木からふんが落ちてきます。だから下のベンチには座らないようにしています」「カラス自体は嫌ですね。木にカラスよけの網が張ってあるが、ふんがひどくて歩けない状態」と話します。

駅前だけではなく、近くの繁華街にもふんの被害が広がっていました。
こうした被害について、駅前の商店街組合の理事長に話を聞くと、秋頃から増え始めるのだといいます。

郡山駅前大通商店街振興組合・佐藤晃正 理事長:
10月から3月の終わりぐらいまで、特に冬の時期はカラスの数が増えます。被害は道路上が、ふんで汚れるというのが一番。この時期になると日常ですね

温暖化の影響で増加か…専門家「何十年も前にはいなかった」

なぜ今、活発な姿を見せるのでしょうか?映像を見た、鳥の生態に詳しい専門家は…。

東京大学・樋口広芳 名誉教授:
ミヤマガラスの大群のように見えます。中国の東北部やロシアの南東部から渡ってくるんです。非常に大きな群れになる性質の強い鳥です。10月から3月くらいの、秋から冬にかけて日本列島に来ます

中国やロシアなどから、冬を越すため日本に渡ってくる「ミヤマガラス」。樋口名誉教授によると、猛禽類が少ないため、都市部にも現れやすくなり、郡山駅に住み着いた可能性があるといいます。
かつては九州など温かい地方で目撃されたというミヤマガラスが、なぜ今、東北地方の郡山市に集まっているのでしょうか。

東京大学・樋口広芳 名誉教授:
1つは温暖化の影響ですね。何十年も前にはミヤマガラスはいなかったんですよ。温暖化が進んで、東北地方の雪が少なくなって、田んぼの地面が露出して、食べ物が取りやすくなったと。
十数年前くらいからだんだん飛来する範囲が広がってきて、越冬地として選ばれるようになったのです

(めざまし8 10月25日放送)