神話と伝説の町、宮崎県高千穂町で、廃線をアトラクションとして復活させた「あまてらす鉄道」。その車内アナウンスをよーく聞いてみると…。

車掌:
お客さまの中でお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、チャーハンの匂いがしませんでしたか?

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一体、何のことなのか?そこにはある秘密があった。

観光列車から”おいしい匂い”

この夏、高千穂を走るトロッコ列車で、ある不思議な現象が話題になっている。

「炒めものが食べたくなるのわかる〜!」
「なんか中華みたいな匂い〜」
「焼き肉の匂いや!」
「美味しい匂いやなぁ〜」

と、観光客たちは食欲を刺激された様子。どういうことなのか?鉄道会社に聞いた。

高千穂あまてらす鉄道・西浦大樹さん:
こちらの新しい燃料が匂いの秘密となっております。私どもも初めて嗅いだときは、それこそチャーハンを炒めているときのような匂いがいたしました。

ディレクター:
確かにマスクの上からでも、中華料理屋さんの厨房にいるような匂いがしますね。

観光列車の燃料に匂いの秘密があるという。確かに車内アナウンスでも…。

車内アナウンス:
このとんこつスープのラードが入っている関係で、チャーハンの匂いがいたします。

実は、この列車の燃料は、豚骨ラーメンのスープを元に作られた環境に優しいバイオディーゼルだった(生物由来油から作られるディーゼルエンジン用燃料)。

匂いの正体は、燃料のとんこつスープ!

そこで、スープの入手先のひとつである人気ラーメン店を訪ねると…。

見るからに濃厚そうなスープ。

店主:
完食する方は2割ぐらいで、残り8割ぐらいは残す。健康に気をつけているとか、そういう方はおられますよね。

これまで、残ったスープは油分が多いため、お金を払って処理業者に引き取って貰っていたという。そこで2022年3月、導入した秘密兵器が「とんこつカット君」だった。

店主:
うまく分離機にかけてスープだけ浮かせて、回収までしてくれる。無料で。                                                                                                                                                   

なんと、客が残したスープから動物性の油脂だけを分離し、バイオディーゼル燃料に変えてくれるという。そんな「とんこつカット君」を開発したのは福岡県の運送会社だった。

福岡中のラーメン店から原料集まる

西田商運・西田会長:
自分のところで出した排気ガスは、やっぱり自分のところで回収せにゃいかんっていう。うちはもう20年前からSDGsをやっとったっちゅうことで…。

西田会長が、2007年に天ぷら油からバイオディーゼルを精製することに成功すると、2013年、ラーメン店から「残ったスープなどの処理に困っている」との相談が寄せられた。

こうして「とんこつバイオ燃料」が誕生。今では福岡中のラーメン店からその原料が集まっているという。

同じラーメンでも、とんこつ以外のスープでは駄目なのかと尋ねると…。

西田商運・西田会長:
それはできません。醤油ラーメンとか味噌ラーメンではですね。豚骨ラーメンでなからんとできません。

神話の町のエコ列車は、九州ならではの“夢のとんこつ列車”だった。

(「Mr.サンデー」8月7日放送分より)