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全国旅行支援の開始、そして水際対策の緩和後に迎えた、初の週末。各地の観光地は、多くの人でにぎわいました。
インバウンド復活へ期待が高まる一方で、10月13日に開かれた政府分科会による会見で尾身茂会長は、冬にかけて“第8波”が到来、第7波を上回る感染拡大の可能性が大きいと指摘。
厚労省による想定では、ピーク時には、発熱外来などの患者数が1日45万人にも上る可能性があるといいます。

“第8波”流行拡大の2つの要素

尾身会長は“第8波”の流行拡大の理由として、大きく2つの要素をあげました。
1つめは、「水際対策緩和による流入リスクの増加」。
もう1つは、「冬の到来による状況の変化」です。これは、ウイルスが活性化し感染力が増加すること、大規模イベント開催による人出の増加などがあげられます。

なぜ“冬”の到来がコロナの増加につながるのでしょうか?
アメリカ・ニューヨークのマウントサイナイ大学病院で働く、山田悠史医師は…

マウントサイナイ大学病院・山田悠史 医師:
冬の方が生活スタイルとして、屋内に人が集まりやすいとか、そういった意味で感染が広まるリスクは、生活様式によって高まるという想定かなと

AIによる“第8波予測”は? 変異株への専門家の見解

政府分科会が警鐘を鳴らす一方で、名古屋工業大学・平田晃正教授が10月4日に公開した「AI」による第8波の流行予測は、2021年並の行動をした場合は、東京都の新規感染者は約1万人。
2021年より人出が増加した場合でも1万5000人と、いずれも第7波は超えないというものでした。
しかし、これは「新たな変異株が現れないことが前提」の試算です。

変異株の影響について、専門家はどのように考えているのでしょうか?
東邦大学感染制御学・小林寅喆教授は、「今の段階では第7波を超える可能性は低いが、変異株による拡大の可能性は否定できない」としています。

一方、愛知医科大学感染症科・三鴨廣繁教授は、「変異株の影響で感染者数が増える可能性はあるが、マスクやワクチンなど感染対策の維持で制御は可能」と指摘しています。

マウントサイナイ大学病院の山田医師は、以下のように話します。

マウントサイナイ大学病院・山田悠史 医師:
変異ウイルスというのは必ず出現してくるだろうと思います。
実は私の住んでいるアメリカでも、「BQ.1」と呼ばれるような新たな変異ウイルスなども話題になっていまして、現在使われているワクチンですとか、過去の感染で獲得された免疫から逃げる力をより強く持ったような変異ウイルスが現れると、感染者数という面ではシミュレーションより多くなるという可能性は、十分考えなくてはいけないのかなと思います

新たな提案「行動制限」も?

尾身会長は13日の政府分科会による会見で、「新たな変異株」の出現や「医療ひっ迫」が生じた場合、「行動制限を含む実効性の高い、強力な感染拡大防止措置も必要」として、早急な議論を政府に提案しました。

一方、岸田総理は13日放送のBSフジLIVE「プライムニュース」で、新たな変異株について、「発生国との関係で水際対策を考えていく。必要な対応は機動的に。一方で、世界的な新型コロナに対する対応とのバランスも考えなければならない」と発言。
行動制限には言及はしませんでした。

アメリカでの変化 医療ひっ迫軽減に「遠隔診療」

マウントサイナイ大学病院・山田悠史 医師:
アメリカではかなり、遠隔診療が浸透したと思います。
自宅にいながら、インターネットを通じて医療機関を受診して、10分・15分のオンライン診療を経て診療が終わるという形でかなり効率化が進んで、それが医療ひっ迫を防いできたと、そういう風に感じています

(めざまし8 「わかるまで解説」より10月17日放送)