天皇皇后両陛下は10月6日、東京・千代田区、東京駅丸の内駅舎内にあるホテルで開かれた鉄道開業150周年記念式典に出席されました。

鉄道開業150周年記念式典
鉄道開業150周年記念式典
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明治5(1872)年に、新橋‐横浜間で日本で最初の鉄道が開業。2022年10月14日に開業150年を迎えました。

静養先に向かう交通手段として…

《天皇陛下のおことば》
「今から150年前の明治5年、日本で最初の鉄道が、新橋・横浜間に開業しました。明治維新以降、近代国家への道を進みつつあった我が国は、大きな喜びと期待に満ちあふれたことでしょう。   

それ以来、我が国の鉄道は、私たちの日々の暮らしと経済活動を支え、広く人々に愛される信頼性の高い公共交通機関として、我が国の繁栄に貢献してきました。

私自身、子どもの時から、折に触れ鉄道を利用してきましたし、小学生の頃、鉄道唱歌の一部を口ずさんだことも懐かしい思い出です」

子どもの頃のエピソードを披露された陛下。那須、葉山、須崎の御用邸や軽井沢にご家族と静養に向かう際には、鉄道を利用されてきました。

昭和42(1967)年7月、静養のため、急行しもつけ1号で上野駅を出発された、当時の皇太子ご一家。その後、黒磯駅で下車し、那須御用邸に向かわれています。

昭和42(1967)年7月 上野駅から電車に乗り那須御用邸へ
昭和42(1967)年7月 上野駅から電車に乗り那須御用邸へ

側近によりますと、陛下は、軽井沢に向かう際、北陸(長野)新幹線開業に伴い廃止された信越本線の横川~軽井沢間をつなぐアプト式鉄道を利用したことを覚えていて、碓氷峠を上って標高が高くなると外気温が低くなるのを肌で感じた、と当時を振り返られているそうです。

陛下 初めての一人旅でも…

昭和42(1967)年11月には、初めての一人旅で、初めて新幹線に乗られています。

当時、陛下は7歳でした。こだま113号で向かわれた先は浜松駅。静岡県の奥浜名湖地域で農作業やミカンの収穫を体験したほか、ウナギの養殖場なども見学し、民間の保養所に宿泊されました。

昭和42(1967)年11月 お一人で新幹線に乗り静岡・浜松市に向かわれる陛下
昭和42(1967)年11月 お一人で新幹線に乗り静岡・浜松市に向かわれる陛下

翌昭和43(1968)年から昭和53(1978)年まで、毎年のようにご一家で奥浜名湖にご滞在。地元の子どもたちと、一緒に泳いだりソフトボールをしたりと親しく交流されています。

陛下は、新幹線乗車の思い出として、食堂車でカレーを召し上がったことを懐かしく思い起こされているそうです。

鉄道関係者を労われ

今回の式典で陛下は、鉄道が直面する課題についても触れられました。

《天皇陛下のおことば》
「我が国において、人口減少や少子高齢化などの社会経済情勢の変化に加え、現在、新型コロナウイルス感染症の影響による困難な状況に直面する中で、国民の生活を守るという大きな使命と責任を果たすべく、サービスを提供し続ける鉄道関係者の皆さんの御苦労もいかばかりかと思います。

皆さんのたゆみない努力が実を結び、我が国の鉄道が、この難しい状況を乗り越え、引き続き人々に親しまれながら、暮らしと経済を支えていくことを期待します」

式典終了後、関係者と懇談された両陛下。コロナ禍における鉄道各社の取り組みに熱心に耳を傾け、日々、鉄道サービスの提供をし続ける苦労を労われたということです。

(「皇室ご一家」10月16日放送)