夏休みが終了し、再開した学校。子どもたちは引き続き、感染対策を取りながら学校生活を過ごしていかなければならない。
新潟県医師会広報委員会の協力のもと、子どもの体・心に及ぼす影響を医師に聞いた。

新型ウイルス禍で「スクリーンタイム」増加…その影響は?

杉山萌奈アナウンサー:
3年ぶりに行動制限のない夏休みとなり、子どもたちにとって活動の機会は増えても、療養・感染対策のためなど、まだまだ自宅で過ごす時間は多くなってしまいます。長引くウイルス禍は子どもにどのような影響があるのでしょうか

話を聞いたのは、新潟・新発田市にある新発田病院の塚野喜恵医師。

新発田病院 小児心身症科 塚野喜恵 医師:
生活リズムが乱れて時差ボケ状態になって、学校に行けなくなる子どもが増えているような気がする

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塚野医師が生活リズムを乱しやすい要因の一つに挙げたのは、スマートフォンを見たりゲームをしたりする時間「スクリーンタイム」の増加。

国立成育医療研究センターの調査では、新型コロナ禍前と比べると、勉強以外のスクリーンタイムが1時間以上増えた子どもは4割以上多くなったことが分かった。

勉強以外のスクリーンタイム
勉強以外のスクリーンタイム

(Q.スクリーンタイムが長くなるとどうなる?)
新発田病院 小児心身症科 塚野喜恵 医師:

夜更かしになる。それから学習時間が減る、体を動かす時間が減る

肩こり・腰痛… 体力低下で増える「子どもロコモ」

スクリーンタイムの増加により、スポーツ庁は「子どもの体力が低下している」と指摘。2021年度は新型コロナ禍前と比べて、小中学生の男子・女子ともに体力テストの合計得点が下がったと発表した。

体力テスト合計得点の推移
体力テスト合計得点の推移

体力低下により、「疲れやすくなる」「姿勢が悪くなる」「肩こりや腰痛がある」「骨折しやすい」といった異変を訴える子どもが増えたと塚野医師は話す。

体力低下で異変訴える子ども増加
体力低下で異変訴える子ども増加

新発田病院 小児心身症科 塚野喜恵 医師:
体力が落ちると、当然だが不適応が増える。「子どもロコモ」が増えている

ロコモとは、骨・関節・筋肉などの障害により、人が立つ・歩くなどの移動するための能力が不足した状態。多くは高齢者にみられるが、実は新型コロナ禍により「子どもロコモ」が増えていると言う。

高齢者に多いロコモ
高齢者に多いロコモ

元気に過ごすために大事な「体験」 家族は子どもに寄り添って

杉山萌奈アナウンサー:
これからも長期化が予想される中で、子どもたちはどう過ごしていくことが望ましい? 

新発田病院 小児心身症科 塚野喜恵 医師:
子どもにとって「体験」はとても大事。オンラインから得られるものは情報。情報を相対化する中で、体験が大事になってくる。「寝る時間はちゃんと寝なさい」「食事はとりましょう」「活動もしましょう」というのを繰り返し言うしかない

食事・運動・睡眠といった規則正しい生活をすること、そして様々な「体験をすること」の大切さを強く訴える。
体験の中では困難を避けるのではなく、困難にあってもそれを乗り越え、回復していく力「レジリエンス」を育むことが重要で、そのためには「子どもの気持ちに寄り添う」家族の姿勢も求められる。

体験の中で「レジリエンス」を育む
体験の中で「レジリエンス」を育む

新発田病院 小児心身症科 塚野喜恵 医師:
特に子どもたちは、ネットがあれば生きていけるかというと、そういうことはない。リアルな人間関係は失わずに、「気にかける」「目をかける」「声をかける」は、マスクをしていてもできる。意識してやっていただければ、子どもたちも元気でいられるのでは

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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