2019年の佐賀豪雨から3年、さらに2021年8月の豪雨から1年がたった。佐賀県武雄市に2度の水害に見舞われたケーキ店がある。同じ場所での営業継続を決意したその理由とは。

買い替えたばかりの機材も…被害総額3000万円以上

9月8日に行われた地鎮祭。

相森真一さん:
やっとここまで形が見えてきた。とりあえずスタート点に立てたと思っています

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武雄市朝日町でケーキ店「菓子職人の小屋デタント」を営む相森真一さん(42)。この場所で“3度目の出店”を目指している。

相森真一さん:
今年で14周年を迎えた。来年がちょうど15周年。15周年のタイミングでできれば

2021年8月14日、店内は1メートル以上浸水した。2019年の豪雨を乗り越え再び店をオープンさせてから、わずか2年足らずでの被災だった。

 相森真一さん:
何とも言えない感じだった。「またか」っていうのもあるし、「うわーどうしよう」というのもある。ついこの間復旧したばかりというのもあるし、「参ったな」という感じだった

新しく買い替えた冷蔵庫や調理場の器具はすべて使えなくなり、被害総額は3000万円以上に上った。

相森真一さん:
ここで水害がなくなることはないと思うんですよ。どんな河川工事をやっても多分、水害が来る土地だと思うので。逆に、その土地で生活するために、生きていくために、商売するためにはこういうやり方しかないよね、こういうやり方をすれば水害って怖くないよね、というやり方で商売を再開させたい

相森さんは移転ではなく、同じ敷地内で営業継続に向けて動き始めた。

リスクを考え商品を限定 待ちわびた客は

2021年の大雨から半年がたった3月、相森さんは新しい店をオープンするまでの“仮営業”を始めた。

男性客:
ここら辺を通っている時に、3月3日からオープンしますと聞いていたので

女性客:
タルトが大好きなのでよく買わせてもらっています

男性客:
ホワイトデーのものと、この店ですごく大好きなモンブランがあるので、復帰したら絶対食いたいと思って来た。被災を感じさせない、きれいな雰囲気になっていてすごくよかった

順調に見える一方、ホールケーキと焼き菓子のみ販売し、商品を限定しているという相森さん。そこには大きな理由があった。

相森真一さん:
新しいお店は来年の9月ぐらいの予定なんです。今年の夏を1回越えて、さらにもう1回梅雨と8月を越す。だから2回、夏をここで越えないといけない。心晴れてはないんですよね、ずっと。どうなるんだろうという心配事の方が多い

相森さんは調理器具の費用や再び浸水するリスクを考え、必要最低限の道具しかそろえなかった。

相森真一さん:
次の展開をどうしようか考えながらの再開。とりあえず一歩を踏み出したという報告としてのスタート

「丘の上にある菓子職人の工場」の実現に向け

幸いにも2022年の夏は浸水被害がなく、少しずつ新しい店の形が見えてきた。

相森真一さん:
もしテラスを無くして入り口を広くするんであれば、駐車場はこっちのほうがいいのかも…

男性:
今考えなきゃいけないのは土盛りの位置。現状の計画通りでいいのか、ここを少し削って…

コンセプトは「丘の上にある菓子職人の工場」。土盛りで2メートルかさ上げして浸水を防ぐ。広さは約300平方メートル、今の店の1.5倍の広さだ。

土盛りで2mかさ上げし浸水を防ぐ
土盛りで2mかさ上げし浸水を防ぐ

相森真一さん:
雰囲気が変わって行きづらくなったよねって言われないような、何なら田植えしたまま買いに来てもらえるようなお店であり続けたい

佐賀豪雨から3年、2021年の大雨から1年。新しい店の着工を前に、地鎮祭で安全を祈願する相森さん。不安と向き合いながらも同じ場所で3度目の出店にこだわる理由とは…。

相森真一さん:
生まれ育った場所だし、先祖が残してくれた土地なので。使わせていただいている以上はここを離れることはできないというか、慣れ親しんだ土地っていうのが一番。ようやくです、頑張ります

(サガテレビ)