天然記念物のマリモが生息する北海道釧路市の阿寒湖。
美しい大自然に囲まれたこの湖で、ある生き物が注目を浴びている。

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ザリガニだ。

"厄介者"が地域の"名物"に…注目集めるザリガニ

阿寒湖では今、このザリガニの漁が本格化している。
水深約5メートルに仕掛けられた網をあげると、大量のザリガニが。

田中うた乃 記者:
ウチダザリガニがたくさん水揚げされました。手に持ってみると…大きくてずっしりしていて、はさみが動いて元気いっぱいです

このザリガニ、実は阿寒湖に昔から生息している"在来種"ではない。
生態系に悪影響を与える可能性がある「ウチダザリガニ」だ。
「ウチダザリガニ」は1930年ごろ、食用としてアメリカから北海道東部の摩周湖に輸入された。その後、北海道内各地に持ち出されたとみられている。
繁殖力が強く、マリモなどを食い荒らすことから、2006年に"特定外来生物"に指定されるが、その後も増え続ける一方だ。

味はカニ?エビ? 食べるとウマい"レイクロブスター"

地元の漁業関係者らが「レイクロブスター」として、出荷を始めたのは約20年前。

漁師・逢坂 剛さん:
厄介者で最初は駆除のために取っていたんですけど、食べたらおいしいということで、人気になってきましたね。(駆除と食用の)一石二鳥だと思います

阿寒湖のほとりにある食堂では、レイクロブスターを天丼と塩ゆでで、メニューとして出している。人気メニューだ。

2日から3日、湖水につけてから調理するので、くさみは感じられない。

レイクロブスターを食べた人:
(ザリガニは)食べる印象はなかったんですけど、全然いけるなと思いました

レイクロブスターを食べた人:
ザリガニというよりは、オマールエビのような濃厚な味でした。おいしかったです

北海道の食材生かし…新メニュー"ザリボナーラ" 

さらに、阿寒湖の温泉街のカフェでも、レイクロブスターを使ったメニューを開発した。
レイクロブスターと近隣の白糠町産のチーズでソースをつくり、伊達市産の小麦を使った平打ち麺のパスタにからめた、その名も「ザリボナーラ」。

ウチダザリガニの塩ゆでを、まるまる2匹使ったぜいたくな一品。
ウチダザリガニのうまみと、北海道の素材を生かした「カルボナーラ」だ。

田中うた乃 記者:
レイクロブスターの濃厚なうまみと、モチモチの麺が絡み合っておいしいです

温泉工房あかん 石川 武司さん:
海外ではザリガニを食べるので、繁殖しちゃったなら使おうかなと。エビ、カニ系でおいしいし、やってみようという感じです。阿寒湖も含め、北海道でいろんな食材を味わって研究して、おいしい物につなげていけたらおもしろい

漁協が開発したレイクロブスターのスープは、2022年には約3000個が売れる人気ぶり。

レイクロブスターとして定着し始めたウチダザリガニ。
一度味わってみてはいかがだろうか。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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