能の大成者・世阿弥が身を寄せたといわれる新潟県佐渡市の正法寺(しょうぼうじ)で6月18日、ろうそく能の準備が行われた。

面の持ち運び方までこだわり 藤沢周さんの解説も

ろうそく能は世阿弥を偲ぶため、「佐渡の能を識る会」の会員が中心となって毎年企画している。

正法寺(佐渡市)
正法寺(佐渡市)
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しかし、新型コロナウイルスの影響を受け2020年は中止となり、2021年は密を避けるため会場を金井能楽堂に移したため、正法寺でのろうそく能は3年ぶりの上演となった。

能楽師 松木千俊さん(右)
能楽師 松木千俊さん(右)

今回、主役の和泉式部役を務めるのは、能楽師の松木千俊さん。

本番開始直前まで出演者に指導を行い、面の持ち運び方一つまでこだわる徹底ぶりだ。

面の持ち運び方にもこだわる能楽師・松木千俊さん
面の持ち運び方にもこだわる能楽師・松木千俊さん

そして、迎えた本番。この日は約170人の観客が訪れた。

ろうそくに灯される火
ろうそくに灯される火

ろうそくが次々に灯され始まった演目は「東北(とうぼく)」。早春の頃、東国から都に上った旅の僧が、梅の花の美しさに足を止めたところから物語が始まる。

和泉式部の舞
和泉式部の舞

僧の前に生前は一流歌人だった和泉式部の霊が姿を現し、梅の主だと告げて姿を消したため、夜通し法華経を唱え供養していたところ、再び和泉式部が姿を現し、生前の思い出を語るというものだ。

和泉式部を演じた松木さんは、幽玄な舞で和泉式部の生前の華やかな生活を表現し、会場を魅了した。

訪れた人:
佐渡市には色々な能舞台があるが、ろうそく能は趣が違う。3年ぶりのろうそく能だったが、新型コロナ禍でもひとときを忘れられるような良い時間だった

訪れた人:
素晴らしい。深い歴史があるから勉強になった

また、19日には能の愛好家で芥川賞作家の藤沢周さんが、ろうそく能の演目「東北」について解説したほか、自ら舞も披露。

舞を披露する藤沢周さん
舞を披露する藤沢周さん

訪れた人は能の優美な世界に思いをはせていた。

(NST新潟総合テレビ)

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NST新潟総合テレビ
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