池の水面を、じゅうたんのように覆い尽くす謎の赤い物体。異変は見た目だけにとどまりません。池の生態系にも大きな影響を及ぼしているといいます。その正体は何なのでしょうか。

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短期間で水面を覆い尽くす外来種「アゾラ」

めざまし8が取材したのは、愛媛県松山市にある、ため池です。
上空から見てみると、水面に赤い物体が広がり異様な光景となっています。地元住民は「かなりの量ですよね。不気味だなとは感じますね」「ほんとに、こんなに赤くなってるの初めて見た」と、驚きの様子。

一体、この赤い物体の正体は何なのか。専門家によると、これは、特定外来生物「アゾラ」。外来の水草だというのです。

松山東雲短期大学・松井宏光 名誉教授:
一個体は1cmぐらいしかないんですが、栄養繁殖といって、分裂分裂で増えていくので、もう短期間で水面全体を覆ってしまいます

外来種のアゾラは、「アイガモ農法」のアイガモのエサや肥料、水田の雑草を抑制する目的で、日本に持ち込まれたものだといいます。

一体なぜ、外来種のアゾラが松山市で確認されたのでしょうか?松井氏によると「おそらく水鳥の足について、どこかの池から運んできた。それで発生した」のだといいます。

寒くなると消えるも…生態系に影響

どこでも増殖する可能性があるというアゾラ。増殖を止める手段はないのでしょうか。

松山東雲短期大学・松井宏光 名誉教授:
寒くなると、ちょうど10月11月になるともうすっと消えてしまう場合が多い

松井氏によると、今後寒くなると、南米原産のアゾラは枯れ、徐々に消えていくといいます。松山市は、住民からの被害の報告などは無く、気温が下がるにつれて減少していくとみられるため、今のところアゾラを駆除する予定はなく、様子を見ていく方針です。

しかし、松井氏は、夏場の繁殖だけでも生態系に深刻な影響を及ぼすと指摘します。

松山東雲短期大学・松井宏光 名誉教授:
水面を全部覆ってしまうようになれば、水の中に光が入らなくなる。そうすると、水の中で生活している水草が、もう光合成できなくなって、だんだん弱っていきます。
水草が弱れば、そこを隠れ家とか産卵場所にしている小動物も減ってくるので、水の中ではかなり大きな影響が出ていると思います

(めざまし8「#NewsTag」9月22日放送)