私がお伝えしたいのは、「結党以来初めて国会議員がトップに」です。

「日本維新の会」の新しい代表に馬場共同代表が選ばれました。

これまで大阪府知事・市長が率いてきた維新の会は、党運営の主導権を国会議員に移すことになります。

ただ、大阪の地方議員からは「来年春の統一地方選挙までお手並み拝見」など厳しい声も聞こえます。

ポイントはこちら。

「脱大阪なるか、全国政党へステップアップは」注目です。 

【注目ポイント・記者解説】

馬場新代表は、無骨な雰囲気とは裏腹に「細かい気遣いをする人で、誕生日に花が届いた」という声が聞かれるなど、面倒見の良さには定評があります。新代表就任直後には、「日本維新の会を自民党と対峙が出来る政党に大きく育てたい」と述べ、「松井体制を継承して改革を積み重ねていく」と強調しました。

一方で、「全国政党化」や当面の目標として掲げる「野党第一党」の実現は、決して平坦な道のりではありません。「日本維新の会」の代表選を通じて浮き彫りになったのは、「国会議員と地方議員」、そして「東京と大阪」とで複雑に絡まった党内の力学です。

「日本維新の会」は、2010年に橋下徹氏や松井一郎氏らが立ち上げた地域政党・大阪維新の会が源流です。「大阪で進めた改革が維新の推進力」という自負のある大阪府議・市議らが、時には国会議員よりも強い発言力を持つなど、他党とは異なる政党の姿を示してきました。

こうした背景もあり、代表選の告示前には一部の大阪府議が中心となり、大阪府議出身の東徹参議院議員を候補者に担ぐ動きを見せました。しかし、馬場氏支持を明らかにした松井代表(当時)が東議員について「立候補の理由が分からない」などとけん制、不出馬に追い込みました。

松井氏がけん制した理由について、ある地方議員は「東議員が出たら良い勝負をすると思ったから松井さんが動いたわけでしょ。統一地方選挙まで新代表のお手並み拝見だよね」と話すなど、党内の「火種」はくすぶったままと言えます。

一方で、ある国会議員は「党が割れることは望んでいない。馬場代表にはこれまで以上に、大阪にも耳を傾けてまとめる方向に注力してほしい」と注文を付けています。代表選の結果が判明した後、馬場代表は早速、吉村洋文大阪府知事を共同代表に指名しました。馬場代表は「大阪での政治活動を吉村氏に委ねたい」と述べていて、大阪側に睨みをきかせる狙いもあるものとみられます。

衆院選、参院選と着実に勢力を拡大してきた「日本維新の会」の次のハードルは、次の春に行われる統一地方選挙です。地方議員を1.5倍の600人に増やす目標を掲げている維新ですが、馬場代表は、29日に出演した関西テレビの番組で目標を達成できなかった場合、代表を「辞任する」と発言しました。

自身のことを「8番・捕手」とたとえる馬場代表。「縁の下の力持ち」から「党の顔」になり、飛躍につなげることが出来るのか。新代表の手腕が問われています。 

(フジテレビ政治部・原佑輔) 

原 佑輔
原 佑輔

関西テレビ・東京駐在記者、フジテレビ政治部で野党担当。1986年愛知県生まれ。立命館大学卒業後、2009年関西テレビ入社。大阪府警、行政(大阪府・市)、大阪地検特捜部などの担当、京都支局長を経て現職。