「競馬の外れ馬券は経費ではないのか」

お笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃいさんが、競馬の外れ馬券が経費として認められず数千万円を追徴課税されたことなどを不服として、国税不服審判所に審査を請求したことがわかった。

じゃいさんは、競馬で的中させた馬券の払戻金から年間のレースで購入した全ての馬券代を経費として差し引き税務申告をしていた。

お笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃいさんが、取材に応じた(17日夕)
お笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃいさんが、取材に応じた(17日夕)
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しかし、税務署から払戻金は「一時所得」に該当するのではないかとの指摘があり、今年3月に入り、外れ馬券の購入費は経費として認められないとして、じゃいさんの2016年~2020年の5年間の払戻金に対して、数千万円を追徴課税されたという。

じゃいさんは数千万円の追徴課税について既に納付を済ませているが、外れ馬券が経費として認められなかったことなどを不服として、今月10日に国税不服審判所に審査請求した。

じゃいさんは、今回の追徴課税の経緯をユーチューブで公開。大きな反響があったという。
じゃいさんは、今回の追徴課税の経緯をユーチューブで公開。大きな反響があったという。

じゃいさん:3月に通知が来て納付したんですけど。その時は泣き寝入りというとあれですけど、一応払って納得する形で。ただ(経緯の動画を)YouTubeにあげたことで反響が大きくて、いろいろ弁護士の先生とかも紹介して頂いたりとかして、今回を機に元々言われていた競馬の税金に関する理不尽さとか、これを機に何か変えられるんじゃないかということで、結果的に不服申し立てという形をしました。

馬券に”数億円” 追徴税額は「マンション買えるぐらい」

じゃいさんによると、馬券の大半はインターネット上で購入するなど、5年間で費やした金額は、合わせて数億円にも上り、払戻金も数億円に上るという。トータルとしては勝ったレースの方が多かったと話すが、外れ馬券が経費として認められなかったことで、多額の追徴課税を課される事態となったのだ。

じゃいさん:もともと7年前までは『一時所得』で税務申告していましたが、周りからは、これだけ競馬の仕事をしているし競馬界には貢献しているので、『雑所得』で申告して認められるんじゃないかという声が多かったのもあったが、それが認められなかったということです。

じゃいさんによると、追徴税額は数千万円。「地方のマンションが買えるぐらいの額」だという。
じゃいさんによると、追徴税額は数千万円。「地方のマンションが買えるぐらいの額」だという。

じゃいさん:追徴課税は、数千万円で『地方のマンションが買えるくらい』の金額ですね。年収の2倍以上の金額になりますから、普通に考えたら理不尽だと思いますし、買った金額全部持って行かれたなって感じで、今まで僕が予想して勝った労力は、何のためにやっていたんだろうという気持ちには正直なります。

「無税が一番。理不尽多い、変えたい」

一方、じゃいさんは、今回不服を審査請求した理由について、追徴課税を払いたくない訳ではなく、お金を返して欲しいと言うことでもなく、“理不尽”な税制度に対して、何か出来ることがないかと考えたことがきっかけだったと話す。

じゃいさん:今回は外れ馬券を経費にっていうテーマに思われがちですけれども、僕は無税が一番良いと思います。競馬はスポーツとしてもギャンブルとしても素晴らしいものなので、競馬界を盛り上げるために何か変えられることがないかと。誰かが動かなかったら何も変わらないだろうなと思って。

じゃいさんの代理人弁護士は、17日、記者会見を開いた(東京・霞ヶ関)
じゃいさんの代理人弁護士は、17日、記者会見を開いた(東京・霞ヶ関)

じゃいさん:納税の義務がありますので、払うのは当然として、理不尽な部分が多いので、出来れば変えたいなと。本当に好きなんで競馬が。

インタビューの際に、競馬への愛情が垣間見えたじゃいさん。最後に自分と同じ競馬ファンに共感や応援を求めた。

今回の不服申し立てについて、じゃいさんは「競馬界を盛り上げるため」と強調した。
今回の不服申し立てについて、じゃいさんは「競馬界を盛り上げるため」と強調した。

じゃいさん:僕がこういう行動を起こした以上に競馬界が盛り上がるように、僕も頑張りますので皆さん力を貸してください。

過去の最高裁判例などに則れば、じゃいさんの国税不服審判所への審査請求は、認められない公算が大きい。しかし、今回のじゃいさんの行動は賛同する競馬ファンも多く、“競馬と税”の問題に一石を投じたとも言えるのではないか。

社会部
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