警察庁は、きょう午後、安倍元首相の銃撃事件を受けて進められている検証状況の内容を明らかにした。その中では、当時の警護計画や現場配置だけでなく、警察庁のチェック体制に問題があったことを認めた。

警察庁は、今回の事件を受けて、警護・警備の問題点を洗い出す検証チームを発足、国内の警備態勢そのものを見直す方針だ。

これまでの検証作業では、奈良県警が作成した警護計画が、安易に「前例踏襲」されたもので、内容に問題があったことが判明したという。現場の交通量が多かったのに、交通整理は行われず、周辺を警戒する制服警察官が配置されていなかったとのこと。

その結果、現場を監督する立場の警察官が、現場を”俯瞰して”指揮をとることができず、警備態勢として不十分だったことも明らかになったという。

さらに、事件当日、現場では、聴衆の多さなどから、安倍元首相の後方を守る人員を、前方に振り分けるなどの計画変更が行われたとのこと。このため、安倍元首相の「後方」が手薄になった他、警察官同士の意思疎通も図れず、銃撃事件を許す結果になったと指摘されている。

一方で、検証チームは、事前に、警察庁に、警備計画を報告するよう義務づけていないことも問題だと指摘。チェック体制のあり方についても検討するよう促している。

これらの問題点を踏まえて、警察庁は、今月末までに、抜本的に、国内の警護・警備態勢のあり方を見直す方針。警察庁主導で、警護対象者への脅威や情勢把握に乗り出す他、警察庁の担当者が、各警察本部の態勢を指導するなどチェック態勢の強化も検討する。

社会部
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